『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が全米で2021年12月17日に公開されて大ヒット記録を更新中! トム・ホランドが「スパイダーマン」ことピーター・パーカーを演じるシリーズ3作目にあたる本作は、コロナ禍における2度の延期を経て、ついに公開となるや批評家の絶賛評が相次ぎ、アカデミー賞も射程圏内かという盛り上がりを見せている。12月に試写で鑑賞した筆者も想像以上の完成度の高さと、現代的かつ感動的なメッセージの数々に思わず落涙。日本でも大ヒット中の話題作を「ネタバレなし」で初心者も楽しめるよう徹底解説します!
1 これだけは押さえておきたい!『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』鑑賞に必要な最低限の前提&あらすじ
スパイダーマンことピーター・パーカーに最大の試練が訪れる!
イギリス出身のトム・ホランドは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』や『アベンジャーズ』シリーズなどのMCU作品のスパイダーマン役でおなじみ!
スパイダーマンは、マーベル・コミックスの人気ヒーローのひとり。事故でクモに由来する特殊能力を得た高校生、ピーター・パーカーが「スパイダーマン」としてニューヨーク・マンハッタンの街で悪と闘う青春&アクション大作。『アベンジャーズ』などにも登場する、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)と呼ばれる作品群の中の重要なキャラクターだ。トム・ホランドの前には、トビー・マグワイア主演の3部作とアンドリュー・ガーフィールド主演の2部作がある。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のラストシーンの続きから始まる。そのためシリーズ第1作『スパイダーマン:ホームカミング』と前作を観ておく方が良いけれど、とりあえず押さえておきたいのが、前作のラストでスパイダーマンの正体が悪役ミステリオによって世界中にバラされてしまったということ。
マスコミに騒ぎ立てられ、育ての親であるメイおばさん(マリッサ・トメイ)や恋人MJ(ゼンデイヤ)、親友(ジィイコブ・バタロン)の大学進学にも影響が出てしまう。大切な人を守るため、ピーターはドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)のもとへ。
同じくMCUのヒーローのひとりであるドクター・ストレンジは、時間と空間を変幻自在に操る最強の魔術師。ピーターは、世界中の人々から自分がスパイダーマンであるという記憶を消して欲しいと頼み込み、説得されたストレンジは呪文を唱えるが、時空が歪み、マルチバースが出現する。ここでマルチバースって何? と思った人も少なくないはず。MCUでは今後、マルチバースが極めて重要なキーワードになってくるので、次の項目で簡単に説明しますね。
2 ベネディクト・カンバーバッチが重要な鍵を握る”マルチバース”とは?
マルチバース展開によって、他の作品や過去作のキャラクターが大集結!
ベネディクト・カンバーバッチ演じる稀代の魔術師、ドクター・ストレンジに抵抗するスパイダーマンからピーター・パーカーが幽体離脱?
マルチバースとは、ざっくり言うとパラレルワールド、多元宇宙を意味する。私たちの現実世界は過去、現在、未来と時間軸は1本しかないけれど、「あのとき、もしもこうだったら……」という「if」は無限に考えられる。この「if」が並行世界として「存在している」世界がマルチバースなのだ。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は本格的にマルチバースを取り入れ、MCUのフェーズ4と呼ばれる新たなステージへと突入した。MCUは全部観てないけど興味があるという人は、この作品から入ってみるのもいいかも!
マルチバースをもう少し説明すると、仮定としてスパイダーマンは必ずしも1人ではない。それぞれにスパイダーマンとして人生を送るピーター・パーカーと、彼が生きる世界が無数に存在することになる。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、時空の裂け目から並行世界のキャラクターとして、トビー・マグワイア主演版、アンドリュー・ガーフィールド主演版の『スパイダーマン』シリーズのヴィラン(敵)が大集結。ピーターにとってはかつてない危機の連続だが、MCUファンとしては、もう祭りとしか言えない盛り上がりにわくわく!
ちなみにMCUでマルチバースに関する作品としては、映画『ドクター・ストレンジ』のほかトム・ヒドルストン主演のドラマシリーズ『ロキ』、エリザベス・オルセン主演のドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』などがある。これらの作品は動画配信サービス、ディズニープラスで視聴できるので、チェックしてみて。
3 アカデミー賞俳優、ジェイミー・フォックスらが演じる歴代ヴィランが集結
演技派俳優が演じる、個々の人気ヴィランにも味わい深いドラマが!
演技派俳優アルフレッド・モリーナが演じる人気ヴィラン、ドクター・オクトパスも登場!
『Ray/レイ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスふんするエレクトロにも悲しい過去が。
せっかくなのでピーターの前に現れた、魅力的な歴代ヴィランたちを紹介しよう。手足と金属アームを合わせて8本の手足があるドック・オクことドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)、強烈なエネルギー電気を操るエレクトロ(ジェイミー・フォックス)、放射線を浴びた特殊な砂でできたサンドマン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)、そして緑色の戦闘用コスチュームで身を包んだ宿敵グリーンゴブリン(ウィレム・デフォー)などなど。本作の世界とは異なる並行世界でスパイダーマンと戦った彼らは、ここぞとばかりに派手に登場するのでテンションも上がる! お得意の特殊能力を発揮し、大暴れしてファンを喜ばせてくれる。
同時に、彼らがなぜ異形の者と化したのかという背景には悲しい物語が。そうしたキャラクターの複雑な事情に心を寄せて、「誰のことも見捨てない」と言わんばかりのピーター=スパイダーマンのやさしさが、本作の肝でもあるのだ。
4 トム・ホランド&ゼンデイヤ、主演カップルが現実でもロマンス進行中!
『スパイダーマン』の歴代カップルは“恋に落ちる”の法則⁉︎
スクリーンでもオフスクリーンでも恋人同士のゼンデイヤとトム・ホランド。
『DUNE/デューン 砂の惑星』やドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」のゼンデイヤと、人気アクションアドベンチャーゲームの映画化『アンチャーテッド』ほか、話題作が続々控えるトム・ホランド。今をときめくスターが、劇中の運命の恋人同士さながらのロマンスが発覚したのは昨年7月のこと。『スパイダーマン』シリーズのプロモーションでも仲良さげな2人だったが、やっぱり! という感じ。プロデューサーのエイミー・パスカルからは「デートしないように努力してみて」と交際しないようアドバイスを受けていたそうだが、人の気持ちだけはどうにもならないもの。スクリーンでもピーターとMJの共演シーンには胸がときめくが、だからこそ難しい選択を迫られる本作のピーターとMJの葛藤に思いっきり感情移入してしまう。
ちなみに『スパイダーマン』シリーズで歴代カップルを演じたトビー・マグワイアとキルスティン・ダンスト、アンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンも「恋愛禁止」のアドバイスを聞かずに交際していた。撮影中は誰よりも長い時間を共に過ごし、演技とはいえ共に闘い、自分の危機に駆けつけるヒーロー役の俳優と恋に落ちるなという方が無理な話なのかも。先の2組は破局したけど、ゼンデイヤ&トム・ホランドは現在のところは幸せいっぱいのようす!
5 大ヒット&高評価! 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がアクションもすごいけど泣ける感動作でもある理由
主人公の成長物語と大きな愛に胸熱&感涙!
最後に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が大ヒットしているだけでなく、作品として高く評価されている理由について簡単に触れてみたい。たくさんの敵を前にして、ピーターはどのように立ち向かい、世界を元通りに修復することができるのか? というのが今回の大筋。
どう考えても不可能にも思えるミッションだが、1人では無理でも仲間たちの力を借りて成し遂げようとする。その過程で描かれる友情や絆、愛、そして取り返しのつかない失敗を経験し、後悔があるからこそピーターは成長し、過ちを犯した人の善なる部分を信じようとする思いは強くなる。そうしたピーターの成長物語は、混沌とする今の時代だからこそぐっと胸に迫るものがある。
終盤はメッセージが胸に沁みて、どうにも泣けて仕方がなかった本作。サプライズもたくさん用意されているので、ぜひ劇場で、その驚きと感動を体感してみて!
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
2022年1月7日(金)全国の映画館にて公開
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監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ