誰にでもありうる話なのかもしれない

「もし自由に使えるお金があったら、自分はどう変わるのだろう。」
所謂Z世代に流行りのNISA貧乏をしてみるべく節約生活をしいるバイラーズ清水です。
そんな生活をしているせいであまり想像をしていなかったのですが、角田光代さんの『紙の月』は、そんな問いを静かに投げかけてきます。
主人公は真面目で、ごく普通に暮らしている銀行員。
特別な悪人ではなく、どこにでもいそうな一人の女性です。
だからこそ、物語が進むにつれて起こる出来事に「自分には関係ない」と言い切れない怖さがあります。
この作品を読んで感じたのは、お金そのものが人を狂わせるのではないということです。
むしろ、お金はその人が心の奥に抱えていた欲望や孤独、承認されたい気持ちを映し出す鏡なのかもしれません。
「あと少しだけなら。」
その小さな一歩が積み重なり、気づいた時には引き返せない場所まで来てしまう。
そんな人間の心理が、とても丁寧に描かれています。
特に印象的だったのは、主人公が決して贅沢だけを求めていたわけではないこと。
誰かに必要とされたい、自分の人生を生きていると実感したい。
誰にでもある、そうした感情が少しずつ積み重なり、お金という形で表れていく様子は、とてもリアルでした。
安心したい、自信を持ちたい、誰かに認められたい。
欲しかったのは紙幣そのものではなく、その先にある「満たされる感覚」だったのかもしれません。
読み終えたあと、私は自分のお金の使い方についても考えました。
本当に欲しいものに使えているだろうか。
不安を埋めるためだけに、お金を使ってはいないだろうか。むしろちゃんと使えているだろうか。
そんなことを自然と振り返っていました。
派手な展開で読者を驚かせる作品ではありません。
だからこそ、静かに心へ入り込み、読み終えてからも長く考えさせられる一冊です。
お金は人生に欠かせない存在ですが、それ以上に大切なのは、お金とどう向き合うか。
『紙の月』は、人間の弱さと欲望、そして幸せとは何かを改めて考えさせてくれる作品でした。













































































