
この作品は、死刑制度をテーマにしたミステリーです。でも、読み進めるうちに感じるのは、犯人探しの面白さよりも、「人は人を裁く資格があるのか」という重い問いでした。
特に印象的だったのは、死刑囚にも、事件に関わる人にも、それぞれの人生があるということ。当たり前のことなのに、私たちはニュースの見出しだけで、一人の人間を知った気になってしまいます。
誰だって一度は「一部分だけを見て評価される」ことを経験してきたのではないでしょうか。事情を知られないまま決めつけられたり、一度ついた印象だけが独り歩きしたり。
もちろん、それと犯罪を同じにすることはできませんが、「人は簡単に誰かを判断してしまう」という点では、どこか共通しているように感じ、身近に感じてしまいました。
『13階段』は、死刑制度に賛成か反対かを押しつける本ではありません。
むしろ、「本当にこれでいいのだろうか」と考える時間を与えてくれる作品でした。
『13階段』を読んで、私はもう一つ考えさせられたことがあります。
最近はSNSを中心に、事実がすべて明らかになる前から誰かを断罪したり、「正義」の名のもとに大勢で批判したりする場面を目にすることがあります。
もちろん、間違ったことを指摘することは必要です。でも、その人の背景や真実がすべて見えているわけではありません。
『13階段』は、まさにその危うさを描いた作品でもあるように感じました。
私たちは、自分が正しいと思うほど、知らないうちに誰かを傷つけてしまうことがあります。
だからこそ、この作品を読み終えた今は、「誰かを裁く前に、一度立ち止まって考えること」の大切さを以前より意識するようになりました。
正義とは何なのか。
罪を償うとはどういうことなのか。
そして、私たちは誰かを断罪するとき、どこまでその人の背景を知っているのだろう。
読み終えたあとも、その問いは頭から離れませんでした。
本を読むことの価値は、知識が増えることだけではなく、自分の「当たり前」が少し揺らぐことなのかもしれません。













































































