30代の体の疲れやだるさは鉄分不足が原因かも!? そんな女性に特に不足しがちな鉄分がおいしく手軽にとれるレシピを料理家のワタナベマキさんに伺いました!疲れて帰ってすぐ作れるものから冷蔵庫につくりおきできる鉄レシピまでご紹介します。
教えてくれたのは
管理栄養士 蒲池桂子先生
女子栄養大学栄養クリニック教授。管理栄養士。栄養学博士。著書も多く、ワタナベさんの『疲れないからだになる鉄分ごはん』(家の光協会)の栄養監修も担当している。
料理家 ワタナベマキさん
グラフィックデザイナーを経て、2005年に「サルビア給食室」を立ち上げ、料理家に。雑誌や書籍など幅広く活躍。近著に『疲れないからだになる鉄分ごはん』(家の光協会)など。
1.女性は特に不足しがちな鉄分に関する気になるQ&A
Q 最近よく聞く「女性は鉄が不足説」はなぜ?
A 毎月の生理で鉄分が失われるほか、ダイエットやストレスも原因に
「女性は、毎月の生理で血液とともに鉄分が出ていってしまうので鉄分が不足しがち。ダイエットや、偏った食生活でも鉄分は不足します。さらに、バイラ世代の女性はストレスも多いと思いますが、ストレスがあると胃腸の状態が悪くなり、鉄分の吸収がうまくいかなくなる場合も。それによっても鉄分不足になりやすいのです」(蒲池先生)
Q 鉄が不足するとどんなトラブルが起きる?
A 疲れ、だるさ、貧血、睡眠障害、抜け毛などトラブルが続出
「鉄分が足りないと、疲れやすくなったり、だるくなったり、冷えやすくなったり、貧血になったり、眠りが浅くなったりといった症状が起きます。また、肌荒れ、抜け毛、髪のパサつき、口内炎のほか、爪が割れやすくなったり、爪が反る“スープン爪”にもなったりとトラブルが続出」(蒲池先生)
Q そうはいっても、どうとればいい?
A 肉類に多いヘム鉄と、野菜などに多い非ヘム鉄をバランスよく
「鉄分には、動物性の食品に含まれるヘム鉄と、植物性の食品に含まれる非ヘム鉄があります。このうち体への吸収率がより高いのがヘム鉄。ですから、肉など動物性たんぱく質は毎日しっかりとるのがおすすめ。もちろん、非ヘム鉄もとるといいので、どちらからもバランスよく補うのが理想的です」(蒲池先生)
Q そもそも鉄の働きって?
A 体のすみずみに酸素を運ぶヘモグロビンの材料になる
「鉄は、血液の赤血球中のヘモグロビンの材料となる成分。ヘモグロビンは、呼吸でとり込んだ酸素と結びつき、酸素を体のすみずみに運ぶという重要な働きがあります。鉄分不足になるとさまざまな不調が起こるのは、ヘモグロビンを正しくつくれず、酸素の運搬が滞り、酸欠状態になるからです」(蒲池先生)
Q 鉄が含まれている食べ物って?
A 赤身肉や青魚の血合い部分、貝類、緑黄色野菜、海藻類、種実類など
「ヘム鉄が多いのは肉や魚などの動物性たんぱく質。なかでも赤身肉やレバーに豊富。魚ではさばやぶりなど青魚の血合い部分に多く、あさりやしじみなどの貝類にも多く含まれます。非ヘム鉄は、小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類、ごまなどの種実類、玄米や雑穀類のほか、ココアも◎」(蒲池先生)
Q サプリメントで補えば大丈夫?
A 基本的には食事で補うのが理想的。サプリメントは用法用量を守って
「鉄分は過剰に補うと、胃腸障害を起こしたり、体の中で酸化して老化を進める場合もあるので、基本的には食事で補うのがおすすめ。サプリメントで補う場合は、必ず用法用量を守りましょう。製薬会社が出している鉄剤など、安全性が高いものを選ぶことも大切です」(蒲池先生)
Q 一緒にとるといい食べ物は?
A 酸っぱいものや、ビタミンCが多い食品
「鉄は、お酢やレモンのような、クエン酸、酢酸、有機酸などが含まれる酸っぱいものと一緒にとると体への吸収が高まるので組み合わせて。また、ビタミンCは、鉄の酸化を還元し、ヘモグロビンと鉄をくっつきやすくするので、緑黄色野菜などビタミンCが多いものと一緒にとるのもおすすめです」(蒲池先生)
Q 組み合わせないほうがいいものは?
A タンニンが多いものや、インスタント食品との組み合わせは控えて
「緑茶や紅茶、コーヒーなどに多く含まれるタンニンは、鉄の吸収を阻害します。鉄分が多い食品と一緒に飲むなら、タンニンが少なめのほうじ茶や麦茶がおすすめ。そのほか、インスタント食品や加工食品に多く含まれるリン酸塩も鉄の吸収を阻害するので、控えめに」(蒲池先生)
2.15分で作れる鉄レシピ
血合いに鉄分がたっぷり!お酢と組み合わせて吸収もUP【ぶりとピーマンのバルサミコソテー】
●材料(2人分)
ぶり…2切れ
薄力粉…大さじ1
赤ピーマン…2個
玉ねぎ…1/2個
オリーブオイル…小さじ2
にんにく…1かけ(薄切り)
白ワイン…大さじ3
バルサミコ酢…大さじ1
しょうゆ…大さじ1
塩…小さじ1/3
粗びき黒こしょう…少々
●作り方
① ぶりは塩(分量外)をふり10分おき、出てきた水分をキッチンペーパーでふき取り、薄力粉を薄くはたく。
② 赤ピーマンは種を取り、2等分し、横に5mm幅に切る。玉ねぎは薄切りにする。
③ フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ中火で熱し、香りがたったら①を入れ、焼き目をつける。
④ 裏返し、②を加え白ワインをふり弱火にし、ふたをして約6分蒸し焼きにする。
⑤ 中火に戻し、バルサミコ酢、しょうゆ、塩を加えてからめ、こしょうをふる。
鉄分が多い厚揚げに小松菜もプラス!豚ひき肉は赤身を使用【厚揚げと豚ひき肉のチャンプルー】
●材料(2人分)
ぶり…2切れ
ねぎ…1/3本
小松菜…2株
ごま油…大さじ1
卵…2個
しょうが…1かけ(せん切り)
赤唐辛子…1/2本(種を取り小口切り)
豚ひき肉…120g
白いりごま…小さじ2
(A)
酒…大さじ2
みそ…大さじ1強
●作り方
① 厚揚げは縦に2等分、横に1cm幅に切る。ねぎは斜め薄切りにする。小松菜は4cmの長さに切る。
② フライパンにごま油の半量を入れ、中火で熱し、溶いた卵を加えて大きくまぜ火が通ったら一度取り出す。
③ 同じフライパンに残りのごま油としょうが、赤唐辛子を入れ、香りがたったらひき肉とねぎを入れさっと炒める。
④ 厚揚げを加えてかるく焼き目がつくまで炒め、小松菜と合わせた(A)を加えて炒め合わせる。
⑤ ②を戻し入れ、さっと炒め合わせる。仕上げに白いりごまをふる。
ビタミンCが多いトマトで、牛肉やパセリに含まれる鉄分の吸収が高まる【牛もも薄切り肉とトマトのマリネ】
●材料(2人分)
紫玉ねぎ…1/3個
トマト(中)…2個(250g)
白ワイン…大さじ2
牛ももしゃぶしゃぶ用…120g
パセリのみじん切り…大さじ2
レモン汁…大さじ2
ナンプラー…小さじ2
オリーブオイル…大さじ1
粗びき黒こしょう…少々
●作り方
① 紫玉ねぎは繊維に沿って薄切りにし、水に5分さらし水けをきり、キッチンペーパーでふく。トマトは8等分のくし形に切る。
② 沸騰した湯に白ワインを入れ、牛肉を1枚ずつ加えてさっとゆで、キッチンペーパーで水けをふく。
③ ①、②と、パセリ、レモン汁、ナンプラーを加えてあえ、オリーブオイル、こしょうを加え、ひと混ぜする。
鉄分が多い旬の菜の花とあさりにレモンを組み合わせて効率よく補給【あさりと菜の花のレモン蒸し】
●材料(2人分)
菜の花…1束
玉ねぎ…1/2個
にんにく…1かけ(つぶす)
オリーブオイル…小さじ2
あさり(砂出ししたもの)…200g
白ワイン…大さじ2
塩…少々
粗びき黒こしょう…少々
レモン汁…大さじ1
●作り方
① 菜の花は根元のかたい部分を切り落とす。玉ねぎは繊維に沿って薄切りにする。
② フライパンに、にんにくとオリーブオイルを入れ中火にかけ香りがたったら玉ねぎとあさりを入れさっと炒める。
③ 白ワインを加えふたをして約2分加熱し、菜の花を加え再びふたをして1分加熱する。
④ 火を止め、塩、こしょうをふり、レモン汁をかける。
3.一品で主食も鉄分もチャージ!ワンディッシュ鉄レシピ
まぐろ、ごま、のり、豆苗とたっぷりの鉄分食材に黒酢も加えた最強の一品【まぐろと豆苗の辛みあえどんぶり】
●材料(2人分)
ご飯…茶碗2杯分
赤身まぐろ(刺身用)…150g
豆苗…1/4袋
ごま油…小さじ2
黒いりごま…小さじ2
焼きのり…1/4枚
(A)
コチュジャン…小さじ1
黒酢…大さじ1と1/2
しょうゆ…大さじ1
●作り方
① ご飯は人肌の温度にさます。
② まぐろは食べやすい厚さに切り、合わせた(A)を加えてあえ、1.5㎝の長さに切った豆苗を加えてあえ、ごま油を加えひと混ぜする。
③ ①に②をのせ、黒いりごまをふり、焼きのりを添える。
鉄分豊富なしじみと、ビタミンCが多い新キャベツを組み合わせたやさしい味【しじみと新キャベツの温麺】
●材料(2人分)
新キャベツ…150g
だし汁…500㎖
酒…大さじ2
しじみ(砂出ししたもの)…200g
塩…小さじ1/2
そうめん…3束
しょうが…1かけ(すりおろす)
●作り方
① 新キャベツはせん切りにする。
② 鍋に①、だし汁、酒、しじみを入れ、中火にかける。煮立ったらアクを取り、弱火にしふたをして約5分煮て、塩を加える。
③ そうめんは別の鍋でゆでて湯をきり、器に入れ、②をそそぎ、しょうがをのせる。
あさりに、ビタミンCが多い野菜を組み合わせ、鉄分が多いキヌアをトッピング【キヌアとアスパラガスのクラムチャウダー】
●材料(2人分)
玉ねぎ…1/3個
にんじん…1/2本
じゃがいも…中1個(150g)
アスパラガス…3本
キヌア(ドライパック)…大さじ3
オリーブオイル…小さじ1
あさり缶…80g
白ワイン…50㎖
水…150㎖
牛乳または無調整豆乳…150㎖
塩…少々
粗びき黒こしょう…少々
●作り方
① 玉ねぎ、にんじん、じゃがいもは1.5㎝角に切る。
② アスパラガスは根元のかたい部分の皮をむき1.5㎝長さに切る。
③ 鍋にオリーブオイルを入れ中火で熱し、①を入れ、玉ねぎが透き通るまで炒める。
④ あさり缶を汁ごと加え、白ワイン、水を加え、ひと煮立ちさせアクを取り、ふたをして弱火で約5分煮る。
⑤ アスパラ、キヌア、牛乳を加え、煮たつ直前で火を止め、塩、こしょうで味をととのえる。
いわしに、鉄もビタミンCも多いルッコラをミックス。アーモンドでさらに“追い鉄分”【オイルサーディンとルッコラのパスタ】
●材料(2人分)
パスタ…160g
玉ねぎ…1/2個
オリーブオイル…小さじ1
にんにく…1かけ(つぶす)
オイルサーディン…2缶(240g)
白ワイン…50㎖
ルッコラ…50g
塩…少々
粗びき黒こしょう…少々
ローストアーモンド…8粒
●作り方
① パスタは塩大さじ(分量外)を加えた約2ℓの湯で袋の表示どおりにゆでる。
② 玉ねぎは繊維に沿って薄切りにする。
③ フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、中火にかける。香りがたったら②と、かるく油をきったオイルサーディンを加え、くずしながら焼き目をつける。
④ ③にパスタのゆで汁80㎖(分量外)と白ワインを加えて煮立たせながらなじませ、ゆで上がったパスタを加えて炒め合わせる。
⑤ ④に食べやすい長さに切ったルッコラを加え、塩、こしょうで味をととのえ、粗く刻んだアーモンドをふる。
4.冷蔵庫のイツメンに!つくおき簡単鉄レシピ
3つの鉄分食材と黒酢で、毎日の鉄分チャージ完了【切り干し大根と大豆の黒酢あえ】
●材料(2人分)
切り干し大根…40g
大豆(ゆでたもの)…80g
しょうが…1かけ(せん切り)
黒酢…大さじ2
ナンプラー…大さじ1
白いりごま…大さじ1
ごま油…大さじ1
●作り方
① 切り干し大根は2〜3回もみ洗いし、かぶるくらいの水に6分つけて戻し、しっかりと水けをしぼり食べやすい長さに切る。
② ①に大豆、しょうが、黒酢、ナンプラー、白いりごまを加えてあえ、ごま油を加えさっと混ぜる。冷蔵庫で5日間保存可能。
鉄&ビタミンCなど栄養価抜群のビーツにレモンもプラス。彩り鮮やかで食卓も華やぐ【ビーツのレモン漬け】
●材料(2人分)
ビーツ…300g
白ワイン…50㎖
塩…小さじ1
レモン汁…大さじ2
レモンスライス…5〜6枚
●作り方
① ビーツは皮を厚めにむき、1㎝厚に切り、鍋に入れ、かぶるくらいの水、白ワイン、塩を加え中火にかける。
② 煮立ったらアクを取り、弱めの中火にかけ約15〜20分やわらかくなるまでゆでる。
③ 粗熱を取り、レモン汁とレモンスライスを加える。冷蔵庫で2週間保存可能。
造血作用があるとされる赤ワインも使用。貧血予防の常備食に【レバーのウスター煮】
●材料(2人分)
鶏レバー…400g
牛乳…200㎖
玉ねぎ…1/2個
セロリ…1/3本
にんにく…1かけ(みじん切り)
オリーブオイル…小さじ2
セロリの葉…3枚
タイム…8本
赤ワイン…100㎖
ウスターソース…大さじ3
しょうゆ…大さじ1
塩…小さじ1/4
●作り方
① レバーは牛乳に10分浸して、血や汚れを取り除き、余分なすじは包丁で取り除く。
② 玉ねぎはみじん切りにし、セロリはすじを取り、みじん切りにする。
③ 鍋ににんにくとオリーブオイルを入れ中火にかける。香りがたったら①を入れ表面に軽く焼き目をつける。
④ ②を加えてしんなりするまで炒め、セロリの葉、タイム、赤ワインを加えひと煮立ちさせアクを取る。
⑤ ウスターソースを加え弱火にし、ときどき混ぜながらふたをして約10分煮る。しょうゆ、塩を加えさらに7〜8分煮る。冷蔵庫で4日間保存可能。
鉄分ドリンクがパパッと作れるパウダー。スムージーと混ぜて忙しい朝にもおやつにも【ココアときな粉のパウダー】
●材料(2人分)
ココア…大さじ2
きな粉…大さじ1
バナナ…1本
ヨーグルト…100g
牛乳または無調整豆乳…100㎖
氷…適量
●作り方
ミキサーにすべての材料を入れ、なめらかになるまで攪拌する。ココアときな粉は2:1で作り、保存しておくとよい。甘みが足りない場合は、はちみつ、メープルシロップなどを加えて。
3時のおやつに“鉄”するなら
アーモンドチョコ&胚芽ビスケット
「鉄分が不足しがちな女性は、3時のおやつにも鉄を補給したいもの。おすすめはアーモンドチョコや、胚芽ビスケット。チョコレートにもアーモンドにも胚芽にも鉄が含まれ、おいしく食べながら鉄を補えます」(蒲池先生)
撮影/神林環 調理/ワタナベマキ 取材・文/和田美穂 構成/渡辺敦子〈BAILA〉 ※BAILA2020年4月号掲載
【BAILA 4月号 好評発売中!】