30代のお尻悩み&疑問に、医師がお答え! 今回は、あな痔とは何か?と、治し方についてお届けします。
痔の3大疾患のひとつ、痔瘻(じろう いわゆる あな痔)とは!?
30代女性のお悩み&疑問
・「男性の上司があな痔になり、手術をしたらしく。話を聞いたら、お尻の皮膚にたくさんの穴ができ、膿が出てきたらしい。怖すぎる……。絶対にかかりたくない!」
・「下着のお尻部分が膿のようなもので汚れていたのですが、もしかしたら、あな痔!? 女性もなるの!?」
30代女性で悩む人も多い痔。痔の3大疾患と言われる、痔核、裂肛、痔瘻。今回は、痔瘻についてを解説!
医師のお答え!
【監修】寺田俊明先生 「寺田病院」理事長/院長/胃・大腸肛門病センター長
<プロフィール>東京医科大学卒業後、三井記念病院(千代田区)外科研修医を経て亀田総合病院(鴨川)消化器科にて内視鏡をはじめ多種にわたる検査を習得。その後、 大腸・肛門病の専門病院である東葛辻仲病院(我孫子)にて肛門疾患の手術全般を学んだ後、寺田病院 副院長、胃・大腸肛門病センター長として赴任。現在、理事長・院長、胃・大腸肛門病センター長を兼任。
あな痔とは、お尻に膿が詰まったトンネルができた状態
痔瘻(いわゆる あな痔)……肛門の周りに膿みが溜まった状態を肛門周囲膿瘍といいます。痛いのを我慢していると皮膚が破れ(自潰したり、病院で皮膚に切れ目を入れて膿を出し(排膿)たりして、瘻管(皮膚まで貫通するトンネルのようなもの)ができた状態。
直腸と肛門の境目のヒダにある小さな穴、肛門陰窩(こうもんいんか)からばい菌が入りこみ、肛門を締める筋肉付近に、ばい菌の巣(瘻管)ができた状態を痔瘻といいます。
お尻の奥に膿が溜まってしまった場合は触っても分かりませんが、皮膚のそばなら硬く痛くなるので押すと分かります。膿がたまる位置によって症状が異なり、肛門の奥が重く便が出にくくなったりすることも。
膿が破裂して外に出ると痛みがなくなるため、お尻の皮膚まで貫通した穴から自分で膿を出し、我慢する人もいます。しかし、そのまま進行するとお尻の中が瘻管だらけの“モグラの穴”状態に。お尻の筋肉が緩んだり、稀にガン化するケースもあるので、きちんと肛門科を受診して治療を受けましょう。
あな痔を治したいなら、手術で穴をとる!
痔瘻の治療は手術が基本。痔瘻の入り口や、最初にばい菌が感染した穴とからお尻の皮膚に開いた穴までの管を切除する手術です。肛門の中にばい菌が入り込む穴がある限り、トンネルは自然には無くならないことが多く膿や浸出液が出てくるので、手術でとってしまいます。
きちんと手術をせずに、自分で膿を出してやり過ごす人もいますが、放っておくとトンネルが膣と繋がってしまい膣から便が出たり、トンネル(瘻管)だらけとなることで、いざ手術をするときに肛門括約筋が損傷されて肛門が緩くなってしまう人も。その場合、便が垂れ流しとなり、人工肛門が必要となるケースもありますので、きちんと早めに手術を受けましょう。
患者の男女比は……男性の方がやや多め!
患者の男女比は、男性6.5:女性3.5で、男性の方がやや多め。とはいえ、女性の患者も少なくはないので、気になる症状があれば早めに肛門科へ。
放置は絶対NGな、あな痔。おかしい……と思ったら、肛門科を受診しましょう!
取材・文/櫻木えみ 企画/斉藤壮一郎〈BAILA〉