免疫力と深い関係性を持つ体に常在する“菌”。話題の乳酸菌サプリメントKINSの代表・下川穣先生に聞く、お家で自分でできる菌活シリーズ。第一回は「口内」をテーマにお届け。
口は半分外界? 口の菌環境
口内の菌でまず思い浮かべるといえば、歯周病菌。「鏡で舌を見て白い舌ゴケがいっぱいついていたら要注意。あの白いのは、菌と汚れの塊ですからね。それを放っておくとどうなるかというと、口内環境だけでなく体内環境まで悪くなるんです。歯周病をほったらかすと、糖尿病やアルツハイマー、肝臓にダメージを与えるというのも論文も多く発表されています。実は、口の中というのは半分外界みたいなものなんです。頬を触って、これは人体の外側にあるものだというのはわかりますよね。口内環境が整っている時、口内は頰と同じように人体の外側に近いんです。しかし、歯周病で歯茎に炎症が起きると、患部の傷口から血流に乗って歯周病菌の毒素が体内に巡ってしまう。さらに、毎日1.5ℓは飲み込む唾液の中にも、歯周病菌が混じってしまうわけです。それまでは体の外側に近かった口の中が、炎症を起こすことで初めて体の内側と直結してしまうんです。だから、口内だけではなく全身のことを考えても、悪い菌がはびこりにくいよう、口内の菌環境を整える必要があるんです」(下川先生)
NO殺菌、DO加菌。 入れて育てて邪魔しない菌ケア三箇条
「歯周病菌が悪さをするというのは絶対的に明らか。じゃあ、殺菌効果の強いマウスウォッシュで予防すればいいのかというと、そう簡単にはいかないのが口内環境の面白いところです。菌の世界にも、人間と同じようにいいやつもいれば悪いやつもいる。なんでも一緒くたに滅殺してしまったら、逆に口内環境は悪くなる一方なんです。1番気をつけてほしいのが、殺菌作用の強い製品を連用すること。一度菌を滅殺しても、その後で菌を育てればなんとか元に戻すことができますが、繰り返したり長期間使うのはおすすめできません。では、口腔内環境を整えるにはどのような習慣が必要になるのか。大切なのは、口腔内環境を「正常」に保つことです。トラブルが起きないようにコントロールする事が重要。最も基本的なものは「歯磨き」。1日3回以上のブラッシングを行う方は、腸内のカンジダ菌が大幅に抑えられるそうです。また、上記のマウスウォッシュと同じ原理で、歯磨き粉にも注意が必要です。口の中がスッキリするタイプの歯磨き粉は「磨いた気になってしまう」もの。口内への刺激が少ないものの方が、じっくりと洗えてオススメです。面白いのが、最近では「お口用」の乳酸菌サプリも出てきました。幅広いケアを試して、自分に合うものを見つけてみてください!」
菌ケア三箇条をサポートする、菌マネジメントアイテム3
教えてくれたのは…下川穣先生
歯科医師。腸内フローラや口腔内フローラの専門家でもあり、マニアックな菌知識で知られる。肌や体内の菌環境を整えるサプリメントやスキンケアを扱うサブスクリプションサービス「KINS(キンズ)」の代表。医療法人癒合会高輪クリニック元理事長。https://yourkins.com
取材・文/長田杏奈 構成/渡辺敦子〈BAILA〉