1. BAILA TOP
  2. WORK
  3. 働き方

【働く女性のチームワーク論〈まとめ〉】職場を「チーム」ととらえる時代に心地いい働き方とは?

職場は自分の時間の多くを割いて過ごす場所。ともに働く同僚ともお互いによきチームメンバーとして関われたら、余計なストレスを感じることなく、働きやすくなるはず。よりよいチームのあり方を考えます。

目次

  1. 1.働くバイラ世代の「チームワーク」実践編
  2. 2.チームで働くみんなの本音は? バイラ読者の「チームワーク」データ編
  3. 3.研究者にきく「チームワーク」にまつわる4つのキーワード
  4. 4.若きリーダーが考える“ワークするチーム”のあり方

1.働くバイラ世代の「チームワーク」実践編

職場の人間関係はいいに越したことはないけれど、友達とも違う。チーム運営の工夫について、具体的に聞いてみました!

【CASE_1】商品を世に送り出す仕事における「チームワーク」とは?

斉藤あかねさん

日清食品 マーケティング部 第7グループ

斉藤あかねさん


2017年入社。大学院で理学を研究し、食の分野は面白そう!と開発部門に入社。研究所でもライス事業を担当、無限の可能性を感じ、希望して4年目からマーケティング部に所属。

麺が主軸の会社で、“ライス”に挑む、珍しいチームの一員として

「カップヌードル」でおなじみの日清食品で「日清カレーメシ」などカップメシシリーズを企画する部署に所属。メンバー各自が商品の企画から発売までを通して担当する。斉藤さんはこれまでに「日清オシャーメシ」シリーズを企画し、先日新たに「日清炎メシ辛うまユッケジャン」をローンチしたばかり。

「ブランドマネージャー(BM)以下総勢6人の少数チームでカップメシシリーズを手がけています。フラットで気負わずに相談できるチームですね。私は入社以来、開発からマーケティングへ異動し7年間ライスひとすじ。チーム内では最もライス歴が長いので、管理職ではありませんが、チーム全体に知見を共有することも、新メンバーのメンターにあたることも。商品ごとに各自が責任を細かには把握しませんが、ポイントになるスケジュールは共有しています。もちろん迷ったり困ったりしたらBMやメンバーに意見を聞きますし、放置されている感覚になった経験はありません」

フレックスや在宅勤務が徹底された環境だが、週に2回はチーム全員がそろって出社する日を設けているという。

「対面のほうが“ちょっと話す”ハードルは低いし、お互いのフォローアップもしやすい。各自のクリエイティブな発想から刺激をもらえますし、他部署とのやりとりにアドバイスをもらうこともあります」

働くバイラ世代の 「チームワーク」実践編

部署を横断したワンチームのハブとして心がけていること

商品の企画が動きだせば、他部署との調整の連続。開発からデザイン、資材や生産、法務、営業、物流など10以上の部署と協力し細かなやりとりを積み重ねる。いわば、商品ごとにまた別のチームが立ち上がるようなものだ。

「この商品をなぜ作るのか、キックオフの時点で目的を明確に言語化することを大切にしています。それぞれの部署に向けた伝わりやすい言葉選びなど、部署をまたぐやりとりは入念に準備することが多いですね」

斉藤さんがチームの一員として心がけているのは「笑顔でいる」こと。

「楽しそうに仕事しているほうが話しかけやすいかな、と思って。もちろん、仕事ですからキツいときもありますが(笑)、チームのためにも、自分のためにも、できるだけ笑顔でいたいです」

独立性と協力のバランスが大事
【まとめ】コミュニケーションの工夫を随所に

【まとめ】コミュニケーションの工夫を随所に
所属チームでは週2で対面

案件チームでは目的を言語化
相手に合わせて伝える準備を

オフィスはフリーアドレスで、リモートワークも併用する。同じチームでも顔を合わせる機会が少ないが、対面でのちょっとした会話によって解決する課題も多いため、週2回はチーム全員が出社し、席も近くに座る日を設けている。また商品ごとにたくさんの他部署との調整が必要。そうした案件別チームとのやりとりでは業務依頼が主になることもあり、目的や認識にブレが出ないように言語化するそう。イメージを共有し、皆で一緒に商品を作り上げる。

【CASE_2】チームワークを推進する会社の中の人はどう「チームで働く」?

(左)チームリーダー 武内友紀さん(右)チームメンバー 寺川和咲さん

サイボウズ キャリア採用チーム

(左)チームリーダー 武内友紀さん(右)チームメンバー 寺川和咲さん


ともに2018年に中途入社。武内さんは前職時代から人事関連でキャリアを積んできたスペシャリスト。’22年からチームリーダーに。寺川さんはキャリア採用チームに所属しながら、希望して経営支援本部も兼務し、二つのチームをバランス調整して行き来しながら奮闘中。

自立して動くためには、お互いの得意・不得意を知っておくことが重要

企業の業務をスムーズに進めるためのアプリ「キントーン」やグループウェア「サイボウズ Office」などを手がけるサイボウズの企業理念は「チームワークあふれる社会を創る」。いわば、誰よりもチームについて考え続けている会社だ。そんなサイボウズの「中の人」のリアルなチーム運営についてぜひ聞いてみたい……!と、キャリア採用チームでリーダーを務める武内さんとメンバーの寺川さんに話を伺った。

武内 「私たちのチームは全部で7名。社内の各部門と連携し、キャリア入社の採用を実行する部署です。サイボウズは挑戦したい仕事や異動希望があれば公開で挙手が可能。該当部署に社内でつながり、目的や適性、モチベーションなどを考慮してトライできる仕組みがあります。体験入部もできますし、寺川さんのように他部署と兼務で働く時間の配分を話し合って決める、といったケースも。受動的に指示を待つのではなく、社員一人ひとりが自立を求められる社風。一方で、社員同士の助け合いもとても活発なんですよ」

寺川 「自分の得意・不得意を自覚すると、助け合いもスムーズ。私はビジョンを立てるより、ビジョンをどう実現するか、実行面を考えるのが得意です。私が役に立てる場面があれば、気軽に声をかけてほしいですし、ほかのメンバーの得意を把握していれば、助けてほしいときにお願いもできます」

武内「いい意味での“依存先”を増やすのも自立の条件だと思います。もちろん、相談しやすい空気をチーム内でつくるのが、まず大切。私は皆を引っぱっていくリーダーというより、メンバー間や他部署とのよきハブとなるよう、心がけています」

働くバイラ世代の 「チームワーク」実践編

会社のビジョンから個人のタスクまで。情報を共有する意義とは?

意外にも、サイボウズは創業後数年間は離職率が高かった。悩んだ青野慶久社長が試行錯誤の結果、行きついたのがチームワーク作りの大幅な改善だった。個人プレーだけでは物事はうまくいかない。いいチームでお互いに足りない部分を補い合えば、各自の能力が最大限発揮され、やりがいも感じられる。よりよきチームであるために、現在進行形で常に方法はアップデートしているが、守るべき基本は透明性の高い「情報共有」だという。

武内 「基本的にはインサイダーとプライバシー以外の情報は“見える化”しています。会社が目指すこと、チームの目的、個人のタスク管理……。情報を持つ人/持たない人の間でヒエラルキーを生まないためにも、あらゆるフェーズの情報を可能な限り、共有します。現在は月に1回、各メンバーと30分の1on1を行ってその内容もシェアしていますが、このやり方自体も、他チームのリーダーから共有されたものなんです。情報共有のために費やす時間も、長い目で見れば『チームをよりよくする』という目標のために有効。お互いの仕事の進行状況を知っていると、何か気づいたら声をかけられますし、失敗も小さなミスで収められます」

寺川 「目的が腹落ちしない場合も、リーダーやメンバーに臆せず質問できるので、モヤモヤしないですみます」

武内 「各自が自立して動くのが大前提ですが、仕事を過剰に属人化させないことも同時に重要。多様な距離感をもって物事にあたるメンバー構成となるように工夫します。とはいえ、チーム運営に絶対の正解はないと思っています。メンバー皆で理想のあるべき姿を共有しながら、いつでもやり方を見直していきたいですね」

武内さん&寺川さん
【まとめ】コミュニケーションの工夫を随所に

【まとめ】チームワークのコアは情報共有にあり!
月1の1on1の内容を共有

週ごとのタスクを相互共有
“やりたいこと”を全社公開

勤務地が離れたメンバーもおり、リモートワーク中心だが、自社のアプリやチャットでコミュニケーションは密にとっている。リーダーとメンバー間では1on1の時間を月1回30分間設け、話した内容を可能な範囲でチームに共有。週ごとのタスクも相互共有し、遅れがあれば、チーム内で助け合いも。仕事仲間として互いを思いやるコミュニケーションを心がけているという。やりたい仕事があれば全社公開で手を挙げ、該当チームでの検討につながる仕組みも。

2.チームで働くみんなの本音は? バイラ読者の「チームワーク」データ編

チームワークについて、バイラ読者のリアルな現状と本音について聞いてみました。

解説してくれるのは
なかむらアサミさん

サイボウズ チームワーク総研

なかむらアサミさん


2006年サイボウズに中途入社。人事、広報、ブランディングを経てチームワーク総研に参画し、現在はシニアコンサルタント。グループワークや講演活動を通して、幅広い層にチームワーク術を伝えている。

【DATA1】チームで働いたことがある

【DATA1】チームで働いたことがある

ある 87%


チーム構成は所属部署に一致 79%
チームメンバーに10歳以上の年齢差 59%

ほとんどがチームで働いた経験あり。会社勤めなら所属部署=チームという人が多く、年齢やジェンダーの違いによる考え方や経験差に戸惑うことも。チームに貢献したいと思いつつ、個々人のやる気にゆだねられるだけ、という現状にモヤモヤを抱える人も少なくない。

上下関係があるのでフランクに接しづらい(29歳・事務)
スキルレベルに差がある(42歳・IT)
自分の経験値の低さが気になる(37歳・販売)

解説)「チーム」の定義は目標を達成するための集団
「似ているようで異なるのがチームとグループ。その違いは達成するべき理想や目標があるか、ないか。たまたま同じ場所に居合わせた人たちをひとくくりにしただけでもグループは作れますが、チームは共通する目標を達成するための集団です。また、チームは絆を誓い合う集団でもありません。ともに目標に向かいながらチーム内に絆が生まれたとしても、それはプロセスを経た結果にすぎません。チームワークは精神論ではないですし、チームとは、あくまでも理想や目標を達成するために力を合わせる集団なのです」(なかむらさん)

【DATA2】チームで働くことは得意? 苦手?

【DATA2】チームで働くことは得意? 苦手?

「チームで働く」ことが得意派と苦手派、ほぼ半々という結果に。苦手派は意外に同じような人がいて、ホッとしたかも? どちらにしても、働く以上はチームの一員になる可能性が高いなら、上手にサバイブするコツを身につけたいもの。

〈得意な人の意見〉
人の意見を聞いたりまとめるのが得意(42歳・商社)

勉強や成長につながるから(35歳・製造業)
人とかかわることが好き(32歳・看護師)

〈苦手な人の意見〉
メンバーとの温度差や仕事配分に悩む(35歳・製造業)

周囲に気をつかいすぎてしんどい(37歳・公務員)
人と話すことがストレス(31歳・IT)

解説) チームワークが得意派はこんなことに注意➡自分の成功体験にこだわりすぎないこと
チームワークが苦手派はこう発想を転換してみて➡チームワークから自分が得るものに価値を見いだす
「チームは仲よしクラブではないので、苦手意識があっても『自分にとってのチームで働く意味と価値』を見いだせれば、チームの一員としてモチベーションを持って取り組めるはず。チームで働くのが得意と自負する人も、どこでも自分のやり方が通用するとは限りません。成功体験にこだわりすぎないように、少しだけ気をつけて。リーダーは、各メンバーの様子を把握しつつ、目標に対する目線合わせを言語化し、チームがうまく動くように配慮できるとよいとされています」(なかむらさん)

【DATA3】チームワークをどう学ぶ?

【DATA3】チームワークをどう学ぶ?

会社の研修で学んだ 18%
実際に働きながら学んだ 56%

チームワークについて、研修などで学んだ経験を持つ人は少数派。多くはほうり込まれた現場で実践で学んでいる状況。とはいえチームワークとは、長時間学ぶ技術でもないそう。下の「5つの基本」がチームワークを俯瞰した視点で見るためのヒントになるはず。あらためて自分のチームワーク像をとらえ直してみて。

解説)「チームワーク」は5つの基本+実践で回る

1 理想をつくる
2 役割分担
3 コミュニケーション
4 情報共有
5 モチベーション
「リーダーが目的を実現させたい理由や想いをメンバーにしっかり伝えて、共感を得ることからいいチーム作りがスタートします。共感を得られなければ何か問題があるはず。そこをクリアにしないと前に進みません。次に役割分担を明確にし、忌憚のない議論ができる環境を整え、情報を共有して皆で仕事の進め方を決める。すると、メンバー全員が納得感を得られてモチベーションアップにつながります。チーム内で個々人の理想や不得意な部分も共有すると、配慮や共感が生まれ、より強いチームになります」(なかむらさん)

【DATA4】チームメンバーとの関わり方は

【DATA4】チームメンバーとの関わり方は

雑談をする 60%
食事会をする 26%
仕事の悩みを相談する 20%

チームワークが苦手な人も、雑談や食事会など、コミュニケーションを図る努力をしている。ただし、ダラダラしたおしゃべりや飲み会は、建設的な結果につながりにくいので、多少ドライでも時間を区切り、意識的な交流を心がけたほうがいいケースもありそう。

解説)仲よくなることが目的ではないけれど発言しやすいムードの醸成を
「無理に仲よくしたり、合わせたりするのがチームの目的ではないので、メンバーとはゴールの共有と共感さえできていれば大丈夫。ただ、たとえば目的に向かう道筋が異なったら『そういう行き方もあると発見があった!』と伝えてもいいと思います。また、ちょっとしたことでも『ありがとう』と伝えてほしいですね。『ありがとう』と言われて嫌な気持ちになる人はいませんから。定例会議前に10分程度のアイドリングタイムを設け、雑談で空気をほぐすのもおすすめ。チームのムードの向上に役立ちます」(なかむらさん)

【DATA5】バイラ読者がチームで働いて“よかった”こと

【働く女性のチームワーク論〈まとめ〉】職場を「チーム」ととらえる時代に心地いい働き方とは?
_3

チームメンバーから感謝されるとやっていてよかったと思う(39歳・広告)
自分の専門分野だけでは視野が狭くなっていたことに気がつき、もっといい方法が見つかって順調に進んだ(32歳・研究職)
目標になるような仕事をする先輩を間近で見られたこと(42歳・IT)
個人的な仕事であっても、同僚や先輩とチーム感があると、一人じゃないと感じることができて、ストレスが軽減される(31歳・公務員)
チーム内に共通認識があるから、忙しいときに仕事を割り振れる(33歳・コンサルタント)
自分が経験していないことや、苦手なことができる人と一緒に働くと「見て学ぶ」ことができる(33歳・自営業)

悩みは尽きないけれど、やはり、目的を達成したり、自分がチームに貢献できたと実感できたりすると、「このチームで働いてよかった!」と前向きな気持ちになれる。チームで働くことで新たな学びを得て、自分自身の成長につながれば、やる気もきっとキープできる!

3.研究者にきく「チームワーク」にまつわる4つのキーワード

村瀬俊朗さん

村瀬俊朗さん


早稲田大学商学学術院准教授。専門はリーダーシップとチームワーク研究。University of Central Floridaで産業組織心理学の博士号を取得。博士研究員として各所で就労後、Roosevelt Universityで教鞭を執る。2017年に帰国し現職。

キーワード1【相互に頼り合う関係】Interdependency

チームのゴールに基づき、個々人のゴールがお互いに頼り合う構造
たとえばスポーツでは活躍した個人が一場面で「勝った」としても、チームは負ける場合がある。職場も同じで、個人では達成できない大きな仕事=ゴールにたどり着くために力を合わせるのが、本来のチームのあり方。「チーム全体のゴール>個人のゴールと意識してください。いい意味でお互いに依存し合い、頼りにする。個人プレーに邁進する人の寄せ集めは、一時的に成果が上がるかもしれませんが、仮にスーパースターが異動したら、結果が出せない。メンバー同士の相互依存は悪いことではなく、むしろ必要不可欠な関係性です」

キーワード2【一体感】Affect【協力行動】Behavior【共通認識】Cognition

チームの一体感・協力行動・共通認識がからみあって高まる状態
3要素はそれぞれ独立するものではなく、影響し合うもの。「たとえば、一緒に取り組むと成功すると思えたら、チームに一体感が生まれ、意識の方向づけがしやすくなる。一体感があることで、助け合いの連係プレーがうまくいき、1+1=2以上の成果につながる。チームの方向性や運営方針をメンバー全体で認識し、各メンバーが持つ情報を共有する。そうすると情報を探す必要がなく、時間と労力のコストをカットできる……3つが機能しているのがよいチームです」

すみっコぐらし

キーワード3【心理的安全性】Psychological Safety

個人間の信頼でチーム全体に心理的安全性をもたらす
信頼と心理的安全性は似て非なるもの。信頼は個人間の感情的態度を指し、心理的安全性は“臆することなく率直な意見を言える集団である”と構成メンバー全員の認識が一致している状態を指す。では、今現在、心理的安全性に欠けるチームで働いている人はどうしたらいいのか? 「信頼と心理的安全性は違うといっても、もちろん個人間の信頼はチームにいい影響をもたらします。他メンバーのやっていることを見ながら、個別作戦で信頼できる人を増やし、助け合いの交換を試みて。チームが変わる一歩に、きっとなります」

キーワード4【性別と世代】Gender & Generation

チームをとりまく性別や年齢のギャップ
男性中心の縦社会になっている企業はまだまだ多い。やはり性別も世代も異なる相手だからギャップが埋まらないのは仕方ない……。と、相互に理解することをあきらめそうになったら、バックグラウンドによる無意識の前提をいったん取り払ってみて。「世代や性別が違っても、人の考え方は意外と変わらない、と気づくケースもあると思います。あまりレッテルを貼りすぎず、たとえ相手が“おじさん”であっても、チーム内の一個人としてとらえてフラットな気持ちで接してみると、溝が埋まり、わかりあえないストレスが軽減されるかもしれません」

4.若きリーダーが考える“ワークするチーム”のあり方

龍崎翔子さん

株式会社水星

龍崎翔子さん


1996年生まれ。2015年に起業。「メディアとしてのホテル」を掲げ京都の「HOTEL SHE,」、金沢の「香林居」といった新感覚のブティックホテル、産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」などを運営・開発。ホテルの開業支援や自治体観光PRのコンサルティングにも従事。

目指すのは働き手が自走して「いい時間」を過ごせるチーム

適切に役割分担できれば自走可能なチームになる
私自身の社内の立ち位置は「経営者という役割」を担っている人にすぎません。人生を懸けて作った会社の目指すビジョンや成長戦略を描き、言葉にして伝えていくのは「経営者」の仕事の一環です。そして、ほかのスタッフも私と同じく、人生の大切な時間をこの会社に懸けて、社内で私ができない別の役割に従事してくれています。そんなメンバー誰もが自分の力を発揮できるいいチーム編成となるように、心を砕くのも私の役割です。

各マネージャーにはチームがもし自分の会社だったらどう動くかを想像して動いてほしい。リーダーが変わればチームも変わりますし、うまくいっているチームのリーダー像も実に多様で、私も勉強になっています。

いいチーム作りは、慎重な採用としっかりした役割分担がポイント。私の時間の三分の一は採用活動に割いていると言っても過言ではありません。スタートアップの会社ですし、会社のカルチャーを体現した人に得意分野を生かし、自走してもらうのが理想。現場の1チームは少人数だから、一人ひとりの存在が本当に重要なんです。チームをパズルと見立て、あいた部分にぴったりハマる人材を常に求めています。人が足りないからといって妥協すると、結局お互いにとってマイナスになる。人間の直感は意外と当たるもの。私たちと「バイブスが合う」ような、カルチャーをさらに濃くしてくれる人にもっと加わってほしいです。

採用したからには、その人の存在自体に惜しみない拍手を送りますし、「あなたの居場所はここにある」と伝えたい。働く時間を「いい時間」と感じて過ごしてほしい、と思っています。

すみっコぐらし

研修・評価制度を細分化&明確化したこと

1年かけて練り上げた制度を用いて、具体的な数値で仕事の達成度を可視化しフィードバック。何ができていて、できていないかをお互いに把握することで、改善点がクリアになり、ロードマップを描きやすくなった。客観的に事実を確認し合うことで、自分の能力が生かされている、思った以上に活躍できていたといった、ポジティブな自覚にも結びつく。

“砂場遊び”のように各自が試行錯誤できる環境づくり

「会社全体の戦略を、四半期ごとにメンバー一人ひとりのミッションに落とし込んで設定しています」と龍崎さん。チームとしての成果につながるかたちで、各自が裁量を持って取り組める“砂場”のような業務領域を渡すことで、試行錯誤する余白が生まれるのだそう。また金曜日の終業時には、メンバーでお菓子を食べながら、その週の成果を発表し、たたえあう会も。

「ファンになれる人」「先輩や上司にしたい人」を採用する

採用の決め手のひとつは「その人のファンになれるか」。「それくらいの気持ちがあるから、相手を尊重したりケアしたりが可能。具体的には、その人が入社しなかったとしてもInstagramをフォローしたいか?を考えます」(龍崎さん)。さらに年齢にかかわらず、ゆくゆくはその人にも後輩や部下ができるからこそ「先輩や上司になってほしい」と感じるかどうかも重視する。

撮影/浜田啓子(目次1、4)、伊藤奈穂美(目次3、物) 取材・原文/中沢明子 協力/すみっコぐらし ©2023 SAN-X CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED. ※BAILA2023年6月号掲載

Feature特集

Feature特集

Rankingランキング

  • ALL
  • FASHION
  • BEAUTY
  • LIFESTYLE
  • EDITOR'S PICK

当サイトでは当社の提携先等がお客様のニーズ等について調査・分析したり、お客様にお勧めの広告を表示する目的で Cookieを利用する場合があります。詳しくはこちら