今月からB.LEAGUEとBAILAのコラボレーション企画「Bリーグ注目選手インタビュー」が始動。第2弾は、愛知県西三河を拠点とする男子プロバスケットボールクラブ「シーホース三河」のエース、西田優大選手がBAILAに初登場! インタビュー前後編の前編となるこの記事では、今季キャプテンに就任した彼に、チームをひとつにするために大切にしていることや、リーダーの役割についてたっぷり語ってもらいました。

にしだ・ゆうだい●1999年3月13日生まれ、徳島県出身。190cm。ポジションはSG/SF。小学3年生のときにバスケを始め、東海大学では2年次と4年次のときに全日本大学選手権で優勝を経験。大学3年次に名古屋ダイヤモンドドルフィンズと特別指定選手契約を結び、B.LEAGUEデビュー。2020年に新潟アルビレックスBBと正式契約してプロ入りを果たす。2021年に現チームのシーホース三河へ移籍すると、最優秀新人賞を受賞。その後もエースとしてチームを牽引し、昨シーズンは天皇杯準優勝とチャンピオンシップ進出に貢献。日本代表としても活躍を続け、2026-27シーズンはシーホース三河のキャプテンを務める。
全員が同じ方向を向けるように引っ張っていく
——BAILA読者は、職場でチームのリーダーを務めることも多くなる世代。バスケットボールはチームビルディングがとても大切なスポーツで、チームの核となって活躍している選手が感じていることは仕事にも通じる部分や考え方のヒントがあるのではないかとスタートしたのが、このインタビュー企画です。最初に、西田選手が考える「いいチーム」とはどういうものか、教えていただけますか?
西田優大選手(以下、西田):いいときは何してもいいので、そっちは置いておいて。チームが悪い状況に陥ったときに問題点から目を背けず、その悪いことに対して全員が同じ方向を向いて頑張れるチームが「いいチーム」だと思います。
——その答えがすっと出てくるというのは、いろんな経験を通じて……
西田:はい、大事にしています。自分がそう思えるからこそ、もし悪い状況から目を背けそうになっているチームメイトがいたら引っ張ってあげられるので。
短い試合の中で、勝っていても劣勢になるタイミングがあるし、そこで崩れてしまったら一瞬で巻き返されてしまうので、チームがきちんとまとまって一踏ん張りできるかがすごく重要になってくる。それは負けているときも同じで、一発逆転を狙って特大ホームランをバコンと打とうとするのではなく、チーム一丸となって一個ずつちゃんと積み上げようとするのか。そこにチームの強さが出ると思います。
——悪い状況というのは、もっと大きな意味でのチームの状態かと思っていましたが、一つの試合の中でも起こることなんですね。
西田:あります、あります。締めるところは締めないと崩れるのは早いので。
——いいチームの条件について、今のような考えに至るまでに影響の大きかった経験というのはありますか?
西田:三河に入ったときは22〜23歳で、がむしゃらに頑張って先輩についていけばいい、くらいに思っていて。でも、チャンピオンシップに出られるようになって、そこで勝つことはできなくて、「なぜ勝てないのか」を考えるようになったのが大きいです。チームメイトと話し合ったときも同じ方向を見ることが大事だという話になりましたし、自分でもそれは強く感じるようになりましたね。

——チームがまとまるために、西田選手が心掛けていることは?
西田:僕はチームの中心というか、チームの中でも影響力があるほうだと思っているので、そんな僕が「ちゃんとやろう」「まとまろう」と言いながら、ちゃらんぽらんなことをしていたら説得力がないので。まずはちゃんと行動しようって思っています。逆に、チームが悪くなる方向に行くような怠慢なプレーはしないというのも意識しています。それは“1つディフェンスをサボる”みたいなことなんですけど、そういうのってわかるものなので。明らかに諦めたな〜とか、相手にいいプレーを決められて頭を下げちゃうとか、そういうことはしないように気をつけていますね。
——周りが悪い方向にいっていたら、例えばチームメイトがそういう怠慢なプレーをしたときなどはどうでしょうか。何か声をかけたり、注意したりということをされますか?
西田:自分はガツンと言うことが得意ではないので、鼓舞するというか、煽ってやらせるというか、そうやって気持ちを引き上げるようにしています。そういう周りに働きかけるようなことは昔からできていたわけではなくて、ここ数年だと思います。ライアン(ライアン・リッチマン前ヘッドコーチ | 現アルバルク東京)の存在もありましたけど、それ以上に僕自身ずっと三河にいて、最初と今とでは立ち位置が違うことをちゃんと自覚するようになったことが大きいですね。
チームの目線を高い位置で合わせられるようなリーダーへ

——西田選手は、チームで2024-25シーズンは副キャプテン、2025-26シーズンは須田(侑太郎)選手、石井(講祐)選手と共にキャプテンを務めており、今季はついに単独でチームのキャプテンを務められます。そんな西田選手が考える、「いいリーダー」とは?
西田:リーダー……わからないっす。リーダーにはいろんな形があるから、まだ明確になっていなくて。ただ、僕の中で須田さん(須田侑太郎選手|シーホース三河)の存在は大きいです。去年も一緒にキャプテンをやってましたけど、エネルギッシュでパッションに溢れていて。しかもけっこうガツンと言える人なんですよね。そのときのチームに必要なことを言葉にしてくれる。プレーで引き上げるというより、きちんと言葉にしてみんなの士気を高めてくれるところは本当にすごいなって思ってます。誰かを名指しで指摘するわけでもないし、苦言を呈したりもちろん嫌味を言うわけでもない。さっき自分も言いましたけど、煽るんですよね。「やろうぜ」と煽って、みんなを引き上げてくれるんです。そういうところは、須田さんからすごく学ばせてもらってます。
——リーダーという役割の難しさを感じることはありますか? 選手としてプレーでチームを引っ張るのとはまた違う何かがあるのでは、とも思うのですが。
西田:難しい……かなぁ? リーダーという役割にあまり難しさを感じたことはないですね。というのも、リーダー的なメンタルはみんなが持っていていいものだと思っているから。チーム全体としてのリーダーはいながらも、それぞれのポジションごとに役割があって、「その役割の中では自分がいちばんリーダーだ」ってみんなが思っていていい。その人にしかできない役割が絶対あるし、その心は持っていていいものだと考えています。
——一人ひとりがリーダーシップを持つことは大事ですが、その上で全体を束ねることとの両立の難しさはないでしょうか? それぞれ考えていることが違うときもあったりしませんか?
西田:あぁ、たしかに……それは難しいですね。そこが今の僕の課題なのかもしれないです。
——課題。どんな部分を課題だと感じますか?
西田:それこそみんなの“目線を合わせる”ことですよね。チームの中でも「まぁ、これぐらいならいいだろう」と考える人もいれば、「もっと頑張ろう」と考える人がいるかもしれなくて、その目線を保ちながら同じ目標に向かっていくってすごく難しいことだなと感じていて。だからこそ、目線を合わせられるリーダー的な人が一人いればだいぶ変わるんだろうなと思っているので、そこが今後自分としては課題だなと感じています。
すぐにできなくてもいい。時間をかけて向き合えば高い壁も低く感じられる

——西田選手は、壁を感じることはありますか? BAILA世代は、一つ上のポジションを任されたときに、「自分にできるかな?」と尻込みしてしまう人もいたりします。お話を伺っていると、あまり壁を壁と感じなさそうな気もしましたが、どのように乗り越えているか教えてください。
西田:いやいや、これまでに壁はあったとは思うけど、どうやって乗り越えていたんだろう? (少し考えて)ちゃんと一つの芯を持って、別にすぐにできようが、時間がかかろうが、ずっとやり続けることが大事かなと。役職が変わろうと、自分のやるべきことを変えるわけではない。うまくいかないからといって、すぐに諦めたり方向転換したりするのではなく、やり続けていたら乗り越えていた感じですかね。
仕事ではすぐに結果を出さないといけないこともあるかもしれないけど、時間をかけて向き合っていれば、最初は高く感じていた壁もいつの間にか低く感じられるようになるんじゃないかと思っています。
熱烈な声援で背中を押してくれるファンは大切な存在

——それでは、西田選手の所属クラブである「シーホース三河」の魅力を教えてください。
西田:今、新しくアリーナを作っているんですが、そこのキャッチコピーが“みんなのアリーナ”であるように、地域との繋がりを大事にしているところが魅力だと思います。
——NBAに次ぐ世界で2番目のリーグを目指して進化を続けるB.LEAGUEでは、今年からトップカテゴリが「B.PREMIRE」として新たなスタートを切ります。バスケへの世間の注目度の高まりと同時に、ファンの応援もより熱を増しているように感じます。選手にとって、やはりファンの声援は力となるものでしょうか?
西田:すごく力になりますね。それこそライアンが三河のヘッドコーチに就任した初年度(2023-24シーズン)、チャンピオンシップへの進出がかかったシーズン最後の一戦。あのときのみなさんの声援はものすごかった。いつも熱烈な声援を送ってくれて、背中を押してもらっているので大切な存在です。
——最後に今季、自身の注目してほしいポイントや目標を教えてください。
西田:僕は富永(啓生選手 | レバンガ北海道)、河村(勇輝選手 | ロサンゼルス・クリッパーズ(NBA))、塁(八村塁選手 | ロサンゼルス・クリッパーズ(NBA))とかのように、見てすぐ分かるような派手なプレーヤーではないかもしれないですが、地道に頑張ることを大事に、日々バスケに取り組んでいます。一度の観戦では分からないかもしれないけど、長く見てもらうなかで、「この選手、頑張ってるな」と思ってもらえたらうれしいです。
目標は、昨季まで3年連続でチャンピオンシップに出場し、天皇杯もファイナルまで進みましたが、まだタイトルを獲れていないので、今季はひとつでもタイトルを手にしたいです。そのためにも、プレーと気持ちの両面からチームを引っ張ってきたいです。

撮影/野田若葉(TRON) ヘア&メイク/後藤泰 聞き手/編集スガコ 文/海渡理恵

























