見る人を喜ばせることを第一に、求められるものを即座に把握し、自らの能力やスキルを最大限に発揮する二宮さん。プロフェッショナルにファンを魅了し続ける彼の内面に迫る。
二宮和也
二宮和也
にのみや かずなり●1983年6月17日生まれ、東京都出身。A型。現在、「ニノさん」(日本テレビ系 日曜10時25分~)に出演するほか、ラジオ「BAY STORM」(bayfm 日曜22時~)でパーソナリティを務める。また、10月スタートのドラマ「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~」(フジテレビ系 月曜21時~)が控える。
エンターテインメントを提供する側としてするべきことを常に追求
冷静沈着で物事に動じない強さを持つ二宮和也さん。「いつも最悪のケースを考え、失敗した場合の対応も含めあらゆるパターンをシミュレーションしているからあんまり緊張しないんです」と、その理由を明かしてくれた。
「昔からドキドキしたりハラハラすることが人より少ないほうなので、そういうエピソードトークがなかなか出てこないんですよ(笑)。緊張感を持ってやったという意味でいうと、天皇陛下の即位を祝う『国民祭典』で奉祝曲を歌ったときで、かれこれ4年前のこと。あそこまでの緊張感を覚えるようなお仕事はなかなかないからね」
では、何かにときめいたり、涙が出るほど感動したり、ポジティブに鼓動が動くのはどんなときなのだろう。
「僕はどっちかっていうと、そういうものを提供する側の人間。どうしたら多くの人を感動させられるか、その境地へとストレスなく導けるかが第一です。もちろん、自分自身も胸が高鳴るようないろんな経験をしておくべきだとは思います。ただ、僕は自分が主役だと思って人生を生きていなくて。このお仕事をしていて、人さまのために何ができるかを常に考えてきたので、“自分が美味しいものを食べたいから食べる”とか“感動したいから心が揺さぶられるような作品を見る”というよりも、いつもどこかお仕事に還元できないかと思っているんですよね。映画なり、ドラマなり、バラエティなり、どこかで出会ったときに、見てくださった人の心をちょっとでも豊かにするために何ができるかを考え続けることが、エンタメ界で生きる者としての宿命だと思っています」
まず“みんなが見たいもの”を仕上げていき、その先に“自分のやりたいこと”を置くのがモットー
デジタル時代だからこそ“会う”ことを大切にするアナログな価値観に惹かれる
携帯電話でいつでもどこでも気軽に連絡がとれる現代。二宮さんが主演を務める映画『アナログ』は、そんな時代に恋した相手が携帯電話を持っていないことで、連絡先を交換せず、「毎週木曜日にこの場所で会いましょう」という週に一度の約束を交わし、ゆっくりと関係を紡いでいく二人のピュアな物語だ。
「すべてがデジタル化されてきている世界だからこそ、“会うこと”を大切にするアナログな価値観っていいですよね。生まれてからの時間軸でいうとほぼデジタルな時代を生きてきたので、この作品を通して触れたゆったりと流れる時間やピュアな想いは、とても新鮮に感じました。」
「僕自身の普段の生活でいうと、アナログな部分はほとんどなく、だいぶデジタル人間です(笑)。手紙を書くこともなくなったし、時計もデジタルだし、レコードを聴くこともありません。最近はお金すら持ってなくて、キャッシュレスに生きています。これはこれで贅沢だなっていう感じはしますけどね。昔に比べたら、それだけ時間を自由に使えているっていうことですから」
毎週木曜日に進展していく恋愛模様は二宮さんにはどう映ったのだろうか。
「曜日の約束だけで成り立つ二人の関係は特殊だし、すごい縛りだなと思っていました(笑)。曜日にそこまでスペシャルな意味があるかっていうとそうではなくて“発動条件が木曜日”っていうだけだし、正確に言うと、会える可能性があるのが木曜なだけで、たとえばどちらかの仕事が遅くなってしまったら会えないこともあるわけで。僕だったらそんな面倒くさいことはしないかな(笑)。作品で描かれるアナログで純粋な恋愛をほほえましく見てもらえたら嬉しいですね」
メールやラインを介さず、週に一度の約束で関係を深めていく二人の姿に胸が熱くなった
映画『アナログ』
10月6日(金)より全国ロードショー
出演/二宮和也、波瑠
ビートたけしの恋愛小説『アナログ』を映画化。互いの素性も連絡先も知らないまま、週に一度のかけがえのない時間を大切にする二人の恋愛物語。プロポーズを決意した矢先、彼女が姿を消してしまい――。
取材・原文/山中ゆうき ※BAILA2023年11月号掲載