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#尾上眞秀 が初舞台で、女方から立役へと変身する!?【歌舞伎沼への誘い♯50】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南する本連載。今月ご登場いただいたのは、5月歌舞伎座『音菊眞秀若武者』で初舞台を踏む尾上眞秀くん。母は女優の寺島しのぶさん、父はフランス人クリエイティブディレクターのローラン・グナシアさん、祖父は七代目尾上菊五郎さん、祖母は女優の富司純子さんという役者一家の若きプリンスです。 初舞台は、豪傑な剣術士の岩見重太郎役で、激しい立廻りを演じるほか、初めての女方にも挑戦。歌舞伎俳優として本格デビューします!! そこで4月に行われた合同取材会の様子をバイラ歌舞伎部がリポート。

歌舞伎俳優の尾上眞秀の取材会写真

↑おすましした表情もキュート♪ 初舞台の演目は、『音菊眞秀若武者』と自分の名前入り。「演目では、『まほろ』ではなく、『まこと』と読むところがかっこいいなと思いました」。

■初舞台で、「寺嶋眞秀」から「尾上眞秀」へ!!

ばったり小僧 部長、この連載もついに50回を迎えました!!  嬉しいですね。

まんぼう部長 いや、ホントびっくりするわ(笑)。歌舞伎の面白さをもっとカジュアルに伝えたいと思って始めた連載だけど、ここまで続いてきたのも、取材に協力してくださる歌舞伎俳優の皆さんと、読んでくださっている読者の方々のおかげ。本当にありがたいことです。感謝感謝です。

小僧 そして連載第1回が、尾上丑之助くんの初舞台の記事で、今回の50回目が尾上眞秀くんの初舞台。ともにおじいさまは尾上菊五郎さんで、二人はいとこ同士。これも何かの縁ですね(←勝手に思っている)。

部長 それにしても取材会での眞秀くん、めちゃくちゃ可愛かったわ♪ 受け答えがとっても自然体だし、はっきりと意見を言うのよ。小学生ながら頼もしい!

10歳の歌舞伎俳優の尾上眞秀の初取材会写真

↑お父さんがフランス人ということで、2月にあった初舞台の発表会見は、フランス大使公邸で行われました。「海外でも(ニュースに)とりあげてくれて嬉しかったです。将来は、フランスでも歌舞伎を上演したいです」。ちなみに眞秀くん、フランス語もペラペラです!!

小僧 今、5年生で、そのくらいの年齢だと、普通は、親御さんが一緒に取材会に出るけれど、今回はひとりで臨まれたんですよね。

部長 そうそう。ひとりで取材会をやった歌舞伎俳優の中では最年少だそうよ。 さすがにお母さまで女優の寺島しのぶさんは、取材陣の後ろで心配そうに見守ってたけど、本人も言っていたように、舞台でも取材会でも全然緊張しないんですって。

小僧 しゃべってる雰囲気からもそれは感じました。声もはっきり出ていたし、何より笑顔がとってもさわやかで素敵です☆彡 舞台に出たときも、パーっと華やかな雰囲気で、人を惹きつける魅力がありますよね。

部長 ほんと、そうね。ちなみに歌舞伎で「初舞台」というのは、歌舞伎俳優としての名前を名乗って舞台に出ることで、それ以前にも舞台には何度も出ているのよね。眞秀くんも4歳のときに、「寺嶋眞秀」という本名で「初お目見得」していて、そして今回、「團菊祭五月大歌舞伎」では、「尾上眞秀」という名前を名乗って本格的にデビュー。楽しみだわ~。

音菊眞秀若武者の尾上眞秀の扮装写真

↑扮装での写真撮影は、「結構しんどかった」と眞秀くん。「何枚も何枚もいろんなポーズをとらないといけなくて。とくに立役は、ぐわっと足を開いたりして、大変でした」令和5年5月歌舞伎座『音菊眞秀若武者』(撮影:土井浩一郎)

小僧 「眞秀」は本名のままなんですね。

部長 菊五郎さんが以前、お話されていたけれど、いろいろ考えた結果、本人の希望もあって、すでに多くの人に親しまれている本名にしたとおっしゃっていたわ。

小僧 珍しい名前ですよね。お父さんがフランス人だから、外国でも通じるように「マシュー」と読むのかと思ったら、「まほろ」ですもんね。

部長 日本神話に登場するヤマトタケルの言葉、「大和は国のまほろば」に由来するそうよ。古代語で素晴らしいとか、秀でたもの、っていう意味よね。 漢字に「秀」が入っているのは、菊五郎さんの本名「秀幸」の「秀」からとっているらしいわ。

小僧 素敵な名前ですね♪ 歌舞伎俳優としての輝かしい未来が名前にも感じられます!!

フランスつながりで、なんと祝幕はシャネルが提供!!

↑なんと祝幕はシャネルがサポート!! とっても素敵☆彡  おしゃれ好きなバイラ読者は、劇場へ行ってホンモノを見たくなるはず!!

■立役と、初めての女方にもチャレンジ!!

小僧 眞秀くんの初舞台は、どんな演目なんですか?

部長 『音菊眞秀若武者』(おとにきくまことのわかむしゃ)という演目で、安土桃山時代の豪傑・岩見重太郎をモデルした作品。見どころは、激しい立廻りと、女方から立役(男性役)へと変わるところと言ってたわ。

小僧 岩見重太郎って、武者修行のために諸国を巡って、大蛇とか狒々を退治した人ですよね。

部長 そうそう。岩見重太郎と似たところを聞かれて、「体も心も強いところ」って答えていたから、彼も相当なつわものね(笑)。

歌舞伎俳優の尾上眞秀の笑顔写真

↑おじいちゃんLOVEの眞秀くん。「ひーまの舞台はすごく面白くて、初めて見た舞台でも思わず笑っちゃうし、今の時代を感じさせるところがすごいなと思います」。初舞台は、その「ひーま」の演出です。

小僧 女方から立役に変わるっていうことは、岩見重太郎が女性に化けているってことですね。女方で踊るときも男っぽい要素を入れたりするって言っていたし、衣裳や振る舞い、それと声も女性から男性へ変えるんだろうし、結構、難易度の高いお役って感じがします。

部長 女方をやるのは初めてで、女方のしぐさは、「(坂東)玉三郎さんに習った」っていうところで、取材陣から「おおっ~!!」という声が上がっていたわ(笑)。女方の最高峰の玉三郎さんから習うなんて、すごいことよね。着物の袖の使い方とか、膝の使い方とか、あと、「見たほうに肩が落ちるように」なんていうことも習っていて、子どもの頃から、こんなふうに学んでいくんだなって、あらためて歌舞伎俳優ってすごいなと思ったわ。

小僧 眞秀くんは、将来、『弁天小僧』をやりたいそうですけど、弁天小僧も女方から立役へと変わる場面がありますよね。今から、将来に向けての準備が始まっているんですね。

尾上眞秀の音菊眞秀若武者の女方の扮装写真

↑自分の女方の扮装を見て、「首がなくなっているので残念(笑)。もうちょっとあごをあげればよかったです。90点くらいの出来栄えかな」。いえいえ、お人形さんみたいな可愛さですよ!! 令和5年5月歌舞伎座『音菊眞秀若武者』(撮影:土井浩一郎)

部長 そういえば、私がバイタリティあるなと思ったのは、学校のあと、2~3時間練習して、家に帰ったら、今度はサッカーをやるって言っていたでしょう? お稽古で疲れても、「家に帰ってシャワーを浴びるとエネルギーが復活する」って。すごい体力よね。

小僧 ほんとですね。私なんて小学校から帰ってきたら宿題やるので精一杯、あとはテレビ見て寝てました(笑)。

部長 学校ではサッカー部で、以前は、「サッカー選手になりたい」と言っていたけれど、いつの間にか、将来の夢は、ひーま(菊五郎さん)みたいなお客さまを喜ばせる役者さんになりたい」になっていて。それだけ歌舞伎って、魅力的ってことよね。

小僧 いやいや、わかりませんよ。二刀流流行りだから、歌舞伎俳優兼サッカー選手になっているかも(笑)。

部長 それは斬新(笑)。とにかく未来のスターの初舞台を観に、5月は歌舞伎座へレッツゴーよ!!

「團菊祭五月大歌舞伎」特別ポスター『音菊眞秀若武者』

↑「團菊祭五月大歌舞伎」特別ポスター『音菊眞秀若武者』
岩見重太郎については、「お母さんが本のアプリを開いて、岩見重太郎を調べて、読み聞かせとかしてくれています。僕は本はあまり好きじゃないので、自分ではあまり読んでいません(笑)」。正直でいい!!

■歌舞伎座新開場十周年 「團菊祭五月大歌舞伎」

劇場:東京・歌舞伎座

日程:2023年5月2日(火)~27日(土)

【休演】10日(水)、17日(水) 


<昼の部> 午前11時~

一、

『寿曽我対面』(ことぶきそがのたいめん)

工藤左衛門祐経:中村梅玉

曽我五郎時致:尾上松也

曽我十郎祐成:尾上右近

小林朝比奈:坂東巳之助

化粧坂少将:坂東新悟

八幡三郎:中村莟玉

梶原平次景高:中村吉之丞

近江小藤太:中村亀鶴

梶原平三景時:大谷桂三

鬼王新左衛門:大谷友右衛門

大磯の虎:中村魁春


二、

十二世市川團十郎十年祭

大佛次郎 作

守屋多々志 美術原案

『若き日の信長』(わかきひののぶなが)


織田上総之介信長:市川團十郎

木下藤吉郎:市川右團次

弥生:中村児太郎

五郎右衛門:市川男女蔵

甚左衛門:大谷廣松

監物:市川九團次

林美作守:片岡市蔵

僧覚円:市川齊入

林佐渡守:市村家橘

平手中務政秀:中村梅玉

三、

今井豊茂 脚本

尾上菊五郎 演出

『音菊眞秀若武者』(おとにきくまことのわかむしゃ)

岩見重太郎狒々退治

初代尾上眞秀初舞台


岩見重太郎:尾上眞秀(初舞台)

弓矢八幡:尾上菊五郎

長坂趙範:尾上松緑

藤波御前:尾上菊之助

大伴家茂:市川團十郎

渋谿監物:坂東彦三郎

趙範手下鷹造:坂東亀蔵

腰元梅野:中村梅枝

村の若い者萬兵衛:中村萬太郎

同 光作:坂東巳之助

同 佑蔵:尾上右近

重臣布勢掃部:市川團蔵

局高岡:中村時蔵
重臣二上将監:坂東楽善


<夜の部> 午後4時~

一、

『宮島のだんまり』(みやじまのだんまり)


傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎:中村雀右衛門

畠山庄司重忠:中村又五郎

典侍の局:中村梅枝

悪七兵衛景清:中村歌昇

相模五郎:中村萬太郎

大江広元:尾上右近

白拍子祇王:中村種之助

御守殿おたき:中村歌女之丞

浪越采女之助:中村東蔵

平相国清盛:中村歌六


二、

萩原雪夫 作

守屋多々志 美術原案

春をよぶ二月堂お水取り

『達陀』(だったん)


僧集慶:尾上松緑

青衣の女人:中村梅枝

幻想の集慶:尾上左近

練行衆:片岡市蔵

同 :中村松江

同 :中村歌昇

同 :中村萬太郎

同 :坂東巳之助

同 :坂東新悟

同 :尾上右近

同 :大谷廣太郎

同 :中村種之助

同 :中村児太郎
同 :中村鷹之資

同 :中村莟玉

同 :中村玉太郎

同 :市村橘太郎
同 :中村吉之丞

堂童子:坂東亀蔵


三、

河竹黙阿弥 作

『梅雨小袖昔八丈』(つゆこそでむかしはちじょう)

髪結新三


髪結新三:尾上菊之助

弥太五郎源七:坂東彦三郎

手代忠七:中村萬太郎

お熊:中村児太郎

車力善八:尾上菊市郎

下剃勝奴:尾上菊次

家主女房おかく:市村萬次郎

家主長兵衛:河原崎権十郎

加賀屋藤兵衛:中村錦之助

後家お常:中村雀右衛門

◆公演詳細
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/815

◆公演チケット情報

https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

取材・構成/バイラ歌舞伎部  

まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 

ばったり小僧……歌舞伎歴2年。やる気はあるが知識は乏しい新入部員。若いイケメン俳優だけでなく、オーバー40歳の熟年俳優も大好き。

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