働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第14回! 今回は、言葉数の少ない夫が何を考えているのかわからないという悩みに田中先輩が的確アドバイス!
《今月のお悩み》言葉数の少ない夫が、何を考えているのかわからない(33歳・会社員)

夫の気持ちがわかりません。何か言いたげだな?と思ったときに「何か言いたいなら言ってよ」と言っても「ううん、大丈夫」と言います。夫婦なのにこのまま私は夫の本音を聞かずに終わるのかなと思うことも。本当に何も思ってないのか、争いを恐れて言わないのか。どうしたら本音を引き出せると思いますか。
田中先輩の答え…寡黙な男たちにはそれぞれの“寡黙になる理由”がある

会話は当たり前じゃない。ときには努力も必要‼
言葉数の少ない夫といえば、僕の父がまさにそれです。まず、自分から会話を始めることがないし、話しても声が小さくて。家族全員が「え、なんて言ったの?」って聞き返す音量で言葉を発していましたからね(笑)。そんな父とは対照的に母はよくしゃべる人で、そんな“静と動”のバランスがわが家では当たり前で、僕は父の寡黙さを気にしたことがなかったんだけど。これが夫婦となると、多分、また話は違ってくるんでしょうねぇ。
僕自身、結婚してからコミュニケーションの大切さを痛感。独身なら一人で考え動くことができるけど、二人になった今は何をするにも話し合いが必要で。予定を決めるときも、大きな買い物をするときも「どうする?」って細かく会話を重ねるわけですよ。僕なんかは一人の時間が長かったから、今はそんな時間が楽しくて仕方ないんだけど。いつの日か、それすらも面倒に感じるときが来るんですかね、怖いですね。
母いわく、父も昔はもっと話す人で。最初から寡黙だったわけではなく、年々、声が小さくなっていったらしいんです。で、周りに聞いてみると、そういう“お父さん”がけっこう多くて。その一人がうちの相方の山根です。彼も家庭では相談者さんの旦那さんみたいによく言うらしいんですよ、「ううん、大丈夫」って。その理由はズバリ奥さんとケンカをしたくないから。たとえ言いたいことがあったとしても、それを言ってしまったらケンカになるわけで。そこから仲直りするまでの時間と労力を考えると「大丈夫」とのみ込んだほうが早いとのこと。ちなみに、山根はコンビ間でも「ううん、大丈夫」をよく口にする。昔は一緒にネタを考えたりもしたんですけど、なんせ山根の言うことが面白くなくてね。次々とはねのけていたら「どうせ田中が決めるんだろ」って、最終的には何も言わなくなっちゃったっていう(笑)。世間の寡黙なお父さんたちにもきっと、それぞれの“寡黙になる理由”があって。奥さんからすれば困ることでも、旦那さんからすればそれが夫婦円満のための努力だったりするのかもしれないよね。
また、世間には性格的におしゃべりが得意じゃない人もいます。旦那さんがそのタイプなら「そのままでいいんじゃない?」と僕は思う。だって、奥さんはその寡黙さを愛したはずで、話し上手ではなく聞き上手なところに惹かれたのだと思うから。その証拠に、旦那さんが急にベラベラ話しだすところを想像してみてください。必ず思うはずですよ、「ウザイ」って(笑)。結婚すると「好きになった理由」や「好きになったときのこと」を忘れてしまう。それも会話を減らすひとつの原因なのかもね。また山根の話になっちゃうんだけど、彼も夫婦の会話が減って奥さんに怒られたらしいんですよ。「私に興味を持て、私が好きな映画やドラマをもっと見ろ」って(笑)。で、話題のドラマを見たら奥さんは喜んで会話も盛り上がったんだって。恋人期間はお互いを理解したり共通の話題を探す努力をするけれど、結婚後は忘れがち。もう一度、そういうことを思い出すのも大事なことかもしれないよね。たとえば、旦那さんが野球好きならば一緒に観戦してみるとかさ。怠慢になると滞るのがコミュニケーションで、円滑にするにはいつまでも多少の努力が必要なのかもね。

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田中卓志
たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2023年11月号掲載