良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第107回は、「みんなもがんばっているからね」。
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■「みんなもがんばっているからね」がよけいなひと言なのはなぜ?
自分ががんばっているときに「みんなもやっていることだから」「みんなもがんばっているから」と言われて、がっかりしてしまうことはないでしょうか。
「みんな」という言葉は、一般化するのに便利な言葉なので、つい使ってしまうことも多いと思います。しかし、「みんな」を盾に自分の意見を正当化したり、発言を誇張したりする気持ちが見え隠れするので、特に指示や注意をするときには慎重に使ったほうがいいでしょう。
他人と比較したり、自分の主観で決めつけた「みんなの当たり前」や「普通」を前提に話をしたりすると、相手の気分を害してトラブルになることも。「みんなが普通にやっていることだからあなたもやって」と言われて、「はい、そうですね」とは素直に思えないものです。
■言いかえるならこれ!
「みんなもがんばっているからね」と相手を励ますのはよけいなひと言!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「あなたはよくがんばっているね」
が正しい!
人は自分のことを認めてほしいもの。みんなではなく、相手にフォーカスを。
■さらに上手に使うには?
「あなたはよくがんばっているね」と相手を評価することで、相手は「見ていてくれたんだ」と前向きな気持ちになります。
「みんなもがんばっているからね」では「私はがんばりが足りないっていうこと?」ととらえられることも。
カウンセリングの場でも、「みんなはどうしてるんですか? 普通はどうするんですか?」と聞かれた場合、「人それぞれです。あなたがどう思っているのか、どうしたいのかが重要なんです」と話します。
もし、労いたい場合ならなおさらのこと。一般化せずに、「あなたはよくがんばっているね」と個人に対する声かけをするのがベストです。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子