宝塚歌劇団を退団後、幅広いステージで活躍する七海ひろきさん。演じることに垣根を作らない稀有な役者が新たに挑む男装イケメン女子のラブストーリー。自身のキャリアやマイスタイルに重ねながら、ドラマ「合コンに行ったら女がいなかった話」の面白みを語る。
原作を読んですぐに感じました。私たちが演じたら面白くなるって
「スカートは一枚も持っていないんです。トライしようと思ったことはないし、今現在も思っていない。これが私の“マイスタイル”なので」
宝塚歌劇団の男役スターとして活動。退団後も「自分の好きなものは好きなままでいい。ありのままの自分でいたい」と外見も内面も変えることなくそのままに、舞台や声優を中心に幅広く活動。七海ひろきは女性役も男性役も演じることのできる稀有な役者だ。
「宝塚在団中も退団した今も、私は“演じること”に性別や年齢は関係ないと思っていて。それこそ、声優のお仕事では人間でない役も演じることがあるわけで。自分で線引きをしたりせず、いろんな役を表現できる役者でありたいなと思っているんです」
美しく、カッコよく、色っぽい。七海さんの魅力をひと言で表現するのは難しい。七海さんはどこかミステリアスな雰囲気をまとう人でもある。しかし、それを伝えると「なぜかよく言われるんですけど。自分ではよくわからないんです」と不思議そうに笑った。
「ミステリアスと言われる理由は単純に“感情を表に出すのが苦手”だからなんだと思います。昔から、自分のカッコ悪いところを見せたり、誰かに頼ったり甘えるのが苦手で。たとえば、何か失敗したり慌てているようなときも、つい “私は何も困っていませんよ”という顔をしてしまうんですよ。本当はいっぱいいっぱいなのに(笑)」
クールに見えて実は不器用。そのギャップにも、思わずキュン。七海さんの魅力が炸裂しているのがドラマ「合コンに行ったら女がいなかった話」だ。今作には同じく宝塚で男役として活躍した瀬戸かずや、如月蓮も出演。その美しさとカッコよさで男子大学生を翻弄する、男装イケメン女子を演じる。
「原作を読んだ時点で私も思いました。これを私たちが演じたら面白くなるんじゃないかなって」
宝塚のOGが、男装で登場し、ラブストーリーを演じる。それだけですでに大きな話題に。
「宝塚の男役経験のある私にとって、壁ドンをはじめとする男前行動はある意味、通常業務。初めは男役と男装女子の違いってなんだろうと考えてしまいましたが、今まで身についているものを意識しすぎず演じることで、自然と蘇芳に近づいた気がしています。男性にも女性にもキュンとしてもらえたら嬉しいです」
「合コンに行ったら女がいなかった話」
出演/七海ひろき、井上想良、瀬戸かずや、小西詠斗、如月蓮、増子敦貴(GENIC)
10月20日(木)深夜より関西テレビ、TOKYO MXにて放送スタート
同タイトルの人気コミックを実写化。彼女欲しさに合コンに向かった男子大学生3人。約束の居酒屋で彼らを待っていたのはまさかの男装女子だった……。“イケメン”な彼女たちに初めは戸惑う彼ら。合コンから始まった6人の関係はどうなる!?
七海ひろき
ななみ ひろき●1月16日茨城県生まれ。宝塚歌劇団の男役スターとして活躍。2019年に退団後、役者や声優や歌手など幅広く活動。『刀剣乱舞』シリーズへの出演が話題に。2023年は「舞台『刀剣乱舞』禺伝 矛盾源氏物語」で歌仙兼定を演じることが決まっている
撮影/柴田フミコ 取材・原文/石井美輪 ※BAILA2022年11月号掲載