家を購入したあと、生活の変化などで家を手放したいとなったときはどうすればいい? 不動産のプロとお金のプロに、売り方、収益に関することも聞いてみた!

ことり不動産 代表
石岡 茜さん
2013年に「ことり不動産」を設立。丁寧なヒアリングと女性目線の物件選びで支持されている。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。

ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
「Money&You」取締役。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha』やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍している。
Q.家を売りたくなったらまず何をする?
A.不動産会社へ査定に行ってみて
まずは自宅の資産価値を不動産会社に確認してもらおう。「ローン残債も合わせて相談してください。そしてこちらの話を聞かずにすぐに売却を勧めてくる会社は要注意。不動産会社側からすると"商品(物件)”は欲しいので、売りたい人はありがたい存在。でも、売り手側の今の生活、今後のライフプランを考えると、売らないほうがいい場合も。自分の悩みや希望を聞いてくれる会社に相談しましょう」(石岡さん)
Q.結婚にあわせて住み替えをする場合、手放すなら売ったほうがいいですか?
A.賃貸に出すことも視野に入れる
「査定の結果にもよりますが、資産価値が高い場合は、たとえば独身時代に買った物件は賃貸に出して利益を得ながら、パートナーのローンで2軒目を購入するという手も。結婚前のシングルの頃に買ったマンションは、本人の資産になるので、結婚したからといって、手放してしまうのはもったいないです。人に貸してローン返済ができるならば、生活が変わってもわざわざ売る必要はありません」(石岡さん)
Q.いつでも売れますか?
A.いつ売ってもいいけど、住んだ期間で売却の税率が変わります
購入後の売却は自由だが、注意点が。「価格の査定でローン分のマイナスが出たらオーバーローン、プラスならばアンダーローンと言います。利益が出るアンダーローンの状態で売ると売却時は譲渡所得となり、所得税がかかります。購入5年以内の税率は住民税などと合わせて利益から39.63%ですが、5年を超える場合は20.315%に。かなり金額が変わるので、5年を超えてから売るのがお得です」(高山さん)
アンダーローン
買ったときより高く売れた場合
所有期間5年以下で利益が出た場合 税金39.63%
所有期間5年超えで利益が出た場合 税金20.315%
オーバーローン
買ったときより安く売れた場合
残りのローンはシンプル借金に!
Q.高く売るために、買ったあとにできることはありますか?
A.大事に使うこと。売りに出す際は映えさせることも重要!
「いちばん大事なのは"大事にされていた”感があること。家に限らず、中古の品を買う場合、雑に扱われていたモノには魅力を感じないですよね。内見が入った場合は、室内をキレイに掃除しておくのはもちろん、自分もちゃんとおしゃれをしておくと、購入希望者にとってイメージアップに。また物件のいい点をまとめておき、説明できるようにすると『売主さんが愛情を持って住んでいた家なんだな』と感じてもらえます」(石岡さん)
Q.リノベーションすると売りにくいですか?
A.個性が出すぎると売れにくいです
奇抜すぎるリノベは買い手の選択肢を狭めることに。「白ベースの内装にしておくのが無難。赤く塗ってしまった壁などがあれば白に戻して。また物件選びの段階から知っておきたいのが“地下階”のリスク。コーポラティブハウスなどに多く、おしゃれな印象もありますが、湿気がたまる、使いにくいなど、意外に融通がきかない空間なので物件の査定価格が低めになります」(石岡さん)
Q.一般人が家の売却で大儲けすることはできますか?
A.適正価格があるものなので、自分だけ大儲けは難しいです
「不動産の価格は物件自体の価値に加えて、市場など世の中の動きが関わってくるものです。そして今の日本では、不動産に対してのだいたいの価格が決まっています。そして万が一の穴場物件があったとしても、売買の市場に出る前にプロの手によって購入されていることがほとんど。初めて家を買う人が掘り出しものを見つけて購入&売却し、一人だけ大儲けはしづらいのが現実です」(石岡さん)
イラスト/サレンダー橋本 取材・原文/石井絵里 ※本文に記載されている数字、データ等は2025年4月末時点のものです ※BAILA2025年6月号掲載
























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