平成の名作漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』が新作アニメになり、現在放送&配信中! 四乃森蒼紫(しのもり・あおし)役で出演している声優・内田雄馬さんに、作品のこと、キャラクターのこと、BAILA世代にむけて見どころをお聞きしました!
声優
内田雄馬
うちだ・ゆうま●1992年生まれ。東京都出身。2013年声優デビュー。『呪術廻戦』伏黒 恵役や『BANANA FISH』アッシュ・リンクス役等、人気作品に多数出演。2018年にはアーティストデビューを果たし、2022年には初の日本武道館ライブをソールドアウトさせる等、音楽分野でも活躍中。
新アニメが大注目! 『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』
1994年に「週刊少年ジャンプ」で連載開始、コミックスのシリーズ累計7200万部、実写映画はシリーズ累計興行収入193億円と様々なメディアで展開され、愛され続けている『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。そんな「るろ剣」が2023年の今、新作アニメになって帰ってきた!
舞台は明治。不殺を誓い、逆刃刀(さかばとう)で身近な人々を守る主人公・緋村剣心。彼は幕末で「最強」の伝説を持ち、新しい時代の到来とともに姿を消した“人斬り抜刀斎”だった。
そんな剣心が神谷活心流の師範代・神谷 薫を始めとする様々な仲間と出会い、また過去の因縁によって様々な宿敵と戦うこととなる物語。
内田雄馬さん演じる四乃森蒼紫は、緋村剣心の宿敵側。将軍直属の諜報機関「御庭番衆」でたった15歳にして御頭となった天才隠密。新しい時代になってもなお、己の信念のもと戦い続けている。
見えない奥底に、確かな人情があるのが四乃森蒼紫
平成から愛され、映画やアニメ等さまざまなメディアで展開され続けている作品、『るろうに剣心』。四乃森蒼紫役での出演が決まったときの気持ちは「びっくり」だったそう。
「『るろうに剣心』は子どものころから大人気で、その後実写映画にもなるような、多くの方から愛されている作品ですよね。そんな作品に参加できることは、やはり嬉しかったですね。僕の演じる四乃森蒼紫は等身が高く、非常に静かなキャラクターで……。
オーディションのときは『もしかしたら僕の声は合わないかも』なんて考えたりもしましたが、チャレンジする気持ちで受けました。僕は役を声から作ることはあまりないのですが、今回のオーディションでは蒼紫の等身に合うような声に調整するというアプローチをしてみたんです。『でも多分、別の人が蒼紫役になるんだろうな〜』と思っていたので、自分に決まったと聞いたときは、率直に言うとびっくりしました(笑)。僕よりもっと深くて厚みのある声の方が、蒼紫にリンクするのかなと思っていたんですよね」
しかし、台本を読み進めていく中で、自分が選ばれた理由がわかったのだという。
「蒼紫の年齢を知ったときに、少し納得しました。彼は若いんです。『御庭番衆』という戦闘集団を束ねる御頭で、いつも冷静に見えるキャラクターだけど、幕末の動乱期をくぐり抜けてきた他のキャラクターよりも、若い。20代半ばなんです。その若さを表現するために、僕の声が選ばれた部分もあるのだろうな、と思いました。
彼のひとつのポイントは、彼がその年齢だからこそ、戦いのない世になっても割り切れずに戦い続けてるのではないか、というところだと思っています。冷静に見えても、きっとその若さは心のどこかにはあるのだろう。だからそれを丁寧に捕まえて、演技に落とし込んでいきたいと今は思っています」
「御庭番衆」の御頭・四乃森蒼紫
「蒼紫は剣心の敵ですが、明確な目的があって、そのために戦っている。その目的は『御庭番衆』に“最強”という存在理由を持たせたい、というものです。それは本人のためでもあるかもしれないけれど、『御庭番衆』の仲間たちを思ってのことでもある。彼は気持ちを表情に出さないし、あまり喋らないキャラクターですが、“クール”という言葉で安易にカテゴライズしたくないですね。奥底の見えない人間だけどその中には確かに人情がある、というのが彼の魅力だと思います」
『るろうに剣心』は「自分らしさ」のヒントになる物語
キャラクターを演じる手がかりは「台本だけ」と話す内田さん。収録期間に、普段の生活で気をつけていたことや、スイッチを入れるためにやったことは「一切なかった」という。
「これは大変ありがたいことですが、声優という職業上、1日に何作品も何役も収録するんですよね。なので『そのキャラのことだけを考え続ける』という時間はないんです。役者の中でも映画に出演する方ならば、何ヶ月もの時間をその一作にかけることもあると思いますが、声優はむしろ、その時間その瞬間に、いかにバツッとスイッチを入れられるかが勝負。そういう意味では、長期間の準備はしません。
僕にとって役に入るために必要なことは、しっかり台本と向き合うこと。台本を読み込み、『蒼紫として何が大事なのか』を考え、現場に持っていくことが最も重要なんです。そのたったひとつの手立てが台本であり、それが僕らの武器なんです」
声優の役作りとは、台本を読み込み、解釈をすること。
「例えば蒼紫でいうと、彼は生きるか死ぬかの世界で生きていて、人を斬る。現代を生きる僕にはそんな経験はもちろんない。その気持ちを知りたいからといって、“じゃあ人斬ってみるか!”とは絶対ならないですよね(笑)。
でも人を斬るという行為がどういうことなのかは知っている。人を殺すという行為も知っている。じゃあ、そのキャラクターがそれをどう捉えているのか、なぜそれをしてしまったのか、ということを、台本から解釈するのが僕ら声優の仕事かな、と思いますね」
『るろうに剣心』という作品との本格的な出会いは今作アニメの台本だったという内田さん。内田さんは現在30歳。“30代で観るからこそ心に響く”作品の魅力を聞くと……?
「ひとつは『自分らしさ』と向き合えるところかもしれません。20代は10代の延長のように、勢いで来られる部分もある。それが終わった30代って、『自分がどうしたいか』に向き合うタイミングですよね。僕もそうです。
『るろうに剣心』はキャラクターそれぞれに、自分の思う『生き方の正解』があり、それらがぶつかり合う物語。登場するキャラクターの個性がかなり強く、その生き方も様々です。その生き様を好きになることもあるだろうし、相容れないキャラクターに“こいつ!”と怒りを覚えることもあるかもしれません(笑)。そんな剣心たちの生き方に触れると、『自分はどうありたいか』みたいな考えの答えがひとつ見つかるんじゃないかと」
少年漫画の中では登場人物の平均年齢が高く、人生経験が豊富なキャラクターが多いのも、この作品の魅力のひとつ。
「特にこの作品は、大変な過去を背負っているキャラクターも多く、『過去のどこかで、当時の年齢での大きな選択をした結果、今こう在る』という重みを感じる場面もたくさんあります。例えば剣心の『誰かのために剣を振るう』『不殺』のもひとつの選択。それが彼にとっての強さです。逆に蒼紫のように戦い続ける選択をする人もいる。
お互い違った選択をしているからこそ、ぶつかり合うことがあります。それが生死をかける戦いであることが苦しいところですが……。それだけの信念や、ゆずれないものへの想いを感じますね。
様々なキャラクターの正解、選択、結果、そしてその人物らしさが詰まっているこの作品は『選択の上で築いていく自分らしさって何だろう』、と考えるときのヒントがあるような気がしますね」
さらに、『るろうに剣心』は、仕事で疲れた日に観るのもおすすめだそう。
「やっぱり剣心、強いですから(笑)。見てるだけですかっとします。みなさんが働いている中で『今日なんか疲れたな〜』という日に観ていただくのにもぴったりです。何が起きても『でも剣心ならなんとかしてくれるはず!』という気持ちで物語を追えるので、安心して“すかっと”を求められるんじゃないかと思います!(笑)」
BAILA世代にもファンの多い「るろ剣」。大人になってから改めて入り込むその物語世界には、内田さんのように新しい気づきがありそう。
『るろうに剣心』 放送情報
2023年7月6日より毎週木曜24時55分~ フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送
【スタッフ】
原作:和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社 ジャンプコミックス刊)
監督:山本秀世 シリーズ構成・脚本:倉田英之 キャラクターデザイン:西位輝実、内田陽子
音楽:髙見 優 アニメーション制作:ライデンフィルム
【キャスト】
緋村剣心:斉藤壮馬 神谷 薫:高橋李依 明神弥彦:小市眞琴 相楽左之助:八代 拓 高荷 恵:大西沙織 四乃森蒼紫:内田雄馬 斎藤 一:日野 聡
©和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会
撮影/nae. メイク/花嶋麻希 スタイリスト/奥村渉 取材・文/東美希
衣装協力/Iroquois Head Shop(東京都渋谷区恵比寿南3-8-3 03-3791-5033)