ライターくぼやん&編集Sがアートを紹介する連載【ライターくぼやん&編集SのARTをもっと深く感じたい!】。今回は、国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 ルネサンス」を訪問しました。
今月の展覧会は…「ルーヴル美術館展 ルネサンス」at 国立新美術館
一枚の肖像画から、五〇〇年前の流行と文化が立体的によみがえる

1.《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》
レオナルド・ダ・ヴィンチ 1490-1497年頃
パリ、ルーヴル美術館
© GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado
ルーヴル美術館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチの描いた絵画が来日するのは、《モナ・リザ》以来52年ぶり。この女性の肖像が数世紀にわたり人々を魅了してきた秘密が、最新の研究、映像などをふまえて解説される。

2.《ベアトリーチェ・デステ》
ジャン・クリストフォロ・ロマーノ、本名ジャン・クリストフォロ・ガンティ
1490-1491年頃 パリ、ルーヴル美術館
photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Stéphane M≈aréchalle / distributed by AMF-DNPartcom
同時代の貴族の女性の肖像彫刻。髪型や後ろ姿の詳細もじっくり観察できる。

3.《田園の合奏》 南ネーデルラント(?)
16世紀第1四半期 パリ、ルーヴル美術館
photo © Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Philippe Fuzeau / distributed by AMF-DNPartcom
当時の宮廷社会で、邸宅を飾った大きな織物、タペストリー。生い茂る植物の中で音楽を奏でる恋人たちがモチーフ。右の女性の服、《女性の肖像》に通じる袖のデザインに注目!

4.マルカントニオ・ライモンディ、ラファエロ・サンツィオの原作に基づく《パリスの審判》
1513-1518年頃 パリ、ルーヴル美術館
photo © Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Angèle Dequier / distributed by AMF-DNPartcom
ルネサンス文化の広まりに重要な役割を果たした銅版画。描かれているのは、映画『オデュッセイア』にも登場する古代ギリシア神話「パリスの審判」のエピソード。

編集S
美術や歴史の初心者でも「可愛い」「素敵」を入口に深く広い旅ができる展覧会
編集S&ライターくぼやんが、国立新美術館主任研究員 宮島綾子さんに聞いた!

国立新美術館主任研究員
宮島綾子さん
17世紀フランスを中心とする西洋美術が専門。近年の主な担当展は「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023)、「佐藤可士和展」(2021)など。
撮影/石原敦志
編集S 「《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》」(1)の謎めいた魅力に心奪われました。とても長いタイトルなのはどうしてですか?
宮島 この作品はレオナルド・ダ・ヴィンチが1490〜1497年頃に描いたと考えられている女性の肖像画です。《美しきフェロニエール》という通称で世界的にも知られているのですが、実は、このタイトルは別の作品との取り違いからつけられて、定着してしまったものなのです。その事実を伝えるために、今回はもともと《美しきフェロニエール》と呼ばれていた作品も、同じ空間で展示しています。
くぼやん 展示室には、ほかにも同じルネサンス時代の人物を描いた作品が並んでいます。絵画だけでなく大理石像(2)などと見比べて、多角的に楽しめました。
編集S 私は特に女性が身につけている服やジュエリー、髪型にも目がいきました。何百年も前のスタイルなのに「可愛い」「素敵」と感じられるのが面白かったです。
宮島 はい、レオナルドの作品に描かれた女性のファッションは、1490年代にマントヴァやミラノの宮廷で流行したものです。一点だけで紹介するよりも、同時代の彫刻や絵画を一緒に展示することで、この時代の歴史的な文脈を知っていただけるのではと思いました。
編集S ルネサンス時代にもトレンドがあって、人々の間に広まっていったことがよくわかります。
宮島 この広まりには「版画」(4)が重要な役割を果たしています。絵画や彫刻と違い、版画はひとつの原版からたくさんの同じ作品を作ることができます。この技術が発達したことで美術作品のモチーフや構図はヨーロッパ中に広がり、さらに陶器やタペストリー(3)など様々な形で取り入れられることになりました。
くぼやん なるほど。広大なルーヴル美術館の常設展示で、別々に点在する絵画・彫刻・版画・工芸品を横断して一挙に見られるのも、企画展ならではですね!
訪れたのは… 国立新美術館
「ルーヴル美術館展ルネサンス」
15世紀から16世紀にかけヨーロッパ各地で隆盛したルネサンス美術を、パリ・ルーヴル美術館のコレクション56点を通じ横断的に紹介。注目は初来日のレオナルド・ダ・ヴィンチ作の肖像画。
【展覧会DATA】
〜12/13 東京都港区六本木7の22の2 企画展示室1E
10時〜18時(金・土曜〜20時、入場は閉館の30分前まで)
休館日/火曜、11/4(11/3、12/8は開館)
入館料/一般¥2400ほか
https://www.ntv.co.jp/louvre2026/
他にも行きたい展覧会
「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」 at 国立西洋美術館

「光の画家」とも呼ばれる英国の代表的芸術家、ターナー。ロンドンのテート美術館所蔵の80点以上が来日する待望の大回顧展
【展覧会DATA】
〜2027年2/21 東京都台東区上野公園7の7
9時30分〜17時30分(金・土曜〜20時、入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜(11/23、1/11は開館)、12/28〜1/1、1/12(1/12〜2/21 国立西洋美術館 常設展示室は閉室)
観覧料/一般¥2400
https://turner2026-27.exhibit.jp/
「マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love」at 東京都庭園美術館

カラフルで表情豊かなプリントでおなじみ、フィンランドのデザインハウス「マリメッコ」の世界を体感。ドレスやファブリックなどの作品とともに、創業の1951年からの歩みと制作背景をたどる。
【展覧会DATA】
〜12/20 東京都港区白金台5の21の9
10時〜18時(11/6、13、20、21、27、28、12/4、5は〜20時、入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜
入館料/一般¥1400※日時指定予約制
https://marimekko-ex2026-2028.jp
イラスト/佐伯ゆう子 取材・原文/久保田梓美 ※BAILA2026年12月号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。


















































ライターくぼやん
「旅」や「古代へのまなざし」など、各章のトピックにも興味津々!