音楽好きの編集Kが、バイラ読者におすすめの音楽をご紹介。今回は、今年結成10周年の節目を迎えるチャーチズの4枚目のアルバム『スクリーン・ヴァイオレンス』をピックアップ!
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編集K
イヴ・トゥモアの「ジャッキー」を鬼リピート中の音楽好き編集。そろそろライブに行きたい……。
今年も緊急事態宣言が発令される中で過ごす夏。人命第一であることは間違いないが、各々が抱えるフラストレーションは限界値、もしくはそれをも超えてきている。
スクリーン・ヴァイオレンス=スクリーン上の暴力と名付けられたチャーチズ、4枚目となるアルバムはそんな特殊な今の状況下においてロスとグラスゴーをビデオ電話等を駆使しレコーディングされたという。そもそもバンド名の候補としても10年前に上がっていた名前が、数奇な運命をたどり、不気味なまでに今という現実を言い表すのに当てはまった。
孤独、幻滅、恐れ、傷心といった負の感情を描き出したというが、チャーチズの高揚感あるサウンドに乗ると、不思議なもので真逆の希望を感じさせる。メンバーのマーティンが「最悪だと思うときこそ、いいことが起き始めている」と語るように本作の闇の中に見る光とともに、好転へのタームへ入る瞬間をこの音楽とともに見届けたい。
『スクリーン・ヴァイオレンス』
チャーチズ ¥2420/Beat Records
彼らが敬愛するザ・キュアーのロバート・スミスが参加した楽曲も収録。独創性あふれる軽快で多幸感あり、ときにダークさもありと、様々な表情を交えた至極のエレクトロ・ポップ。
チャーチズ
英グラスゴー出身の3人組バンド。透き通った高音を持つローレン・メイベリーとシンセサウンドの調和が魅力。リアリティショー「テラスハウス」のオープニングでも有名。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2021年9月号掲載