『大奥』『きのう何食べた?』『環と周』など数々の作品で、私たちを魅了し続ける漫画家・よしながふみさん。「ココハナ」で連載中の最新作は、仕事や才能がテーマ。執筆の理由、働く30代へのエールもいただきました!

©よしながふみ/集英社
発売早々話題沸騰! 『Talentータレントー』ってどんな話?
2000年6月。男女4人の新人俳優が、あるドラマを撮影するシーンから物語は始まる。輝かしい未来を信じて疑わない若者たちに、共演している先輩女優、監督、プロデューサーらが思うこととは……? 激動の芸能界を舞台に“才能とは何か”を描く、よしながふみさんの最新作!

麻生 涼平(あそう りょうへい)
若手のイケメン俳優としては、同世代の中でトップを誇る存在。明るくて無邪気な性格。

柘植 一慧(つげ いっけい)
若手俳優の中では知的な演技派という立ち位置。その一方で、野心的で狡猾な部分も――?

ミコト
女性雑誌のモデルから芸能活動をスタートし、芝居の世界へ。役者にやりがいを感じつつある。

高屋敷 華蓮(たかやしき かれん)
大物俳優の娘。一部では「親よりも才能がある」と評価が。4人の中では最も業界慣れしている。

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まだ4人が20代の“若手俳優”として仕事の現場に立つところから、物語は始まる。

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学生時代から芝居の経験を積み重ねてきた一慧と、モデル出身の涼平。2人の関係は?

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よしながさんらしい“食事のシーン”も。涼平は天ぷらを作るのが得意!

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実力派の華蓮からエールを送られたミコト。ひょんなことから役者の仕事を始めた彼女の行方は?

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ミコトの才能を見守り、彼女の足を引っぱる相手を一蹴する華蓮。2人の友情にも期待!
よしながふみさんに見どころを取材!
もともと大好きだったドラマの世界。人の才能についても深掘りしたかった。
――今から約四半世紀前の2000年に遡り、4人の俳優たちの姿を追いかけていく最新作品『Talentータレントー』。よしながさんが芸能界で働く人たちを題材に選んだ理由とは?
「もともと私自身が、大のドラマ好きなんです。それこそ子どもの頃から、その時々の旬の作品はもちろん、2時間のサスペンスドラマ枠も、食い入るように観ていました。サスペンスドラマ枠、近年は少なくなってしまって。ファンとしてはちょっと寂しいですね。こうして長い間ドラマを観続けていると、子役の成長ぶりを目の当たりにしたり、当たり役を得た若手俳優が大きく羽ばたく姿に、感動することもいっぱい。その一方で超ベテラン俳優が、さらに芸に厚みをかけていく姿を追えたりもして。そういった人の才能がいろんな形で成長していく過程を描きたいと思いました」
――物語に登場する4人は、まだ駆け出しの若者たち。スタートが平成の始め頃ということもあり、彼らを取り巻く働く環境は、令和の今とはだいぶ異なるのも読みどころのひとつ。
「そうですよね。バイラ読者の方の、上司の世代が若かった頃の時代になるのかもしれないですね。この頃、私はすでに漫画家デビューしてましたが、自分の仕事で手いっぱいで、意外と細かい時代背景を覚えていなくて。芸能界については当時も今もまったく知識がないので、芸能事務所の方にお話を伺いました。紙の資料が中心の時代だったから、マネージャーさんは大きいリュックを持ち歩いていたそう。あらためて知ることがたくさんありました」
――とはいえ、キャラたちの働くことに対する情熱や、自分たちの生き方に対して手探りな感じは、普遍的な感情として、読み手をドキドキさせてくれる!
「学生演劇の出身で、演じる役や作品への理解があり、芸達者と評される一慧と、モデル活動を経て、イケメン俳優の立ち位置でブレイクしている涼平。思いがけずに役者人生が始まってしまい、現場で芝居に体当たりしている涼平からすれば、一慧はすごい人に思えるかもしれません。でも彼らも、いつまでも同じ関係性でいられるわけではないでしょうしね。年齢や経験を重ねて、自身のキャリアや働くことにどう向き合うのか――。描いている私も、楽しみなんです」
ベテランの人たちの枯れた感じにたまらなく惹かれる!
――というのもよしながさんは、年齢を重ねた人たちの醸す雰囲気が、大好き。確かに代表作のひとつ『きのう何食べた?』の主人公の2人も、今や60代だ。
「私は50代、60代、70代……と、年齢を重ねるほど、人としての円熟味にぐっときてしまうんですよ。子どもの頃に大人メインのサスペンスドラマを観てたのも、筋金入りの中高年好きだったから。また、実在した俳優の方を挙げると、昭和から平成にかけての日本映画のレジェンド俳優・笠智衆さんのたたずまいの美しさなど、たまらないです。20代で役者の道に進まれ、80代後半で亡くなられるまで現役でしたが、中年期の彼の姿を拝見すると、まだ伸びしろだらけ、と感じてしまうほど。だからと言って、若い世代を未熟でダメ!と思ったこともないんです。年をとった人が好きなのは、少しお疲れ感があってシワシワな感じの見た目がいいとか、そういう個人的な好みのほうが大きいので(笑)。今回の作品では、若い時代をくぐりぬけながら、大人になった彼らの姿を、自分の“ご褒美”として用意しているイメージです」
――30代のバイラ世代は、現時点で20代のキャラたちよりは、少しだけ先輩とも言える立ち位置。中年&熟年と言い切るには経験不足だが、決して若手とは言えない目線で、試行錯誤している彼らを眺めることも……。特にミコト&華蓮の女性2人の仕事へのスタンスは、今後、ますます気になります!
「実はこの話、最初は一慧と涼平の男性俳優2人だけに焦点をあてたストーリーにしようと思っていたんです。だけどミコトと華蓮の女性俳優2人を入れた群像劇にしたら、自分でも思いがけない世界が広がってきました。芸能の仕事は『結婚するまでのちょっとした経験』と思っていたミコトですが、芝居の現場で華蓮と出会い、関係を育みつつあります」
――華やかな容姿を持つミコトだが、思春期に差しかかったあたりから『調子に乗ってる』と言われないように、特に女友達とのつきあい方にはかなり気を使って生きてきた。自らのルックスを生かせる雑誌モデルの世界にも身を置いてみたけれども、そこでも、本当の友人や仲間とは巡り合えず……。華蓮との関係は、仕事を続けていたからこそ、思いがけずに巡り合えた絆や、同業としての連帯感。
「二世かつ才能を期待されている華蓮が、演技の世界とは無縁だったミコトにかけた言葉って、ちょっと危険な存在でもあるかなと。彼女の今後の心の支えになるかもしれないし、逆に呪縛となるかもしれない。また時代とともに、女の人の仕事への価値観も変わってきていますよね。今のバイラ世代は、ミコトみたいに『いずれ辞めるもの』と思って仕事を始める方は、あまりいないでしょうし。移り行く時代の中で、働くとは?彼女たちの才能とは?と、いろんな視点から作品を楽しんでいただけたら嬉しいです!」
働く30代の悩みによしながさんがお答え! ハザマ世代のお仕事Q&A
仕事とは? 後輩への接し方は? 読者のリアルな悩みによしながさんがお答え!
Q ずっと第一線でヒット作を出し続けているよしながさんにとって「働く」とはどういうことですか?(32歳・銀行)
A 新たなアイディアや感覚を提供し、採用面接を受けている気分!
「第一線だなんてとんでもない(汗)。私の仕事は常に新しいものを出さないといけないですから。ずっとプレゼンをし、採用面接を受け続けてるみたいな感覚です。同世代の知り合いが『もう中堅だから仕事はルーティン』と話しているのを聞くといいなあ~って。ため息が出ます(笑)」
Q 芸能界が舞台の『Talentータレントー』は 「才能」について考える話。「才能」って何だと思いますか?(30歳・メーカー)
A 私自身も答えは出せていません。でも正解はひとつではないのかも?
「私も知りたくて、この作品を描いています。ただし才能って、何かひとつのことだけを指すのではないのかもしれませんね。自分の才能のありかはわかりませんが、働く上でずっと気をつけているのは、締め切りを守ることと、心身の健やかさを保つことです」
Q 後輩との距離感に悩んでいます。怖がらせたくはないですが、指導も必要で…。ちょうどいい接し方が知りたい!(34歳・公務員)
A 「敬語」がすべてを救う! 相手への尊敬や配慮があれば大丈夫
「私もお世話になっている方が年下だらけになっていて……。気持ちはわかります。いちばんいいのは“普段から敬語で話す”こと。私はオタクなので敬語がデフォルトっていうのもあるんですが(笑)、相手への敬意や自分との関係性を、バランスよく保てる接し方だと思います」













































