バイラ世代も少女のころ夢中になった『りぼん』は2025年で創刊70周年。70年の中で誕生した物語は、まさに時代を映す鏡。今回は2000年以降の代表的な作品から、時代の流れを読み解きます。意外にも(?)バイラ世代だったキャラクターや、2001年から『りぼん』の今を見てきた『りぼん』編集部副編集長Mさんによる、貴重な話も合わせてご覧ください。
2000年代突入!
●2002年 4月号
『愛してるぜベイベ★★』槙ようこ

3巻 ©槙ようこ/集英社
《BAILA世代キャラ》『愛してるぜベイベ★★』主人公結平の姉・鈴子
母親が失踪した5歳のいとこ・ゆずゆの面倒をみることになった高校生の結平。姉・鈴子の普段はゆるい言動だがいざというときははっきり言うところがかっこいい!
●2004年 4月号
『チョコミミ』園田小波

1巻 ©園田小波/集英社
ギャグ×おしゃれのミックスが唯一無二!
ネット社会に入りエンタメが細分化した時代。「おしゃれが好きなコにも楽しんでもらうために取り入れた『チョコミミ』のおしゃれノートは読者からの反響も大きかったです」(Mさん)
●2007年 5月号
『CRASH!』藤原ゆか

©藤原ゆか/集英社
男性アイドルグループでファンを獲得!
芸能事務所社長の娘がアイドルを育成! 当時は嵐がヒット曲を連発したり、男性グループへの注目度も高かった。「藤原先生は男のコを描くのが上手な方。編集部でも連載前から“メンバーそれぞれにファンがつく作品”と盛りあがっていました」(Mさん)
●2008年 10月号
『夢色パティシエール』松本夏実

©松本夏実/集英社
主人公のいちごがスイーツ精霊と出会いパティシエールを目指す。スイーツ精霊たちがたくさん登場するなど、推しを選ぶ楽しさも。
●2008年 10月号
『絶叫学級』いしかわえみ

ⓒいしかわえみ/集英社
様々なニーズにこたえる作品が増えていく中で始まったオムニバスホラー。「“毎号雑誌を買う”という習慣がないコも増えてきた頃。1話完結の掲載は読みやすく、読者と雑誌をつないでくれた作品のひとつです」(Mさん)
●2009年 12月号
『ひよ恋』雪丸もえ

©雪丸もえ/集英社
内気なひよりがクラスの人気者の結心との出会いで成長していく。「当時は積極的なヒロインも多かった中生まれた人見知りで内気なヒロイン。たくさんの読者が待っていたかのようにひよりに共感し応援してくれていました」(Mさん)
●2014年 10月号
『バディゴ!』黒崎みのり

©黒崎みのり/集英社
動画配信サイトから生まれるエンタメも主流になった時代。素性を隠し男装してアイドルユニットを組むストーリーは時代のニーズにハマった。「黒崎先生はアイディアが豊富な作家さん。男装は定番のひとつですが、しっかり時代の流れをくんで新しいものにしていたのがさすがでした」(Mさん)
●2016年 2月号
『ハニーレモンソーダ』村田真優

1巻 ©村田真優/集英社
累計発行部数1400万部突破
憧れとリアリティが見事に交差!
映画化とTVアニメ化も! 「主人公は読者が“自分以上に生きづらさを抱えている”とも思えるキャラ。キラキラの中にも羽花の成長がていねいに描かれていることが、世代を超えた大ヒットにつながったのだと思います」(Mさん)
●2018年 9月号
『さよならミニスカート』牧野あおい

1巻 ©牧野あおい/集英社
数々のマンガ賞でも話題に!
男女の中にある性差問題を提示
“このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない”のコピーとともに連載開始時から大きな話題を呼ぶ。「牧野先生はあくまでラブストーリーを描かれているんです。それが社会性を反映した作品になるところが作家性の強さですよね」(Mさん)
●2023年 3月号
『絶世の悪女は魔王子さまに寵愛される』朝香のりこ 原案*あいら*

4巻 ©朝香のりこ/集英社 ©*あいら*/スターツ出版
美しい作画で小説のコミカライズが大成功!
ケータイ小説レーベルの“野いちご”の小説が原案。「小説のコミカライズも積極的に行っています。朝香先生の作画は読者が憧れるシーン描写がふんだんに盛り込まれているのも魅力」(Mさん)
●2024年 5月号
『いれいすハウスへようこそ!〜個性バラバラな歌い手が一緒に住むことになった件〜』こきち

2024年りぼん11月号 イラスト/こきち
人気歌い手グループ・いれいすをコミカライズ。新たな読者層を獲得!
●2025年 7月号
『曖昧ブルー・ビースト』酒井まゆ

ⓒ酒井まゆ/集英社
数々のマンガ賞でも話題に!
推しのアイドルがグループを脱退し同級生に。推し活時代にどハマりなストーリーと美作画に注目が集まる。
●2025年

創刊70周年を迎える!
2025年2月号の裏表紙には歴代のヒロインが大集結! 7月3日発売の8月号では、今年連載が始まったばかりの『はじめてのおにいちゃん』(香純裕子)が表紙に。元彼が義兄になるというストーリーと積極的なヒロインの魅力で人気を集める。
まだまだ語り足りない!『りぼん』愛・座談会

1988年生まれ
ライターうえむら

1997年生まれ
編集ぴら
●う 「『りぼん』の70年の歴史、きっとここに出せたのは一部だけど、それでもすごかったですね!」
●ぴ 「本当に! どの時代のことも年表として見ているだけでもワクワクしました」
●う 「クロニクルを見ていて思うのは、時代ごとに描かれる主人公に変化はあっても、当時の『りぼん』読者にとって“自分もこうありたい”っていう憧れであることはずっと変わらない部分なんだなということ。内面的な部分はもちろん、1960年の『マキの口笛』ではイラストで着用する服がプレゼントされていたり、2004年の『チョコミミ』のおしゃれノートだったり……ファッション的にも憧れを提供し続けているのが素敵」
●ぴ 「私、『チョコミミ』大好きでした! ファッション誌も好きだったから、あのおしゃれノートの部分も熟読していて。ああいうふうにファッション誌の好きなモデルさんのページや物の写真を自分で切って、ノートに貼っていました」
●う 「セルフおしゃれノートを作ってたってこと?」
●ぴ 「そうです!」
●う 「えー、可愛い」
●ぴ 「自分で描くには絵がヘタすぎたので、写真でやって楽しんでました(笑)」
●う 「私は真似するってことはあまりしてなかったんだけど、『GALS!』の蘭ちゃんの部屋の描写をすみずみまで見てた! 自分の部屋よりどう考えても広いのに、蘭ちゃんの部屋みたいにド派手なインテリアでいっぱいにしたくて。理想の間取りをノートに描いてました(笑)」
●ぴ 「ヒロインが暮らす部屋って魅力的でしたよね」
●う 「そうそう! それこそ今の『りぼん』だと、『ハニーレモンソーダ』の羽花ちゃんの部屋はグリーンがいっぱいあってキャラクター性がしっかり出ていて見入っちゃったり」
●ぴ 「きっと今の『りぼん』読者にも憧れてるコがたくさんいるんでしょうね。クロニクルでほかに気になった部分ありましたか?」
●う 「1990年代のヒロインたちは明るくハツラツとしてたっていうところ。確かに、どの作品のコもすごく明るくて笑顔がよく似合っていて。そんなコたちだからこそ、本気で人とぶつかって落ち込む描写が際立つし、一緒になってめちゃ落ち込む」
●ぴ 「対比がしっかりしてる分、感情移入もよりしてしまいますよね」
●う 「そう。特に『こどものおもちゃ』の紗南ちゃんは物語終盤で笑顔をなくしてしまうエピソードがあるんだけど、次の号が発売するまでの1カ月間、何度も読み返してはハラハラ……っていうのを繰り返してた。あと、こうしてクロニクルで順を追っていくと、2000年代以降ひとひねりあるような設定のヒット作が続いていた中で『ひよ恋』は『りぼん』に王道青春ストーリーのよさを再び呼び戻してくれた作品だなと思うね」
●ぴ 「そうですよね。私、『ひよ恋』は中学生の頃にコミックスで読んでいて。当時世の中的にはネットが発達したり、“スクールカースト”みたいな言葉が広まったりちょっと気持ち的に疲れちゃう時期だったんです。そういうときに『ひよ恋』のピュアな世界にふれて癒されていたし、少しずつ自信を持っていくひよりちゃんに励まされたりしてました。私みたいな人、きっとたくさんいると思います」
●う 「あらためて『りぼん』の作品には素晴らしいものがたくさんあることがよくわかりました!」
●ぴ 「作家さん自身も『りぼん』を読んで育っている人が多いからすべての作家に『りぼん』で培ったエンタメのエッセンスとご自身が過ごしてきた“これが好き”っていうのが見事に合わさった作品が多いんだなって思いました」
●う 「70年の歴史がある雑誌だからこそ生まれた作家性だよね。『りぼん』の歴史が続く限り、素敵な作家さんが生まれ続けると思うと、これからの『りぼん』もすごく楽しみです!」
年表監修/須川亜紀子〈横浜国立大学 教授〉 取材・原文/上村祐子 ※BAILA2025年8・9月合併号掲載
























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