“忙しくて本が読めない(涙)”を卒業!忙しない日々でも、TPOにフィットした作品なら自然と本に手が伸びるはず。文芸評論家・三宅香帆さんが、休日の読書におすすめの本を愛読書からレコメンド!
GWを捧げたい長編物語
「長めの休みがある時期こそ、腰を据えて読書をするのにいいタイミング。SNSでバズった話題作、設定にあっと言わされる日本の小説、海外名作文学まで、読み始めたら止まらなくなってしまう長編小説を選んでみました。」(三宅さん・以下同)

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男女のバディもの。今、いちばん読んでほしい!
『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』
ガブリエル・ゼヴィン著 池田真紀子訳 早川書房 2420円
ゲーム制作を通じてつながった男女二人の約30年にわたる友情物語。「TikTokをはじめ、世界中のSNSでバズった小説。ギークな二人が恋愛感情を介さずに“よきバディ”として描かれています。最後にタイトルの意味がわかった瞬間は鳥肌もの! 今、いちばん読んでほしい長編小説です」
これぞ読書でしか得られない圧倒感!
『世界99』
村田沙耶香著 集英社 上下巻 各2420円
子どもの頃から感情の薄い空子。彼女が世の中の価値観やシステムに呼応して生きていく過程を描く。「空子が飼っているペットも時代とともに変化していくんですが、その設定も含めて、活字だから味わえる世界観に驚くばかり。“時間をかけて一気読み”にふさわしい、SF小説です」
激動の時代を生き抜く主人公にくぎづけに
『風と共に去りぬ』
マーガレット・ミッチェル著 鴻巣友季子訳 新潮社 全5巻 各825円〜935円
南北戦争を背景に、主人公・スカーレットの情熱的な生きざまを描いたアメリカの名作小説。「映画も有名ですよね。小説と映画ではスカーレットの描かれ方に違いがあり、その点も面白い。激動の時代の中で、人はどう生きるのかと考えさせてくれる話。長い歴史小説ですが、読む価値あり」
休みの日こそ浸りたい感情を揺さぶられる本

「オフの日だからこそ、心が揺さぶられる読書の世界に身を置いて、自らの気持ちの動きに向き合うのっていいですよね。学生時代から愛読している小説、元祖“イヤミス”的な作品、魂の叫びが感じられるような重厚な古典もおすすめ!」
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短い中に強烈な印象が残る恋愛作品
『ジョゼと虎と魚たち』
田辺聖子著 KADOKAWA 660円
恋愛短編集。表題作は障がいを持つジョゼという女性と、大学を出たばかりの恒夫の物語。「恋愛小説のいい部分が凝縮されていて、ズドンと心に残ります。ラストも美しい。大学時代に初めて読んで以来、大好きな作品です。長編を読む時間はないけど、上質な作品に触れたいときにぴったり」
人間の愛憎に触れられる古典的名作
『嵐が丘』
E・ブロンテ著 鴻巣友季子訳 新潮社 1155円
イギリスのヨークシャーにある屋敷・嵐が丘を舞台に描かれる愛憎劇。「イギリスへ聖地巡礼したぐらい思い入れのある小説。親子2代にわたる愛憎や執念という重たい部分もありますが、物語の担い手・ヒースクリフのように、己の欲望を貫き通すのもまた人生だな、と感じずにいられません」
女子たちの意地悪に震えつつもやめられない!
『グロテスク』
桐野夏生著 文藝春秋 (上)792円・(下)825円
名門女子高に渦巻く社会の縮図と、少女たちの悪意。実際の殺人事件を下敷きにした著者の代表作のひとつ。「女子の恐ろしさ、学校のいびつな部分がみっちりと書かれていて嫌な気持ちになるのに、読み返さずにはいられない。2000年代前半の小説ですが、“元祖イヤミス”とでも呼びたくなる吸引力が」
撮影/須藤敬一 取材・文/石井絵里 撮影協力/Port tomigaya ※BAILA2026年6月号掲載















































