【アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談】「怒られるのが怖くて小さい嘘をついてしまう」悩みに的確アドバイス！【隣の部署の田中先輩】

働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない（!?）アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第13回！　今回は、怒られることが怖くて小さい嘘をついてしまうという悩みに田中先輩が的確アドバイス！

上司や先輩から、仕事のことで詰められると、バレないレベルのしょうもない噓で乗り切ろうとしてしまいます。大人なのでやめないといけないとわかっているけれど、怒られると、つい、つじつまを合わせたり、後輩や取引先のせいにしたり、都合のよいことを言ってしまうのです。いけないことですよね…

今のままだと待っているのは“ヤバい40代”になる未来

まず、自分のミスを他人のせいにするのは絶対によくないよね。罪の上塗りでしかないし、その噓がバレたときには大事な信頼まで失いますから。

僕がまだ若手芸人だった頃、先輩芸人の舞台の手伝いをよくしていました。そこには50代くらいの舞台監督さんがいて、彼の指示のもと僕たちは動いていたんですけど。ある日、その監督さん自身が間違えて、舞台上に必要のない小道具を置いてしまったんですよ。舞台終了後の反省会ではそのミスが議題に。そこで彼が口にしたのは「すみません」の謝罪ではなく、「おまえら、次回は気をつけろよ」というまさかの責任転嫁で。当時の僕たちにとっては、何十歳も年上の大人がそんなしょうもない噓をついたことが衝撃でしかなくて……。当時の仲間と酒を飲むと、今もあの舞台監督の悪口が飛び出しますからね。もう20年以上たつのに（笑）。

そんなダメな大人の背中を見て「他人をおとしめる噓は信頼を失う」と学んだ僕ではありますが、保身のためにしょうもない噓をついたことは何度もあります。「渋滞していた」や「体調が悪かった」を遅刻の言い訳にしたりね。「自分の評価を下げたくない」と思うのはごく普通のことですから、うまくつじつまを合わせることができるのならば、たまには小さな噓をついてもいいとは思います。ただ、ここで大事なのが「本当にできる人は噓も言い訳も口にしない」ということ。たとえば、有吉（弘行）さんって、いつも現場に誰よりも早く入るんですよ。あんなに売れっ子で忙しい毎日を送っているのに。そういう姿を見ると思うわけですよ。「言い訳ばかりしてやらない俺、ダサいな」って。

怒られるのがイヤなのはきっと「できないヤツと思われたくない」なんて変なプライドがあるから。でも、そのプライドがさらに自分をできないヤツにしてしまうんだよね。上司が怒るのは成長する可能性を感じてくれているからです。だからこそ、僕は「変わるなら今だよ」と伝えたい!!

20代の頃は経験もなく未熟だからこそ、周りからも元気に勢いよく挑戦する姿勢を求められるけど。30代で求められるのは責任や確実性です。いつまでも未熟なままだと「そんなこともできないの」とあきれられてしまう年代に突入するというか。20代で積み重ねた経験を糧に、周りから求められたものを確実に返すことが大事になってくるんですよね。そして、その確実な言動を積み重ねることで40代に必要な説得力を手に入れることができるというか。周りから「あの人が言うなら間違いない」と思ってもらえる大人になれるのだと思うんです。

確実性が求められる30代で、噓や言い訳という不確実なものばかり口にしているのも問題ですが……。そもそも、30代って本来は怒られなくなってくる年齢なはずなんですよ、なのに、今も怒られているのはきっと、20代の頃に怒られることから逃げ続けてきたから。自分のミスや未熟さと真正面から向き合ってこなかったから。人生は今の自分の積み重ねです。今ならまだ間に合うはずだから、怒ってくれる人の言葉を宝だと思って受け止めてほしい。って、この相談者さんにはこれも小言に聞こえるのかもしれないけど。まずは、僕のこの小言を受け止めることから、始めてみてはいかがでしょう（笑）。

撮影／黒沼 諭〈aosora〉　ヘア＆メイク／高橋将氣　スタイリスト／高山良昭　イラスト／ますこえり　取材・原文／石井美輪　撮影協力／アワビーズ　※BAILA2023年10月号掲載