SNSが普及して、誰でも簡単に発信者になれる今、世の中には陰謀論やデマなど不確かな情報がいっぱい。情報にまつわるお悩み相談をプロのジャーナリストお二人に相談!前編後編の後編です。
ジャーナリスト
佐々木俊尚さん
テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで幅広く発信し、日本のインターネット論壇における最強の論客の一人。「ノマドワーキング」「キュレーション」などの言葉を日本社会に広めたことでも知られる。総務省情報通信白書編集委員。情報ネットワーク法学会員。
ジャーナリスト
古田大輔さん
朝日新聞に入社後、海外特派員やデジタル版の編集を経て、2015年に退社し、「BuzzFeed」の日本版創刊編集長に就任。3年で国内有数のネットメディアに。2019年に独立し(株)メディアコラボを設立。2020年にGoogleNews Lab Teaching Fellowに就任。ファクトチェックの指導なども行う
Q 父親が「専門家」や「有名人」の話なら、過激な内容でも簡単に信じてしまい心配です。同意を求められると家族間の会話がギクシャクして困っています
A 説得しようとせずに、どうして信じているのかを聞き対話する
「何かを信じている人に『間違ってますよ』と説得すると、過ちを認めることはその人の自尊心が傷つくので反論される可能性大。まずは『その専門家はどこで話してたの?どうしてその専門家の言うことが正しいと思ったの?』と対話して聞いていくことから始めてみては」(古田さん)
A 世代的にも止めるのは困難。反対側の意見を見せる方法も
「読者の親世代は、マスメディア全盛期に中年を送ってきたため、メディアの情報を信じやすい特徴が。本人が信じ込んでいる場合、周囲が止めるのは難しいと思います。予兆を感じるくらいの時期なら、反対意見の専門家を見せて反応を見てもいいかもしれません」(佐々木さん)
Q 同じ会社の仲のいい先輩が、最近SNSで科学的根拠のないスピリチュアル系の偏った投稿を繰り返していて、戸惑っています。どうやってうまくつきあっていけばよいでしょうか?
A その人が信じているだけならそういう考えもあると思えばいい
「神の存在を信じている人は世に多くいますし、科学的根拠がないことを信じてはいけないわけはないので、平和に信じているだけなら『そういう考えの人もいる』と思えばいいかもしれません。会社でその話題をされて苦痛な場合は、興味がないと伝えてよいと思います」(古田さん)
A 人間関係は維持しつつ、SNSの投稿のみ見ない方法も
「気になるならば、相手に通知がいかないかたちでSNSのフォローを外したりミュートをして投稿が目に入らないようにするのが穏やかな方法かなと思います。多様性といいながら価値観が一様化していないかを自分自身にも問い、様々な視点で物事を見ることも忘れずに」(佐々木さん)
取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2022年8月号掲載