仕事のヤル気がなぜか空回り...。気づけば人よりたくさん仕事を振られている…。読者から届いた職場の人間関係のお悩みに、3人の先輩が「図太道」的視点からアドバイス!
お答えしたのは…
心療内科医・医学博士 姫野友美さん
ひめのともみクリニック院長。ストレスによる病気・症候群等に関するコメンテーターとしてテレビ番組や新聞・雑誌等で活躍。女性の立場に立った適切でわかりやすいアドバイスは多くの支持を集める。
曹洞宗徳雄山建功寺住職 枡野俊明さん
禅の思想と伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。大学教授、庭園デザイナーとしても活躍。ニューズウィーク誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。
イラストエッセイスト 犬山紙子さん
鋭い洞察力とユーモアあふれる視点のコラムが人気。雑誌、テレビ、ラジオなどで幅広く活躍。2018年には「#こどものいのちはこどものもの」を発足させ、児童虐待をなくすための活動も行っている。
【お悩み①】
社内会議で資料の間違いを指摘したところ、先輩にあとから「皆の前で言うべきではなかったよ」と注意され、それ以来、会議で発言するのが怖いです。(28歳・外資通販)
“私”を主語にするとニュアンスがソフトに。「あなたは間違っている」と断定せず、「私が見たところ疑問に思うのですが」と言い換えるだけでまったく印象が違います。(犬山さん)
「諸法無我(しょほうむが)」という、相手や周囲がありその関係性のうえで自分が成り立っているという考え方があります。間違いを指摘する際も、口をついて言ってしまう前に一度、相手が受け入れやすい表現を考えられると円滑な関係性が保てますよ。(枡野さん)
主張したいときは、相手を否定せずに質問形で。「わかりました(You’re OK)。そのうえで、この部分について質問してよろしいですか?」が基本スタンス。(姫野さん)
【お悩み②】
自分が忙しいときに、手があいている先輩がいたのですが、頼みづらく結局すべて自分でやりヘトヘトになりました。(29歳・外資アパレル)
引き受けた仕事の責任が10だとすれば、なにもそのすべてを一人で背負い込むことはないのです。できる人だと思われる必要はありません。正しく今の自分の実力を見極めて「できないことはできない」と割り切り、できる人に頼む図太さを持ちましょう。できないことをハッキリと伝え、できることを予想以上のクォリティで仕上げる。なんでも引き受けている人よりも、かえってそのほうが評価が上がることもありますよ。(枡野さん)
いきなりお願いしづらい場合は、別の機会に「最近、私の仕事量が多くて……」と先輩の懐に入っておき、「困ったときはいつでも声をかけてね」と言ってもらえる空気を先につくっておくと楽。(犬山さん)
【お悩み③】
責任感が強い性格のせいかいつも集中して仕事を振られ、結局残業するのですが、不公平だと思っても断る勇気が持てません。(31歳・バイヤー)
「これはできませんが、これならできます」とNOよりもOKを主張して断ると、I'm OK. You're OK.につながります。(姫野さん)
断る成功体験を積むべし。1回目が肝心です。勇気がいりますが、理由は何でもよいので1回断って相手の返事やリアクションを経験することで、断ることへの免疫ができますよ。(犬山さん)
つまらない仕事は、驚くような仕事で返す。「この仕事、こんなふうにやってきたの!」と周りから認められると発言力も増し、次は違った仕事がまわってきます。(枡野さん)
イラスト/平松昭子 取材・原文/佐久間知子 構成/山岸成実〈BAILA〉 ※BAILA2020年2月号掲載