仕事、結婚、出産…などなど、環境の変化によって女友達との関係性や距離感にも変化が訪れる悩み多き30代。ジェーン・スーさん×堀井美香さん、頼もしい二人の先輩が、友情厄年の乗り越え方をビシッと解決! 今回は「女友達の地位の低さ」について。
女友達の地位って低すぎませんか?(36歳・広告)
大学からの友達グループ4人組の一人がモラハラ夫に苦しめられていて、ほかの3人でずっと愚痴を聞いていました。「今すぐ離婚は無理でも別居して安全なところに逃げたら?」など真剣にアドバイスする日々が8年続いたある日、いきなり彼女から「離婚することにした」と報告が。何事かと思ったら「好きな男性ができた」とのこと。うちらが粘り強く話を聞いて離婚をすすめても無視してきたのに、「男の言うことなら聞くんかい!」とずっこけました。女友達の地位って低すぎませんか⁉
話を聞いてそばにいる。友達はそれだけでいい
スー 8年間も離婚を決断できなかった友達が、好きな人ができたことでスパッと別れられたんでしょ。これって「わーマジでよかった! シャンパン持ってきて〜‼」と泣いて喜ぶところじゃない?
堀井 ずっとアドバイスしてあげたのに……って思っちゃうんだよね。
スー 「感謝が足りなくない?」って見返りを求めてる、“GIVER”と“TAKER”でいったら“TAKER”なんですよ。そもそも他者の人生をコントロールできると思ってるのかな? だとしたらそれはとても傲慢。自分の立場だったらそうじゃないですか。「あんなに話を聞いてあげたのに、どうして私のアドバイスを聞かないの?」と言われたらギョッとするでしょ。自分のわがままが通らないことを“悩み”とか“心配”に置き換えているけど、エゴが通らないってだけの話なんですよ。私が友達から同じような愚痴を聞かされたら「そうか、いつか別れられるといいね」とは言うけど「なんで別れないの?」みたいなことを8年間言い続けることはしない。だって本人が別れないことを選んでいるわけだから。
堀井 私もスーちゃんに愚痴を聞いてもらうことはあるけど、解決してほしいとか、新たな気づきを得たいとはまったく思っていないんです。ただもう、壁みたいに立っていてほしい(笑)。でも話せばちゃんと耳を傾けてくれる、いつでも門戸が開いているという安心感が、友達がいてくれるよさだと思うんです。
スー 「あの子に言うと必ず否定される」と思ったら、つらいときに相談できないじゃないですか。絶対にないことだと思うけど、美香ちゃんが不倫したとしても私は否定しない。「あんたがするなんてよっぽどだね。ちょっと話を聞かせてもらおうか」とは言うけどね(笑)。そういう行動に至る何かがあるわけだから。自分が相手に何かできると思ったら大間違い。話を聞いて、そばにいてあげることくらいしかできないと思います。
「他人をコントロールできると思うのは傲慢。GIVERであれ!」 ジェーン・スー
「友達のよさは、いつでも門戸が開いていると思える安心感」 堀井美香
TBS Podcast ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
2020年10月にスタートしたTBSラジオのポッドキャスト番組。年齢を重ねることが楽しみになる、スーさん&美香さんのユーモアあふれるおしゃべりが大人気!
ジェーン・スー
1973年5月10日生まれ、東京都出身。作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティ。著書には『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』『生きるとか死ぬとか父親とか』などがある。
堀井美香
1972年3月22日生まれ、秋田県出身。TBSアナウンサーを経て2022年に独立しフリーに。ラジオパーソナリティ、ナレーション、ライフワークである朗読会の開催など幅広く活動。
撮影/神戸健太郎 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2024年6月号掲載