韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラムです。
今回は、『愛の不時着』『涙の女王』ら数々のヒット作を生み出してきたtvNドラマで、今年最大のヒットとなる最高視聴率17.1%をマークした『暴君のシェフ』のあらすじや見どころを紹介します。
1.『暴君のシェフ』作品概要

『暴君のシェフ』
全12話
出演:ユナ、イ・チェミン、カン・ハンナほか
Netflixシリーズ「暴君のシェフ」独占配信中
【あらすじ】
天才フレンチシェフのヨン・ジヨン(ユナ)は、フランス料理対決ショーで優勝し、三ツ星レストランのヘッドシェフに昇進するチャンスを獲得する。人生最高の絶頂期を迎えたジヨンだったが、韓国に帰国する飛行機の中で歴史学者である父親から頼まれた朝鮮時代の史料「望雲録(マンウンロク)」にコーヒーがかかってしまい、トイレで汚れを落としていたところを異変に見舞われ、500年前の朝鮮時代にタイムスリップしてしまう。そこは、“最悪の暴君”として名高いヨンヒ君ことイ・ホン(イ・チェミン)が王だった時代。絶対味覚を持つホンの舌を魅了したジヨンは、「毎日異なる料理で王の舌を満足させなければ極刑」という条件のもと、王専属の料理人として王宮で働くことになるのだった。
2. 時代劇×タイムスリップの間違いないおもしろさ

本作は、2025年8月から9月にかけて韓国で放送され、Netflixで配信中のファンタジー時代劇。少女時代の絶対的センターで、俳優としても数々の作品をヒットに導いてきたユナが、500年前にタイムスリップする天才シェフ役に挑戦しています。
現代から朝鮮時代にタイムスリップするという設定は、ファンタジー時代劇では“あるある”なのですが、これがやっぱりおもしろいんです。
まずは出会いのシーン。朝鮮時代にやってきたジヨンは、狩りに興じていたホンと出会います。韓服姿に昔の言葉を話すホンのことを“役に入り込みすぎている俳優”だと思って「時代劇のロケなの!?」とたずねるジヨンと、ジヨンのことを刺客だと思って攻撃するホン。ジヨンがテコンドーの型で威嚇するシーンはユナのコメディエンヌぶりが炸裂していますし、国王なのにロープでぐるぐる巻きにされてしまうホンの姿が笑いを誘います。

そんなこんなで宮廷で働くことになり、フランスの伝統料理オート・キュイジーヌやパスタをアレンジしたフュージョン宮廷料理を次々と生み出していくジヨン。料理の説明を聞いたホンが「ブランスのオットカジ?」「イッタルラのバスタ?」と不思議そうな表情でカタカナ語を復唱したり、「私は未来から来たんです。未来に帰らないといけないんです!」と訴えるジヨンのことを朝鮮時代の人たちが「やれやれ……」と憐れむような目でスルーしたりと、ドラマ前半はタイムスリップによって生じるコミカルなシーンがあちこちに散りばめられています。

ファンタジー時代劇の醍醐味を存分に発揮している一方で、本作は骨組みに史実を取り入れているところもおもしろいポイント。ヨンヒ君(ホン)のモデルは、「稀代の暴君」として知られる朝鮮王朝第10代国王ヨンサン君。ドラマでは、生母の死に関わった者を粛清する事件「甲申士禍(カプシンサファ)」を起こしたヨンヒ君の末路を知るジヨンが、彼を暴君にさせないために奔走しますが、この「甲申士禍(カプシンサファ)」もヨンサン君が実際に起こした「甲子士禍(カプチャサファ)」をベースとしています。全く架空の世界を舞台にしたストーリーよりも人間関係や展開がわかりやすく、ドラマの世界に入りやすくなっているんです。
3.思わずお腹がすく! 見応え抜群の料理シーン

なんといっても、最大の見どころは、斬新で洗練されたフュージョン料理の数々!
コチュジャンバタービビンバ、大王大妃(ヨンヒ君の祖母)の思い出の味を再現したアサリの韓国式うどん、それを応用したアサリの味噌パスタなどなど。ジヨンが振る舞う料理はどれも美味しそうなうえに、再現できそうなレシピが多いところが魅力。少し疲れた時でも、本作を見れば、「食べたい!」「作りたい!」と元気が湧いてきます。
ユナはクランクインの3か月前から料理教室に通い、料理シーンはほぼ代役なしで挑んだそう! 本作の料理監修を務めた一流ホテルの総料理長も大絶賛の、ユナの包丁さばきにもご注目ください。

また、美味しそうな料理とセットで見どころとなっているのが、食べた人たちのリアクション。味に魅了される様子を、たっぷりのCGと多彩な表情でコミカルに表現していて、俳優陣の名演技が光り輝いています(笑)。特に、暴君のイメージを覆す、イ・チェミンの振り切ったリアクションは必見です!
4.ネクストブレイク俳優イ・チェミンが大活躍!

すべてのキャストが素晴らしいのは大前提として、本作最大の功労者はイ・チェミンではないでしょうか。イ・チェミンは、当初キャスティングされていたパク・ソンフン(『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』『涙の女王』など)の代役として急遽抜擢され、わずか数週間で役作りを仕上げたと言います。
しかも、時代劇は本作が初めてだったそう。時代劇特有の発声やセリフ回し、韓服の立ち振る舞い、そして乗馬に書道まで、現代を舞台にしたドラマと比べて習得しなければならないことがはるかに多いのに、それを主演というプレッシャーの中で完璧にやってのけるなんて、イ・チェミン、すごすぎます!

そんな彼の経歴ですが、韓国トップレベルの芸術大学として知られる名門・韓国芸術総合学校の出身。2021年にドラマ『ハイクラス~偽りの楽園』でデビューし、『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』で模範生役を演じて注目を集め、セレブ高校のスキャンダラスな学校生活を描いた『ヒエラルキー』で主演を務めるなど、以前からネクストブレイクが期待されていました。
しかし、まさかここまで高いポテンシャルを秘めていたとは。前述した時代劇に必要なスキルを短期間で身に着けるセンスと瞬発力もさることながら、4年前から発声のアカデミーに通っていたそうで、本作での大活躍は、彼がコツコツと積み上げてきた成果が生んだ必然だったのですね。 個人的には、韓服との相性が抜群にいいと思うので、ラブコメから本格派まで、今後もさまざまな時代劇に挑戦してほしいです!
料理を通じて次第に心を通わせていくジヨンとホン。ジヨンは「甲申士禍(カプシンサファ)」を防ぐことができるのか。そして、ジヨンは現代に戻れるのか。ラブコメ、グルメ、時代劇、すべての要素がバランスよく調和していて、全12話があっという間です。
まだ見ていないという方は、余韻冷めやらぬ今のうちに、ぜひ!





























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