妻と夫、二人で家を買う場合に利用する人が増えている「ペアローン」。「購入資金が2倍になる」などの理由で人気のペアローンだが、お得な理由と注意すべき点を把握しておこう! 実際に家を買った30代の収支報告も参考にして。

ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
「Money&You」取締役。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha』やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍している。
「ペアローン」のメリット・デメリットを知ろう
資金に余裕ができ、税の控除もある一方、休職や離婚などのリスクも考えて
夫婦で住宅を購入する場合、かつては「一人が住宅ローンを組む」のが当たり前だったけれども、共働き世帯が増えた今、夫婦それぞれが借り入れのできるペアローンを利用する人が急増中!
「本格的に増えたのは2020年前後から。マンション価格の高騰により、一人の収入では住宅を買いづらい現実もあります。ペアローンは二人でローンを借りることにより、ローン金額を多く借りられるので購入できる住宅の選択肢が広がる上に、ローンの割合や返済の仕方は自由に組め、それぞれに税金の控除も。一方で相手のローンの連帯保証人になるので、どちらか一人が収入を維持できなくなった場合に、一人の負担が増す可能性があります。また万が一離婚となったときに、財産分与の方法でもめる例も。リスクもよく調べてから利用してください」(高山さん)
【ペアローンのメリット】
□資金が2倍になる
□金利タイプを別々に選ベば、リスクヘッジになることも
□住宅控除が個々に受けられる
【ペアローンのデメリット】
□2馬力で買うので、片方の収入状況が変わると大変
□離婚する際、意見が分かれると泥沼化しやすい
【ペアローンを組む前に話しておくといいこと】
□一方が働けなくなったときにどうするか
□離婚するときは“売却”と、出口を決めておく(売れなかった場合まで話せれば、かなり安心!)
リスクヘッジとして▶ 価値の高いマンションを買っておくことは大切

意外と多い!ブラックリストに載っていて片方がローンを組めないパターン…
ファミリー層には大前提となりつつあるペアローンだけど、意外な落とし穴が。クレジットカードの返済が3カ月以上滞ると最長10年ブラックリストに登録されてしまい、ローンの審査が通らず、ペアローンの使用は不可に。確認しておこう。
実際に家を買った30代の収支報告
【シングルで買った人】 Aさん(35歳・会社員)
本体価格 6000万円
購入年 2023年
マンション/戸建て マンション
築年数/広さ 築6年の1LDK(40m²)
場所 東京23区
頭金 0円
ローンの種類 35年・変動型
毎月の支払い ローン返済 18万9千円 管理費+修繕積立費はうち2万円
自分の生活スタイルを見極め、条件をしぼり込んで購入!
1Kで13万円台の賃貸に住んだのち、自分の空間を所有したいと思ったAさん。「予算7000万円以内、売却も考えて場所は都心部。私は仕事が忙しいのでリノベをせずに、買ってすぐ住めるのも大事でした。ローンや修繕費など諸条件はかなり自分で調べたので、仲介料を3%から1%に抑えるのにも成功。引っ越しと同時に可愛い家具もそろえ、生活の質が上がりました」
【ペアローンで買った人】 Bさん(36歳・会社員)夫(36歳・会社員)
本体価格 8000万円
購入年 2024年
マンション/戸建て マンション
築年数/広さ 築7年の3LDK(77m²)
場所 東京23区
頭金 600万円
ローンの割合 自分:2700万円 夫 :4700万円
ローンの種類 自分:35年・変動型 夫:35年・変動型
毎月の支払い 自分:10万円 夫:10万円 管理費+修繕積立費はうち2万7千円
※夫婦で財布がひとつのため、出費は同額に
万が一の病気のリスクに備えて、ローンと同時に、保障が得られるペア団信に加入
「形ある資産を残したい」と結婚後、約3年近くマンションを探していたBさん。その間に第一子も出産。購入したのは「都心のベイエリアにある」築浅3LDK。「頭金の600万円は手つけ金のつもりで返金も可能でしたが、購入費用にあてることに。ペアローンを組む際は、どちらかが病気になった場合に金銭的な保障が得られるペア団信に加入。結婚前に、弁護士を通じて財産に関する取り決めをしておいたのもよかったですね。夫婦間でのお金の相談がスムーズに。ペアローンのリスクは抑えられていると思います」
【住み替えた人】 Cさん(34歳・会社員)夫(29歳・会社員)
本体価格 前:7000万円→今:1億3000万円
購入年 前:2000年→今:2024年
マンション/戸建て 前:マンション→今:マンション
築年数/広さ 前:新築3LDK (71m²)→今:築8年の3LDK(73m²)
場所 前:東京近郊→今:東京23区
前の売却価格 9200万円 今のマンションの頭金にはせず、運用中
今のローンの割合 自分:5150万円 夫:5150万円
今のローンの種類 自分:35年・変動型 夫:35年・変動型
毎月の支払い 自分:17万5千円 夫:17万5千円
管理費+修繕積立費はうち3万円
眺望良好のマンションを売ったら利益が!家とは“売るときが来たら手放す”資産
結婚と同時期に東京近郊の新築マンションを購入。「見晴らしのいい場所に建っていて眺望は良好。ずっと住むつもりでいたのですが……」。出産後、育児と仕事の両立が厳しくなり、23区内に転居を決意。前の家はマンション価格の高騰に加えて、室内からの眺めのよさにも資産価値がつき、約3000万円の利益が! 「売却益は株式などで運用。現在の自宅は再びペアローンを組んで返済中。駅近でいざとなったら売りやすい物件です。住み替えを経験し、家は“時がきたら手放す”資産だと思うようになりました」
イラスト/サレンダー橋本 取材・原文/石井絵里 ※本文に記載されている数字、データ等は2025年4月末時点のものです ※BAILA2025年6月号掲載
























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