芥川賞と直木賞は、日本文学界で最も注目される2大文学賞👀
先日発表された第173回ではなんと受賞作が「該当なし」。1998年以来、実に27年ぶりの出来事となり、ニュースでも話題になりました。
紹介したい本:
芥川賞過去受賞作品で、ぜひ紹介したいのは井戸川射子さんの『この世の喜びよ』。
2022年の受賞作で、詩人でもある著者の繊細な文体が特徴です。物語は、一人の母親が、ある少女との出会いをきっかけに、成長した娘たちの“かつて幼かった日々”を静かにたどり直していくものです。帯には、「思い出すことは、世界に出会い直すこと」と書かれています。

母の心を深く描く:
私は、母親の視点で描かれたこの物語に、自分の母の姿を重ねながら読みました。読み進めるうちに、「ありがとう」「ごめんね」が頭の中に浮かんできて、涙が止まりませんでした。
表紙の可愛らしさからは想像できない、言葉の深さと感情の重み。読みやすいとは言えないけれど、心に深く響く作品です。
芥川賞がなければきっと出会わなかった作家。知らなかった文体。そこに触れられたことが、何よりの“ときめき”でした。これからも、芥川賞で出会える物語を楽しみにしていたい。また心をざわつかせてくれる一冊と、出会えますように!