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話題の現代用語「VUCA(ブーカ)」とは? 大江麻理子キャスターと一緒に深堀り!【働く30代のニュースゼミナール vol.37】

テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。第37回目は「VUCA(ブーカ)」について大江さんと一緒に深掘りします。

今月のKeyword【VUCA】

ぶーか▶変化が激しく、先行きが不透明で将来の予測が困難な状況を表す。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語で、もともとは1990年代後半に生まれた軍事用語。パンデミックや地政学的リスクなどがあるなか現代を表す言葉としても用いられている。

今月のKeyword【VUCA】

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バイラ読者にアンケート

 (回答数85名 2023年4月25日〜28日に実施)

Q VUCAという言葉の意味を知っていますか?

Q VUCAという言葉の意味を知っていますか?

認知度は1割。約4分の3の人が「聞いたことはない」と回答。知っている人からは「先行きが見えづらい時代を表す言葉として聞いたことがある」「大江さんがVUCAをどう感じているかを知りたい」という声も

大江ʼs eyes

ウクライナ侵攻が始まった頃によく使われた言葉ですが、現代を言い表していると思い取り上げました。以前、時代の流れを大きな川と考えると私たちは船に乗っているようなものだと話したことがありますが、今は霧が立ち込めた急流を通っている感覚で、まさにVUCAだと感じています

Q 現代はVUCAの時代だと感じることがありますか?

Q 現代はVUCAの時代だと感じることがありますか?

VUCAの意味について補足した上で聞いたところ、8割近くが「はい」と回答。「コロナ禍やウクライナ侵攻が起きて先行きが不透明。自分の生活にも影響している」「AIの進化で自分の仕事の未来が心配」との声が

大江ʼs eyes

世の中の移り変わりが速いこともありますが、きっと皆さんの身のまわりの生活の変化が速くて、このままの生活がこの先もずっと続いていくという感覚を持てなくなっているということが大きいのではと思います。ご自身の先行きがVUCAだと感じる方が多いことが結果に表れているのかもしれません

Q この3年間に転職の経験がありますか?

Q この3年間に転職の経験がありますか?

コロナ禍以降ということで3年と区切って聞いたところ、約4分の1の人が転職経験あり。異業種への転職も多く、より需要のある産業へ、やりがいや理想の働き方を求めてなど、多様な声が。転職を視野に入れ、副業やスキルアップをしている人もいた

大江ʼs eyes

転職された方の多さに驚きました。先行きが不透明ななかでも自分の理想とする生き方や働き方、ワークライフバランスを追求して、思うようにいく方もいれば、難しいと実感する方もいらっしゃったようで、このコロナ禍以降、人生が変わった方が多かったんだなとしみじみと感じました

Q ここ数年の変化の大きい世の中で働き方や仕事観に変化がありましたか?

Q ここ数年の変化の大きい世の中で働き方や仕事観に変化がありましたか?

約6割が変化あり。社会変化が次々と起こる時代に働き方をあらためて考えた人が多かったよう。「場所にしばられずに働く方法を模索するようになった」「困ったとき会社は何もしてくれないのがわかった」「QOL(生活の質)を考えるようになった」などの声が

大江ʼs eyes

皆さんの声すべてが非常に興味深かったです。コロナ禍で人生が有限であると感じ、「いつ死んでも後悔ないよう目の前のことを精いっぱいやりきることを心がけるようになった」という声もあり、働き方や仕事観の変化をもう少し広くとらえると人生観が変わったということかもしれないと感じました

「変動が激しく、先行きが見通せない複雑で曖昧な霧の中を私たちは進んでいる」大江さん

「変動が激しく、先行きが見通せない複雑で曖昧な霧の中を私たちは進んでいる」

「ニュース番組に携わるなかで、これまでも毎日色々なことが起こっていましたが、コロナ禍以降、『えっまさか!』と思うことが本当に起きてしまう世の中になったなと感じています。そんな現代を言い表していると思うキーワードを今回は取り上げました。VUCAという言葉が表す、変動が激しく、不確実性が高く、事態がかなり複雑で、白黒はっきりしないことも多く曖昧という、ずっと五里霧中のもやもやした中を私たちは急激なスピードで進んでいるような気がします」と大江さん。具体的に、どんなVUCAのニュースがありますか。

「やはり新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにしたとき、『信じられないことが現実になってしまう』と感じた方が多かったのではないでしょうか。その影響は大きく、私たちの生活がかなり左右され、先行きが見通しづらくなっています。経済活動が制限され、資源エネルギーや食糧の価格が上がるなど、景気や家計を考えたときに『この先どうなるのか』と思う場面が増えましたし、今後も続く可能性があります。また、コロナ禍以降、各国が進めた金融緩和政策によってインフレが高まり、欧米の金融引き締めを行っている国では今それに伴って銀行の破綻などが起きて金融不安が懸念されています。それがどうなっていくのかもわかりません。

気候変動の問題について、最近の気候に今までとは違う変化を感じている方も多いのではないでしょうか。国際的な対策のルール作りでは、先進国のなかで化石燃料の使用を廃止する方向に積極的に持っていきたい国がある一方、協調するのが難しい新興国や発展途上国などがあり、色々な立場で考えなければいけない複雑さもあります。

ほかにも、ChatGPTに代表される生成系AIの進化が速く、色々なサービスにあっという間に組み込まれていっています。テクノロジーの進化が自分の生活や仕事に及ぼす影響について、便利だと感じる方も、不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。ひとつのニュースが様々な意味合いを持って受け止められることも含めて、VUCAなのではないかと思います」

「情報を得ておくと、次の一手につながる。何が起きても対応できるしなやかさが強みに」大江さん

「情報を得ておくと、次の一手につながる。何が起きても対応できるしなやかさが強みに」

これまでの流れを切るような非連続なニュースが飛び込むことも多いと大江さん。

「今までならこう進むだろうという感覚で見ていると『そうきたか!』という展開も。たとえば、大企業の株主総会で能動的に動いた株主の提案が通り、それによって企業が変わる動きが出てくるなど、これまでの社会の常識や価値観が大きく変わる転換点にきているのかもしれないと感じます」

読者からは「大江さんが今の時代に心がけていることを知りたい」との声が多数。

「変化が大きいときには、情報を得ることが重要なのではと考えています。潮目が変わったことを把握しているかいないかによって、その先の次の一手の打ち方やタイミングが変わってくるからです。たとえば私は、複数のニュースアプリで速報のプッシュ通知を受け取っています。自分で情報を取りに行くとどうしても遅くなってしまうので、自然にニュースに触れやすくなる仕組み作りを工夫しています。ヘッドラインだけでもわかっておくと、点で飛び込んでくる速報を定点観測しているうちに線になって、流れがわかってくるように感じます」

AIの進化に、「自分の仕事が脅かされるかもしれない」と先行きを心配する読者も。

「私には助言できるほどのスキルがないのですが、何か新しい動きが生まれたときに当事者になってみる意識を持つことを大切にしています。何ができるのかを試してみると、それが自分にとって脅威なのかそうでないのかがわかるかもしれません。どちらかというと、新しいものを試してみることに腰が重いタイプの私も、ChatGPTを実際に使ってみたりしています」

VUCAの時代は、しなやかでいることが特に重要になってくると大江さん。

「何が起こるかわからないときは、何が起こっても対応できるしなやかさが強みになっていくと思います。そんな自分をどうやったらつくれるか考えたとき、皆さんがそのひとつの手として転職や副業、スキルアップなどを選んでいらっしゃるんだなとアンケートを見て感じました。コロナ禍で在宅勤務が広がり、働き方の選択肢が増え柔軟性が持てるようになってきています。ここ数年で私もワークライフバランスを見直しました。VUCAの時代だからこそ、自分のライフスタイルや自分が大事にしたいものを大事にできる働き方、生き方をそれぞれが選択し、より自分の理想に近づけるようになった側面もあるのかもしれませんね」

大江麻理子

大江麻理子


おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。

撮影/花村克彦 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2023年8・9月合併号掲載

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