働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第12回! 今回は、可愛く思えない後輩がいるという悩みに田中先輩が的確アドバイス!
《今月のお悩み》これは嫉妬なのか。可愛く思えない後輩がいます(29歳・人材営業)
直近の後輩に、インフルエンサーで目立っている子がいます。見た目も中身も華やか、職場の男性たちからちやほやされています。自分に何か迷惑がかかっているわけではないのですが、なぜか彼女を見るとモヤッと嫌な気持ちに…いやしい嫉妬心をどう処理したらいいですか。
田中先輩の答え…永遠のチヤホヤは存在しない。人気は必ず移り変わる
年齢を積み重ねるたび人気の質も変わっていく
正直、人気のある後輩芸人を見て「オレもチヤホヤされたいなぁ」と思うことはある。でも、僕はそこで嫉妬をしたりはしないんですよ。だって、人気なんていうものは簡単に移り変わることを知っているから。
もうバイラ読者の皆さんはスッカリ忘れているかもしれませんが、僕自身、若手芸人だった頃には“キモかわブーム”を巻き起こしたことも。世間の女子から「キャーッ♡(歓声)」と言われた時期もあったんですよ。でも、それはあっという間に終焉を迎え、気づけば「ギャーッ‼(悲鳴)」と言われるように。「黄色い歓声を上げてくれていたあの人たちは全員、海外に移住しちゃったのかな?」と思うほど、キレイにいなくなりましたからね(笑)。そんな自分の経験からも思うのですが、若手のときの人気ってアイドル的なムーブメントに近いというか。その人気を10年後もキープできるかといったら、それはとても難しいし。また、その人気が大きいほど、そこに陰りが出てきたときの苦しさも大きくなるわけで。だからこそ、キャーキャー言われている後輩芸人を見ると思うんですよ。あまたいる芸人の中でもそれを経験できるのはひと握り。誰もが経験できることじゃないし、ずっと続かないからこそ「今この瞬間を思い切り楽しんでほしい」って。
会社で人気がある後輩女子だって、今はチヤホヤされているけど、10年後も同じようにチヤホヤされているかといったら、それは違うと思うんですよね。なのに、その子を見てモヤッと嫌な気持ちになってしまうのはきっと、相談者さん自身が“自分も過去にチヤホヤされたけど、最近はされなくなって悲しい”そんな苦しさを感じる時期にいるのかもしれませんね。ちなみに、僕がどうやってその苦しい時期を乗り越えたかというと……。やっぱり、キモかわブームが終わると仕事も減っていくわけで。「このままじゃマズイぞ」と、とにかく仕事を必死に頑張りました。人気ではなく芸を見てもらえるように、そこをちゃんと評価してもらえる芸人になるように。そこからが、芸人としての僕の本当のスタートだったような気がします。
若さゆえの華やかな人気は簡単に移り変わるものです。そこに執着すると自分を苦しめるだけ。だったら、そんな執着心はさっさと手放し、違う魅力を手に入れたほうがいい。たとえば、仕事ができる人間になるとか、会社の空気をよくする存在になるとか。実際、職場で慕われているのってそういう上司や先輩ではありませんか? 逆に、40代や50代になってまで、きれいで流行に詳しいというだけで慕われている人ってほとんどいないと思うんだよね。年齢を重ねるほど、外見ではなく中身が大事になっていきます。女芸人界でも大久保(佳代子)さんとか、いつも周りに「飲みに行きましょう」って後輩芸人が集まってくるもんね。面白いだけでなく、気づかいもできる人だし、苦労もしているから相談にも乗ってくれて、さらには下ネタを織り交ぜながら後輩の話を聞いてくれるっていう(笑)。やっぱりね、周りから愛されるのってそういう人なんですよ。この相談者さんも今日から気持ちをシフトチェンジすれば、いつの日か、そんな存在になれるかもしれないよね。
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田中卓志
たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2023年8・9月合併号掲載