毎日暑い日が続くシーズンに突入。夜も気温が下がらず、寝苦しい日が続き……安眠できない悩みは切実。そんな30代・40代が抱える「熱帯夜睡眠」の悩みや疑問に、睡眠専門医の井坂奈央先生がお答え! 今回は、熱帯夜での「就寝前の飲み物、食べ物」について聞きました。
夏の夜も熟睡したい! 寝る前の飲み物、食べ物は何がおすすめ?
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30代・40代女性の、夏の夜の飲み物、食べ物に関する「リアルな悩み&疑問」!
・「夜寝る前の水分補給は、冷えない白湯が体によさそう……と思い、飲んでいます。でも本当はお風呂上がりの暑いときは冷たい飲み物が飲みたい! できれば炭酸でスカッとしたい! でも炭酸は刺激が強くて、安眠を阻害しそうなイメージも(汗)。実際どうなのでしょうか?」
・ 「タンパク質がとりたくて、寝る前に牛乳を飲んでいます。乳酸菌飲料を飲むこともあるのですが、睡眠を邪魔しますか?」
・「仕事で帰りが遅くなる日が多く、22時過ぎに夕食、夜食を食べることも……。寝る直前に口にするものとして、何がおすすめですか?」
睡眠専門医がお答え! 熱帯夜睡眠前におすすめの飲食物
大学病院や専門医療機関で長く睡眠障害の診療にあたってきた睡眠専門医。いびきや睡眠時無呼吸症候群に悩む患者に病態やライフスタイルに合わせた治療を提案している。
寝る90分前におすすめの飲み物
「快眠につながる飲み物は、就寝までの時間によって変わります。
寝る90分前なら、カフェインの入っていないハーブティー、ルイボスティーなど温かい飲み物がおすすめ。温かいものを飲むことで深部体温が上がり、その後徐々に下がってくる段階で眠気が来て快適な睡眠につながります」
寝る直前におすすめの飲み物
「寝る直前の場合は、深部体温が下がってきているタイミングのため、常温か冷たい飲み物を飲むようにしましょう。寝る前に温かいものを飲んでしまうと、布団に入っても深部体温が下がり切らずに眠気が訪れにくくなります。
寝る前に飲む牛乳や乳酸菌飲料も、問題ありません。牛乳には鎮静効果のある成分が含まれていますので、安眠につながります。乳酸菌飲料は、一時的なストレスを軽減し、睡眠の質を向上する効果が認められた商品も販売されていますよね。
ちなみにカフェインが入っているコーヒーや紅茶、日本茶は、就寝の6時間前までに摂取するのが理想的。カフェインには覚醒だけでなく利尿作用もあるため、就寝前は避けましょう。さらに炭酸水も覚醒を促すので、やめたほうがよいでしょう」
夏の夜食はGABA入り食品や、夏野菜がおすすめ
「寝るときに食べ物の消化を終わらせておくという意味では、寝る2時間前までに夕食は食べ終えるのが理想。
寝る直前に何か食べたい場合は、副交感神経が活発になり寝つきがよくなるGABAが多く含まれる食べ物をとるとよいでしょう。GABAというとチョコレートを思い浮かべる方が多いと思いますが、チョコレートは覚醒や利尿作用があるカフェインを含むのでNG。トマトや発酵食品、キノコ類、雑穀類でGABAをとるのがベストです。
暑い季節に快眠を目指す食材としては、夏野菜もおすすめです。キュウリやナスなどの夏野菜にも興奮を抑えるGABAが含まれていますし、夜食では深部体温を下げてくれる常温や冷たいものを食べると効果的です。
また、野菜は味噌や醤油、昆布に含まれるグルタミン酸と一緒にとることでGABAが増えますので、キュウリやナスの漬物もいいですね。お風呂上がりに、キュウリに味噌をつけて食べるのは最高の夜食。深部体温が下がって、GABAで副交感神経も優勢になり、寝つきがよくなります」
寝つきをよくする飲み物や食べ物を選べば、寝る直前の飲食も大丈夫!
取材・文/櫻木えみ