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もうひとつの『アンネの日記』。ドラマ「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」をレビュー【海外ドラマナビ】

海外ドラマに詳しいライター・今 祥枝と編集・ぴらが、働く女性におすすめのドラマをピックアップ! 今回は、第二次世界大戦中、ドイツ軍侵攻後のオランダで、ユダヤ人をかくまうオーストリア系オランダ人ミープの視点から描いた、もうひとつの『アンネの日記』の物語「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」をレビュー。

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今 祥枝&編集ぴら

今 祥枝&編集ぴら


今 祥枝(左)●『小説すばる』で「海外ドラマ考現学」を連載中。
編集ぴら(右)●不審死の原因究明チームを描いた「アンナチュラル」を見直し中。ひたむきに現実と向き合い続ける姿に勇気づけられる。

アンネ・フランクをかくまった女性のたぐいまれなる勇気

 第二次世界大戦中、ドイツ軍侵攻後のオランダで、ユダヤ人をかくまうオーストリア系オランダ人ミープの視点から描いた、もうひとつの『アンネの日記』の物語。青春コメディ『ブックスマート』のスザンナ・フォーゲルら女性クリエイター主体の力作です。

編集ぴら(以下ぴ) すごく良質なドラマでした……! アンネ・フランクの一家を含む8人のユダヤ人の命が自分の手にかかっていて、食料調達は日に日に困難を極め、少しのミスも許されない。そんなミープの状況は、相当なストレスがかかることは想像に難くありません。

 見ているだけで胃がギュッとなるよね……。それでもミープも夫ヤンもほかの協力者たちも、自分の信じる道を選ぶ。私も常に考えることだけど、「もし自分だったら?」と自問自答する人は多いんじゃないのかな。

 オーストリアで貧困にあえぎ、幼い頃に単身でオランダに連れてこられてきたミープが、そんな自分とユダヤ人を重ねる描写があります。もしかすると彼らを助けることで自分も助けてもらった恩送りをしていたのかもしれませんね。だからこそ、あれだけのことができたのかなと。

 戦争という大義名分のもとに行われるナチスの非道さにあらためて憤りを感じる。一方で、どんなときでも迷わず困っている人を助け、生きること、希望をあきらめないミープの姿に、人間に本来備わっている善良さ、良心、そしてありったけの勇気を発揮する強さに心打たれました。

 日本でも戦争経験者が数少なくなり、戦争の記憶が多くの人から失われつつありますが、戦争が人をくるわせ、そのあおりを喰らうのは常に庶民であるということ、決して繰り返してはいけないということをあらためて感じます。

「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」ディズニープラスで独占配信中

© 2023 NGC Network US, LLC


「正義の異邦人:ミープとアンネの日記」

第二次世界大戦中のオランダ。ユダヤ人のオットー・フランクの一家らを約2年間、日雇いの仕事をしながらかくまったミープ・ヒースと夫ヤンの実話に基づくドラマ(全8話)。ミープは彼らが逮捕・連行された後、『アンネの日記』をひそかに保管し、生還した父親オットーに手渡した人物だ。出演は、イギリスの実力派俳優ベル・パウリー、『暁に祈れ』のジョー・コール、『スポットライト世紀のスクープ』のリーヴ・シュレイバーほか。

ディズニープラスで独占配信中

イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2023年11月号掲載 ※配信情報は記事掲載時点のもので、変更になっている場合や、配信が終了している場合があります。

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