忘れたいのに心に根を張っている怒り、悲しみ、悔しさ。いまさら言っても仕方ないことやささいなことなのに、許せない出来事。読者の「根に持つ」エピソード一つひとつに心療内科医・鈴木裕介さんからうまくつきあうためのアドバイスをいただきました。
BAILA読者の「根に持つココロ」に心療内科医の処方箋
・時間とともに忘れたい…61人
・根に持つことをやめたい、減らしたい…58人
・とらわれていることがつらい...55人
(アンケートは2022年7月6日〜10日に実施しました)
夫婦で一軒家を購入した話で盛り上がっていた女子会で、友人が「自分の実家はこんなに豪邸」と写真や動画を見せてきて、マウンティングしたことが自分の中で供養できていない(笑)。後から知ったのですが、その友人は結婚後、パートナーとうまくいっていないタイミングだったとか……。順風満帆であることを自慢しているように感じさせてしまったかも?と少しだけ反省。今はなんとなく距離を置いてしまっている。(35歳・会社員)
【処方箋】事情があっても怒りは抑えなくていい
「これはよい対応だと思います! 相手の事情を考えて自分の感情を押し殺す必要はありません。相手と距離を取った上で、“事情があったんだな”と後から理解してあげるくらいでいいですよ」
お金を貸したのに、言わない限り返してくれないことを根に持っています。借りた側は忘れてしまうのかもしれませんが、貸した側はずっと覚えています!(35歳・団体職員)
【処方箋】お金を大事にする人だと認識してもらおう
「お金に無頓着な相手であれば、単純に忘れているだけの可能性もあります。勇気が必要ですが、貸すたびにきちんと“返してほしい”と伝え、お金を大事にする人だと認識してもらったほうが今後楽です」
多くの人がいる前で上司に怒鳴られた。人格を否定するような内容で、パワハラだったと思う。こんな上司の下にはつきたくないし、こうはなりたくないという意味で根に持ってます。(32歳・マスコミ)
【処方箋】「根に持つ」ではすまない話です
「これは個人レベルの“根に持つ”を超えていますね。可能であればこんなやり方が横行しないよう、上司が不利益をこうむるように、しっかりと再発防止策を取ったほうがいい“事件”だと思います」
結婚した友人が、私を含め結婚していない友人に対し、「まだ結婚できなくてかわいそう」と言っていたこと。(27歳・教育関係)
【処方箋】人間性ではなく能力の問題ととらえてみて
「正当な怒りですが、振り回されたくないのなら“他人の気持ちを考える能力が低いのかもしれない”ととらえてみては。人間性の問題だと思うと腹が立ちますが、能力ならば仕方ないと許せるかも」
心療内科医
鈴木裕介さん
すずき ゆうすけ●内科医、心療内科医。 『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム)など、著書多数。
イラスト/Asami Hattori 取材・原文/東 美希 ※BAILA2022年10月号掲載