良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第32回は、「こちらでよろしかったでしょうか?」。
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■「こちらでよろしかったでしょうか?」がNGなのはなぜ?
コンビニや飲食店から仕事の場面まで、頻繁に耳にする「よろしかったでしょうか?」という言葉。プライベートでもビジネスシーンでも、多くの人が日常的に使っているため、聞き慣れてしまって、とくに違和感を覚えない人もいるかもしれません。
しかし、いわゆる”バイト敬語”と呼ばれるこの言葉は、今の出来事を過去形で聞いている間違った表現です。
たとえば、「先日お買い上げいただいた商品の使い勝手は、よろしかったでしょうか?」と過去のことについてたずねるなら問題ありません。ですが、過去形にすることで丁寧になると勘違いして使っている人は間違いです。
■言いかえるならこれ!
「こちらでよろしかったでしょうか?」はNG。
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「こちらでよろしいでしょうか?」
が正しい!
よけいな過去形の言葉をプラスしないようにしましょう。
■同じように間違いやすい表現は?
似たようなバイト敬語に「こちらになります」があります。「ご注文の品はこちらになります」という言い方をしたことはありませんか? これも丁寧に言っているつもりが、おかしな表現になっている一例です。商品が他の形に変化するなら「~になります」で構いませんが、ただお渡しするだけなら「ご注文の品はこちらです」が正解です。
場所を案内するときも、「あちらになります」ではなく「あちらにございます」と正しい表現で。
また、「1000円からお預かりします」の「から」も、「飲み物のほうをお持ちしました」の「ほう」も不要です。
正しい表現をシンプルに言い切ることは、失礼になりません。よけいな言葉をプラスしない習慣を身につけましょう。
■引用したのはこちら
よけいなひと言を好かれるセリフに変える 働く人のための言いかえ図鑑
サンマーク出版 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子