良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第104回は、「〇〇様でございますね?」。
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■「〇〇様でございますね?」がNGなのはなぜ?
「ございます」は「あります」の丁寧語ですが、尊敬語ではないため、自分の名前を伝えるときには使えても、相手の名前を聞くときに使う表現としては適していません。
また、こちらから電話をかけて、田中さんがいるかどうかをたずねるときに、「田中様はおられますか?」と言うのもNG。謙譲語の「おる」に「れる・られる」をつけても尊敬語にはならないので注意が必要です。
電話のやりとりは、相手の顔が見えないので、通話者同士が声だけで相手の様子を判断することになります。なるべく印象を良くする電話応対の言いまわしを心がけましょう。
■言いかえるならこれ!
「〇〇様でございますね?」という表現はNG!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「〇〇様でいらっしゃいますか?」
が正しい!
相手に対して敬語を使う場合は、丁寧語ではなく尊敬語を選びましょう。
■ほかに似たような表現は?
「いらっしゃる」は「いる」の尊敬語。相手に対して使う敬語として適しています。
「〇〇様はおられますか?」も「〇〇様はいらっしゃいますか?」と言いかえると正しい表現になります。
自分が電話を取って、たとえば社内の誰かにつなぐときは、「承りました。〇〇におつなぎいたします」と、「代わります」を「おつなぎいたします」と丁寧に言えるといいですね。
もしもその人が電話中の場合は、「〇〇はただいま別の電話に出ておりまして」と、「いる」の謙譲語「おる」に丁寧語の「ます」がついた形の「おります」を使って、言葉をつなぎましょう。
伝言を頼まれたときは「〇〇に申し伝えておきます」と「言い伝える」の謙譲語を使って、電話をしている相手に敬意を表す表現を使うのがふさわしいです。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子