世代も性別も問わずに愛され続ける「美少女戦士セーラームーン」シリーズで、主人公・月野うさぎ/エターナルセーラームーンを演じる声優・三石琴乃さん。うさぎのように凜とした強さの秘訣とは。
ひとつのことに固執しすぎなくても意外と大丈夫なもの!
仕事を積み重ねていく日々が私に自信をくれたのかも
’90年代にテレビアニメが放送され大ヒットした「美少女戦士セーラームーン」。2014年に再びアニメ化された新シリーズでも、主人公・月野うさぎ役を続投している三石琴乃さん。聞くだけで心を明るく照らす声は多くの人に愛され続けている。
「新シリーズが始まって以来、セーラームーンへの愛や作品の大きさを感じる瞬間がたくさんあります。’90年代アニメを見ていたスタッフが“セーラームーンがやりたくてこの業界に入りました”と泣きながら思いを伝えてくださったり。そんな姿を見て“大きくなったね〜”とハグしたこともありました。当時セーラームーンになりたいと夢見ていた子が、社会で頑張る素敵な女性になっていて感動するんです」
普通の女の子だったうさぎを強くしているのは“大切な人のために”という信念。三石さんを強くするものは?
「日々の役への取り組みそのものが、強さにつながっているように思います。私はひとつの物語を作る一員でいるのが好きなんです。スタッフや役者の力が集結してひとつのお話ができて、世に出ていく瞬間が嬉しい。その作品が誰かに届いて“これでいいんだな”という喜びが積み重なっているんじゃないかな」
「30〜40代はまさに無敵!」
積み重ねてきた日々を振り返るなかで、30〜40代を「無敵だった」と話す。
「30代は、結婚に出産と人生のなかでも大きな変化があった時期。やることが多すぎて大変だったけど、いろんな人の助けを借りながら、20代で培った経験や体力が存分に発揮されて“子どものため、美味しいごはんのため(笑)に頑張るぞ!”という気持ちの後押しをしてくれていたなと思います。そんな30〜40代を過ごしてきて、今は徐々に落ちてくる体力問題をどう乗り越えようかなという時期。筋トレを頑張って……と言いたいところですが、どうしてもなまけがち(笑)。40歳頃から始めた週1の日舞のお稽古と、歯磨きしながらワイドスクワットをやってみたり……と消極的状況なので、BAILA読者の皆さん、私に長続きする筋トレ教えてください!(笑)」
30年以上にわたり声優という仕事で活躍し続けている三石さんに“続ける上で大事なこと”を聞いた。
「仕事は日々同じルーティーンだったり、忙しさに飲み込まれがち。一途にひとつのことに情熱を注ぐのは素晴らしいけれど、私自身が思うのは“同じことを続けるのが大事なのではない”ということ。幸せや喜びを感じないなら、ときには切り替えだったり、走っているレールを変えてみるのも大事なこと。今見える景色がつらいなら、違う電車に乗り換えたっていいんです。だって、それも走り続けていることに変わりはないじゃないですか。景色が変われば気持ちも変わるし、いずれまた同じレールに戻ることだってできる。私も事務所に所属しているときは“ここが自分の居場所”と思っていたけれど、いざフリーになってみたら“いやいや、世界は広いな!”と(笑)。だから皆さんも、何かに固執しすぎなくても、意外と大丈夫!」
©武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」製作委員会
劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」
原作・総監修/武内直子 監督/髙橋知也 脚本/筆安一幸 キャスト/三石琴乃、野島健児ほか
《前編》6月9日(金)《後編》6月30日(金)公開
シリーズ最終章となる“シャドウ・ギャラクティカ編”を前編と後編にわたり上映。宇宙を支配しようともくろむ新たなる敵に、最愛の恋人である衛や大切な仲間を次々に奪われるうさぎ。孤独に打ちのめされそうになるなか、戦うことを選ぶが……。
三石琴乃
みついし ことの●12月8日生まれ。1992年よりアニメ「美少女戦士セーラームーン」の主人公・月野うさぎ役を務める。そのほか「新世紀エヴァンゲリオン」葛城ミサト役、「ONE PIECE」のボア・ハンコック役などを担当。3月に自身の声優ポリシーを綴った著書『ことのは』を上梓。来季大河ドラマ「光る君へ」に時姫役で出演予定。
ワンピース¥8980/Wild Lily
撮影/目黒智子 ヘア&メイク/RIE〈TOKYO LOGIC〉 スタイリスト/ナミキアキ 取材・原文/上村祐子 ※BAILA2023年7月号掲載