良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第108回は、「こうするべきだよね?」。

New Africa/shutterstock
■「こうするべきだよね?」がNGなのはなぜ?
ミスや間違いを指摘するときに相手を追い詰める言い方をするとパワハラ、モラハラになることがあります。
たとえば、仕事の約束の時間ギリギリに来た人に、「遅いです。せめて5分前に来るべきでしょ」と言ったとします。たしかにギリギリなのはよくないかもしれませんが、「5分前に来るべき」というその人の主観です。
主観でいくら相手を責めても、「あなたの考えを押しつけないでほしい」と思われます。相手が繊細で真面目な人の場合、他人の言葉を真に受けて、「自分はダメな人間なんだ」と思い詰めて落ち込み、心身の不調を抱えてしまうことも。
どちらのしてもハラスメントになる可能性大ですから、特に職場で「べき論」をふりかざすのはやめましょう。
■言いかえるならこれ!
「こうするべきだよね?」というのはNG!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「こうしてください」
が正しい!
「〇〇すべき」は相手を追い詰めるので避けましょう。
■さらに上手に使うには?
相手に最適な方法を伝えたい場合は、「こうしてください」と「~してほしいです」といった形で要望を伝えましょう。
間違いやミスを注意する必要がある場合は、「関係者が困っている」「部内の業務に支障をきたしている」など、まずは注意する理由を説明します。そのうえで、「次回からこのようなことがないように改善してください」と伝える言い方がベターです。
注意するときのポイントはふたつ。ひとつは「事実」を伝えること。「頼んだ資料が期日を過ぎてもできていない」といったことです。もうひとつは事実の後に、「自分の気持ちや考え」と伝えること。「世間的によくないから」「周りの人がこう言っている」などと他人のせいにするのもよくありません。
相手の自主性を重んじて、成長をうながすコミュニケーションを意識しましょう。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著

大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子