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【「できません」の認め方】精神科医 Tomyさんが伝授! 自分の中で「できないこと」を整理するためのポイント

「できない」と言えない人へ。できないことを認めることは、自己否定ではなく、自分軸を大切に生きることだそう。自分を知り、ストレスを減らす方法を精神科医 Tomyさんが伝授。

【「できません」の認め方】自分の中で「できないこと」を整理する

Tomyさん

精神科医

Tomyさん


心療内科・精神科のクリニック院長として勤務。38万フォロワー突破のTwitterが人気で、TV・ラジオなどの出演も多数。

できませんの認め方

「私は納得しているか?」この問いかけができないを認める一歩

できないことを自分で認めて、相手に誠実に伝えることにはメリットがあります。「私はこういう状況です」と伝えて、それを踏まえて「どうしましょう」と相手と話すことが大事なんですよね。なんのために大事かというと、自分が納得して生きる=自分軸を大切に生きるためです。たとえば、「他人に言われたから」「評価されたいから」「世間がそう思うから」と自分軸より他人軸を優先して、自分が納得していないことをしているとストレスがたまってしまいます。

自分軸で生きることはわがままなのではと言う人がいますが、僕はまったく逆だと思います。わがままとは、相手が納得しているかどうかを考えず、自分の都合を相手に押しつけること。自分軸で生きている人は、自分が納得して生きているからこそ、相手の自分軸も大切にすることができるのです。

自分のできないことが自分の中で整理されるほど、自分軸が明確になります。その第一歩がこの問い。「あなたはいつも納得して生きていますか?」と自分に問いかけてみてください。納得するとは、腑に落ちる感覚に近いです。たとえば、テーマパークで並ぶときに、友達が乗りたいと言ったから並びたくないのに並ぶとなると納得していないから嫌だけれど、自分がどうしても乗りたいと思って納得して並べば別に不満は生まれないですよね。自分が納得しているかがわからないという人は、もやもやしてるなと感じたときに、「なんでだろう?」と書き出してみると、自分の苦手やできないことが見えてくると思います。

仕事のできる・できないは一日単位に落とし込む。依頼は感情で判断しない

仕事の場合、僕は一日単位に自分のできることとできないことを落とし込んで、依頼を受けたときの判断基準にしています。できる基準は決して疲れを翌日に持ち越さない分量。徹夜をするようなプランを組んでも、疲れがたまり、体力がなくなって仕事が嫌になり、相手が喜ぶものができません。

その上で、依頼を受けたときに即答を避けます。できるかできないかの判断は事実に基づくもので、感情では解決しないからです。少し時間をおいて感情が収まった頃、落ち着いて判断します。

自分が納得してできることを増やしていきましょう。一日は24時間。石の数が決まってるオセロのようなものです。納得してできる白の数が増えていけば、その分黒が減りより幸せに生きていけます。

整理するためのポイント

□自分が納得していないことができないことの正体
□何がどのくらいできるのか自分の能力を把握する
□依頼を受けたら、自分の状況を相手に伝えてすり合わせる

「自分の軸を持って、自分が納得できないから『これはできない』とわかることがまず一歩。そして、相手にそれを誠実に伝えて、相手の自分軸=相手の決めるべき領分を尊重しつつすり合わせていくと、自分も相手も大切にできます」(Tomyさん)

バイラ読者にも聞いてみました! Q.自分の中に「ここまできたらキャパオーバー」と感じる「できません」というべき見極めラインはありますか?

【「できません」の認め方】精神科医 Tomyさんが伝授! 自分の中で「できないこと」を整理するためのポイント_2

子どものお迎えの時間が迫っているとき(35歳・マスコミ)

イライラしたり、心の余裕がなくなったとき(32歳・IT)

やるべきことの順序がわからなくなったら(30歳・獣医師)

家が荒れ始めたら…(40歳・販売)


夜の飲みは最大で週3回まで。22時以降の残業は週2回まで。月に1回は「半日休養の日」を設ける。(34歳・ウエディング)

対応予定の業務を期限から逆算して、残業しても終わらないと判断したら(33歳・商社経理)

約6割が見極めラインあり。最も多かったのが心身の不調。具体的には、眠れない、笑えない、頭痛、月経不順など。次に多かったのがタスクの数、残業時間などを客観的な数値に落とし込んでいる声。ラインを持ってない人からは「必要性を感じる」「自分の生活を振り返り、導き出したい」との声も

リアルバイラ世代3人の「できません」にまつわる座談会

それぞれ管理職、プレイヤー、部署で最年少という3人が「できません」を伝える・受け止める葛藤を赤裸々本音トーク!

Kさん(メーカー・29歳)


部署で最年少、頼まれ気質、頑張り屋が重なり、雑務を含んだ大量の業務をこなす日々。まだ限界がきていないが、いつくるか心配。

Yさん(化粧品会社・32歳)


専門職で社内、社外への依頼業務が多い。「相手に楽しく仕事をしてもらいたい」というモットーで依頼するが心折れることもしばしば。

Sさん(人材・32歳)


管理職2年目。後輩2人と育児中の先輩3人がメンバー。上司とチームの間に立ち、“できません”を伝える・受け止める悩みが尽きない。

できませんの判断基準は色々。一度も言ったことがない人も!

Y 「できません」って言えるほうですか?

K 私、実は仕事で一回も言ったことないんです。部署に私より下がいなくて。頼まれることしかなく全部受けてしまい……。結局パンパンになって、周囲にフォローしてもらうパターンもあって反省が多いです

Y 何か断らない理由があるの?

K 仕事ができないやる気ない子と思われたくなくて。断ったら仕事を振ってこないんじゃないかと思っちゃうと断れなくて。

S 私も最初は抱えちゃうタイプで。毎日夜中の2時まで仕事をしていて、このままだと周りも育たないし、自分も本来やるべき仕事ができないと判断基準を持ちました。

K えーどんな基準ですか? 知りたいです。

S 週10時間の残業を超えたら業務を持ちすぎというラインを決めて、私の部署の後輩にも伝えています。私自身「いっぱいになったら教えて」って昔から上司によく言われてたんですけど、「いっぱい」の基準がよくわからなかったんですよね。いちばんわかりやすいのが労働時間かなと思って。

Y すごくわかりやすくていいですね。私は「私がするべき仕事か」が基準かなぁ。この業務だからこの給与と納得して働いているので、そこはわりと明確な理由を求めます。

イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2023年8・9月合併号掲載

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