編集ぶん&ライターくぼやんがアートを紹介する連載【編集ぶん&ライターくぼやんのARTをもっと深く感じたい!】。第5回は、森美術館で開催の「ロン・ミュエック」展を訪問しました。
今月の展覧会は…「ロン・ミュエク」at 森美術館
リアルかつありえないスケールの彫刻に吸い込まれる不思議体験

《マス》2016-2017年
ビクトリア国立美術館(メルボルン)蔵、2018年フェルトン遺贈
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年 撮影:長谷川健太
画像提供:森美術館
展示室に100点の巨大な頭蓋骨の彫刻が積み上がり、その中を進むインスタレーション。会場ごとに展示方法が変わり、森美術館では自然光のような照明のもと、回廊に迷い込むような鑑賞ができる。

《イン・ベッド》2005年 カルティエ現代美術財団蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年
撮影:ナム・キヨン、画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術
長さ6.5mのベッドに横たわる、皮膚の質感までリアルな女性、その視線の行方が気になる。

《マスクⅡ》2002年 個人蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年
撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館
ミュエク自身の巨大な自画像。頭部の後ろに回り込むと……?

《エンジェル》1997年 個人蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026年 撮影:吉村昌也
画像提供:カルティエ現代美術財団
初期の代表作で、公開されるのが非常に珍しい小柄な天使像。窓のある展示室にあり、夜間は六本木の夜景を見下ろすようなシチュエーションで見られる

ライターくぼやん
彫刻のほか、制作風景がわかる写真と映像作品も貴重で面白い!
編集ぶん&ライターくぼやんが、本展共同キュレーター 近藤健一さんに聞いた!

ロン・ミュエク展共同キュレーター
近藤健一さん
森美術館アジャンクト・キュレーター。2003年より勤務。同館での企画・共同企画は「アンディ・ウォーホル展」「Chim↑Pom展」など。
撮影:御厨慎一郎
ぶん 巨大な中年女性がベッドに横たわる《イン・ベッド》など、普通のサイズ感とはかけ離れたスケールで超リアルな人物の彫刻を手がけるロン・ミュエク。インパクトの強い作品はSNSでも話題です。アート初心者でも「何これ?」と実物を見に行きたくなります。
近藤 実際20代〜30代の若い観客が驚くほど多いです。
くぼやん 全部で11点のうち、6点が日本初公開の彫刻作品。360度囲んで見られるので時間を忘れました。
近藤 現在全50点弱に及ぶミュエクの作品から、彼の全貌が紹介できるようにと選び抜きました。初期の《エンジェル》から最新作《チキン/マン》まで、また被写体も、男性、女性、老人に赤ちゃん、二人組や人と動物が対峙する作品も入れ、できるだけ網羅しています。
ぶん 日本では2008年に金沢21世紀美術館で開催されて以来、2度目の個展ですね。今、彼の作品がこれほど注目されているのはどうしてだと考えますか?
近藤 ロボット工学とAI技術が発達して、人間を模倣したものが現在の世の中には山ほどあります。1990年代に彼がデビューした当時はまだ到達していなかった科学技術の進化と作品との比較が、個人的には興味深く感じます。それからミュエクの作品って、本物そっくりで私も何度見てもすごくよくできてるなと思うんですけど、どこかちょっと違和感がありますよね。
ぶん はい。現実にはありえないサイズとか、少し不思議で恐ろしいようなシチュエーションとか……。
近藤 そこに現代アートらしい毒やエッジがあり、現代美術のリテラシーを持たずとも無意識のうち「何だろうこれは?」と惹きつけられる。そんな気がします。
くぼやん なるほど。スマホの画面ではなく実物を見ると、生々しさや不思議な感じがより迫ってきます。
ぶん 同じ時代を生きているアーティストだから、現在、過去、未来の作品まですごくリアリティがある。今、この東京で見られるということが貴重ですね!
訪れたのは…森美術館
十和田市現代美術館《スタンディング・ウーマン》がBAILA 8・9月合併号p.81にも登場しているロン・ミュエク。森美術館とカルティエ現代美術財団との共催で、パリ、ミラノとソウルを巡回した大規模個展。
「ロン・ミュエク」
〜9/23
東京都港区六本木6の10の1 六本木ヒルズ森タワー 53F
10時〜22時(8/11、9/22を除く火曜〜17時、入館は閉館の30分前まで)
会期中無休
入館料/一般当日¥2300ほか
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck
他にも行きたい展覧会
「“カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」at 三菱一号館美術館

19世紀後半のパリ。カフェやキャバレー、ダンスホールに集った芸術家たちは議論を戦わせ、互いに感性を磨きあった。カフェ文化から生まれた名作のほか、同時代のバルセロナにも注目。
【展覧会DATA】
〜9/23
東京都千代田区丸の内2の6の2
10時〜18時(金曜、第2水曜、7/25、9/19〜23は〜20時。入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜(祝日、6/29、7/27、8/31は開館)
観覧料/一般¥2300ほか
https://mimt.jp/ex_sp/cafe/
「ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―」at 東京都庭園美術館

イギリスの陶芸家ルーシー・リー(1902-1995)の、国内では約10年ぶりとなる回顧展。繊細かつ優美な作品と、彼女と交流した作家たちの作品も展示し、東洋のやきものとの関係性も見つめ直す。
【展覧会DATA】
7/4〜9/13
東京都港区白金台5の21の9
10時〜18時(8/7、14、21、28は〜21時。入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜(7/20は開館、7/21は休館)
観覧料/一般¥1400ほか
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/lucie-rie/
イラスト/佐伯ゆう子 取材・原文/久保田梓美 ※BAILA2026年8・9月合併号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。
















































































編集ぶん
インパクトのある巨大な頭蓋骨。この先も、どんな作品が生まれるのか興味津々です