編集ぶん&ライターくぼやんがアートを紹介する連載【編集ぶん&ライターくぼやんのARTをもっと深く感じたい!】。今回は、アーティゾン美術館で開催の「エットレ・ソットサス — 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」展を訪問しました。
今月の展覧会は…「エットレ・ソットサス — 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」at アーティゾン美術館
生き生きとしたビジュアルと言葉で、デザインの魔法にかかる

「エットレ・ソットサス展」展示風景
©Yuya Furukawa
広々とした展示室を、円柱でゆるやかに仕切る空間構成が新鮮。ストライプのキャビネットは1950年代から’60年代にかけてデザイン・製作された

「エットレ・ソットサス展」展示風景
©Yuya Furukawa
ロボット、人、仏像? 見方によって様々な形が連想できるキャビネットを配置した一室は、照明が刻々と変化してドラマチック! ソットサスが’80年代に率いた国際的デザイン集団「メンフィス」で製作した作品

エットレ・ソットサス
《トーテムのためのドローイング》
1964年、石橋財団アーティゾン美術館蔵
©Erede Ettore Sottsass
巨大なオブジェ、トーテムのデザイン画。旅を通じて目にした古代神殿や遺跡からインスピレーションを受けた

エットレ・ソットサス
《キャビネットNo.71》
2006年(デザイン/製作)、製作:ギャラリー・モーマンス、石橋財団アーティゾン美術館蔵
©Erede Ettore Sottsass
透明な脚を持つキャビネットはオランダのデザインギャラリーにて製作

エットレ・ソットサス《花瓶no.17》
2006年(デザイン/製作)、製作:ギャラリー・モーマンス、ジーノ・チェネデーゼ・エ・フィリオ、ファン・テッテローデ・ガラス・スタジオ、石橋財団アーティゾン美術館蔵
©Erede Ettore Sottsass
カラフルなガラスの花器。ひとつあるだけで、室内がパッと明るくなる存在感!

ライターくぼやん
世界中を旅して多様な歴史や文化を敬愛したソットサスの人生も推せる!
編集ぶん&ライターくぼやんが、学芸員 杉本 渚さんに聞いた!

学芸員
杉本 渚さん
専門は20世紀美術およびデザイン。2023年より現職、デザイン担当として、エットレ・ソットサスや倉俣史朗の調査研究に取り組んでいる。
ぶん ストライプ柄のキャビネットに、ロボットのような不思議な形の棚……アバンギャルドな見た目の家具やオブジェたちですが、思わず使ってみたくなる。家にあったら楽しく暮らせそう!と想像させます。
杉本 エットレ・ソットサスは戦後からデザイナーとして活動し、数々の名作を生み出しました。遊び心にあふれたデザインは見る人をワクワクさせますよね。今回は彼の日本初の回顧展であり、アーティゾン美術館で開催する初めてのデザイン展でもあります。
くぼやん 絵画展との違いはどんなところでしょうか?
杉本 展示作品そのものは、ソットサスの手で作られていないという点があります。彼はデザインを提示し、それを実際に製作/製造したのは企業や職人たちです。その視点で見るとソットサスの考えに対する“作る側”の深い共感や協力関係が浮き彫りになってきます。
ぶん 展示の壁に書かれたソットサスの言葉を読み解きながら作品を見るのも面白いです。特に展覧会のタイトルの元になった「デザインが始まるのは、合理的なプロセスによる改良が終わり、魔法のプロセスによる改良が始まるときである」という文章が印象的でした。
杉本 はい。これは1962年の重要なエッセイからの引用です。それまでのシンプルかつ機能性の高いモダンデザインとは真逆のもの、人間の生き生きとした感性をもっとデザインに取り入れていくべきだ。という、ソットサスのデザイン哲学が表れています。背景には、彼が抱いていた第二次世界大戦後の大量消費社会に対する疑問もあるでしょう。ソットサスは、デザインを合理性の追求やステータスのためではなく、人の心や人生を明るくさせるためのものとしてとらえていました。そして彼の考えを文化として受け入れて、お金儲けだけではないものづくりをしようという企業も存在しました。そんな一面にも光を当てたくて「魔法」という言葉をサブタイトルに入れました。
訪れたのは…アーティゾン美術館
エットレ・ソットサス(1917〜2007)は20世紀イタリアデザインを代表するデザイナー。色鮮やかで独創的な形の家具、ガラス作品のほか、彼の残した写真や言葉からその軌跡をたどる。
「エットレ・ソットサス — 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」
〜10/4 東京都中央区京橋1の7の2 6階展示室
10時〜18時(金曜〜20時、入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜(9/21は開館)、9/24
入館料/(日時指定予約制)一般ウェブ予約¥1200ほか
https://www.artizon.museum/exhibition_sp/sottsass2026/
他にも行きたい展覧会
「誕生50周年記念 ノンタン ずっとともだち!!!」展 at PLAY! MUSEUM

ノンタンは、やんちゃな猫の男の子。キヨノサチコ作の絵本シリーズ第1作の出版50周年を記念した本展は、原画50点のほか、絵本の世界で遊べる体験型展示で構成。童心に返ってノンタンに再会!
【展覧会DATA】
〜9/27 東京都立川市緑町3の1 GREEN SPRINGS W3棟
10時〜18時(入場は17時30分まで)
会期中無休
入場料/(日時指定オンラインのみ)一般¥1800ほか
https://play2020.jp/museum/
「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」at 大阪中之島美術館

画家フェルメールの最高傑作のひとつ《真珠の耳飾りの少女》が、オランダのマウリッツハイス美術館から来日。少女との貴重な対面を果たせる1カ月をお見逃しなく!
【展覧会DATA】
〜9/27 大阪府大阪市北区中之島4の3の1 5階展示室
9時30分〜17時(〈入場は16時30分まで〉。
8/28、9/4、9/11、9/18〜27は〜20時〈入場は19時30分まで〉)
会期中無休
観覧料/一般¥3000(当日券販売なし、全日程日時指定制)
https://vermeer2026.exhibit.jp/
イラスト/佐伯ゆう子 取材・原文/久保田梓美 ※BAILA2026年10月合併号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。
イラスト/サレンダー橋本 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2026年10月合併号掲載























































編集ぶん
色使いと形だけでなく作品のある空間の演出までワクワクさせる展示です!