芸能活動20周年のメモリアルイヤーを迎え、来年には約13年ぶりの写真集を発売する前田敦子さん。キャリア観や仕事とプライベートの両立について、包み隠すことなく打ち明けてくれました。

今年の11月で芸能活動20周年。時代の第一線を走り続けてきた前田さんに仕事をする上で大切にしていることを尋ねると、すぐに「ひとりよがりにならないこと」という答えが返ってきた。

「役者の仕事は、キャストやスタッフの方々とひとつの作品をつくり上げること。周囲の意見に耳を傾けず、自分の中で〝これがいいんだ！〟と決めつけると、結果的によくないものになってしまうかもしれないと思って。そうならないために、ほどよく肩の力を抜いて、いろんな人と対話ができる状態にしておくことは常に心がけています」

そのスタンスは、13年ぶりに発売する写真集の制作においても同じ。

「写真集では、肩の力を抜くポイントとこだわるポイントの両方をつくりました。たとえば、“大人の恋”をテーマにした撮影ではスタッフの皆さんに身をゆだねて、リラックスした状態でカメラの前に立つように。写真のセレクトに関しても、自分だとどうしても選ぶ表情の系統が偏ってしまうので、スタッフさんにおまかせしました。逆に私がものすごく気合を入れたのは、体づくり。撮影前の1カ月間は、美容クリニック、整体、マッサージ、小顔矯正、ピラティス、酵素風呂の中から毎日3～4軒をはしご。人生最後の戦いだと自分に言い聞かせて、絶食中のボクサーか結婚式を控えた女性かというくらいストイックな日々を送っていました（笑）。そんなふうに準備をしながら感じたのは、自分自身に時間やお金をかけることの大切さ。自分を磨くことで自信がついて、視野が広がったりもするんですよね。同世代のバイラ読者の皆さんには、写真集を通して、“私の人生にもっとフォーカスを当てよう！”と思ってもらえたら嬉しいです」

6歳になるお子さんのお母さんでもある前田さん。子どもと過ごす時間をつくる上で工夫していることがあるそう。

「仕事をしていると子どもとの時間を削ることになってしまうので、その代わりに金曜と土曜の夜は夜ふかししてOKというルールをつくっています。ポテトチップスをつまみながら、二人で『スプラトゥーン』をして盛り上がっているんですよ（笑）」

キャリアと結婚や出産といったプライベートの両立に悩むバイラ読者には、こんな力強いメッセージが。

「私は、自分の人生なんだからキャリアもプライベートもどちらも選んでいいと思っているんです。大事なのは“子どもは産むし育休もとるけど、復帰したらまたバリバリ働きます！”って意思を伝えること。周りに宣言することで、自分もそのとおりに動けたりするじゃないですか。休む恐怖は、きっと誰しもあるはず。私が最初にそれを感じたのは、妊娠したときでしたね。つわりがなくて色々と考える余裕があった分“もう仕事が来ないんじゃないか”“ここまで積み上げてきたものが全部なくなるかもしれない”という不安に襲われました。でも、キャリアを積みながら結婚や出産を経験した先輩方が“待っているからね”と言ってくれて、実際に仕事に戻ることができた。20代のそんな経験を経て、30代の今は少しお休みがほしいと思ったときには仕事から離れる勇気も持てるようになりました」

自分の心ときちんと向き合いながら、挑戦を続ける前田さん。これから私たちにどんな姿を見せてくれるのだろう。

「役者の仕事は自分で計画を立てられないので出合いとタイミング次第だと思うけれど、最高のコンディションでいい作品に巡り会えたら、それがいちばん幸せなこと。演じたことのない役はまだまだたくさんあるので、首を長くしてオファーをお待ちしています（笑）」

自分の人生だから、キャリアもプライベートも両方選んでいい。大切なのは、その意思を周りにしっかり伝えること

ジャケット￥68200／フミエタナカ　トップス￥29700（リツ）・リング（右手）￥24200（リフレクション）／THÉ PR　パンツ￥19800／バロックジャパンリミテッド（ヘンリドットサイ）　ピアス￥7400（ミーナジェムス）・リング（左手）￥3300（ヘンカ）／ロードスショールーム　その他／スタイリスト私物

撮影／峠 雄三〈MUKU〉　ヘア＆メイク／高橋里帆〈HappyStar〉　スタイリスト／南まりい　取材・原文／吉川由希子　※BAILA2025年12月号掲載