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【令和の転職〈まとめ〉】女性の転職、リアルとトレンド最前線! 自分の生きたい方向に合わせて、仕事を選ぶ時代

自分らしく働きながらスキルや収入もアップしたい! 今、バイラ世代の転職状況はどうなっている? バイラ読者のアンケートから見えてくる現状や実際の経験者の話、最新の採用トピックまでを徹底網羅!

目次

  1. 1.働く女性にアンケート調査! 転職回数は? 時期はいつ?
  2. 2.生き方に合わせて仕事を選んだ4人のリアル転職記
  3. 3.【令和の転職トレンド8選】転職のプロが解説します!
解説してくれるのは
中村果代さん

リクルートエージェント首都圏 カスタマーサービス部 部長

中村果代さん


転職エージェント、カスタマーサービス部門の部長。100人超のメンバーとともに、よりよいライフ・キャリア構築のサービスを磨き続けている。

川嶋由美子さん

パーソルキャリア doda副編集長

川嶋由美子さん


転職希望者の支援に長年携わる。社内の人材育成と組織開発も担当し、現在はプロジェクトエージェント統括部 エグゼクティブマネジャーも兼任。

1.働く女性にアンケート調査! 転職回数は? 時期はいつ?

30〜42歳の働くBAILA読者273人に聞きました!

Q.転職したことがある?

Q.転職したことがある?

転職経験者は、なんと7割以上! 新卒採用で入った会社に、30代に入っても勤め続けているという人は全体の3割弱。7割以上の人が、何らかのきっかけで転職を考えて、ジョブチェンジをしている! そして転職にかかった期間は「1~3カ月ぐらい」が過半数。一度心を決めて転職活動を始めてしまえば、そう長い時間はかからずに、新しい職場へと移ることができている様子。

「20代後半から30代にかけては転職のひとつの節目の時期!」(川嶋さん)
BAILA読者の転職経験率は、川嶋さんの経験からしても妥当という答えが。「最近は、新卒後、4年をめどに3割近くが転職している傾向が。20代半ばで一度転職を考え、30代目前に再び転職に意識が向く人が多いです」

【COLUMN】30代女性の転職率はこの10年で約4倍にアップ!

2013年の30代女性の転職率を1とすると、2022年の30代女性の転職率は3.79と、10年で約4倍に! 少子高齢化で人手不足が本格化し、事業形態が変わり企業側も異業種からの転職者を積極的に採用するようになったのが大きな要因。転職でキャリアアップしたい人には追い風の状況に。(参考文献:「リクルートエージェント 転職者の推移」Press Letter 23年3月28日)

Q.今まで転職を何回したことがある?

Q.今まで転職を何回したことがある?

約半数は3回以上転職している
半数以上は3回以上の転職を経験。「少し多めの数字かもしれませんね」と川嶋さん。「転職は一度経験すると『新しい職種や環境になじめた』と成功体験ができるので、納得いくまで繰り返していく方も多いんです。逆に1社で勤め上げたい人との二極化が進んでいるのが今の状況」。ただし転職回数が多い=常に年収アップとは限らないことも。「ジョブチェンジに応じて専門性やスキルを上げないと、年収はどこかで横ばいになるかも」

《転職未経験者に聞きました!》Q.転職したいと思ったことはある?

Q.転職したいと思ったことはある?

未経験者の9割が転職したい!
「安倍内閣時代から始まった女性の積極的な雇用政策と、終身雇用神話の崩壊で、転職が“ほぼ当たり前”となった時代の流れからすると、転職未経験者でも転職の関心が高いのは、当然かもしれません」(川嶋さん)。実際に行動している人は、36%。「モヤモヤしているなら一度エージェントで相談してもいいかもしれませんね。同業他社のリアルを把握できたりするので、転職する・しないにかかわらず、現状を考えるいい機会になると思います」(中村さん)

【令和の転職〈まとめ〉】女性の転職、リアルとトレンド最前線! 自分の生きたい方向に合わせて、仕事を選ぶ時代_4

Q.初めて転職をしたのは何歳のとき?

Q.初めて転職をしたのは何歳のとき?

BAILA読者の場合は「30代になる前に転職しておきたい」と思う人が多いよう。「これは少し意外でした」と中村さん。「労働市場自体は拡大し、構造的な人材不足が続いているので、30代で初転職をする人は、もっと増えている肌感覚です。20代の頃に培った経験を糧に、キャリアップを図る人も少なくないですし、チャンスはたくさんあります」

「20代で初転職が多数も30代も可能性は無限!」(中村さん)
「人生100年時代、できるだけ長く働く方向へ労働市場がシフトしているので、30代の初転職も臆せずトライを。受け入れ先はあります」

Q.今後も転職をすると思う?

Q.今後も転職をすると思う?

半数以上が今後も転職するつもり
「この回答はリアル。特に女性の場合は、出産や育児などのライフイベントがあるので、柔軟性をもって働きたい人が多い傾向にあるのだと思います」(中村さん)、「時間、お金、働き方を自分でコントロールできる状態が“転職の完成形”。納得できるまで職を変える方も増えています」(川嶋さん)

Q.転職して収入はどうなった?

Q.転職して収入はどうなった?

6割近くが年収アップ!
基本的に、転職で年収は増えている傾向に! 「新卒で入った会社だけでは、自分の実力はわからないので、外の世界に出てあらためて自分の市場価値の高さに気づく場合もあります」(中村さん)。収入が変わらなくても、やりがいや条件などが改善されれば、プラスの転職とも言えそう。

今年度~来年度は、 年収アップ率も高め!

「今年度~来年度は、年収アップ率も高め!」(川嶋さん)
「直近の転職状況でいうと、コロナ禍以降の採用市場が盛り上がってきており、転職の条件はよく、年収が上がる可能性も高めです」

Q.今の仕事の満足度は?

Q.今の仕事の満足度は?

転職経験者のほうが仕事に満足している割合は多い
転職経験者のほうが仕事への満足度が高いのは、「自分で選び、決めた環境にいると思えるからかもしれません」(川嶋さん)。さらに職場を変えたことで気づきがある場合も多いとか。「入社後に、社内の雰囲気やライフワークバランスなど、意識していなかった部分が改善されて『前の職場はストレスがあった』と気づく場合も」(川嶋さん)

Q.転職のネックになるような不安は?

1位 転職して今より状況が悪化するのが怖い
2位 転職して望んだ変化(収入アップやスキルアップ)を得られるか不安
3位 転職後の環境に順応できるか不安
4位 転職して人間関係が悪化するのが不安

転職したことがある人、ない人ともに「今よりも状況や職場環境が悪くなったらどうしよう」という思いは、変わらずある様子。「未知の場所へ飛び込む不安は、転職回数や年代にかかわらず、共通です。特に30代は、今の職場でそれなりに居場所があり、立場が安定している人も多い。そこからあえて、挑戦する勇気が大事になってきますよね」(川嶋さん)

Q.転職したいと思う理由は?

1位 収入アップしたい
2位 働きやすさ(フレシキブルな働き方)を重視したい
3位 自分に合う職種や職業を探したい
4位 新しいことに挑戦したい

「リモートワークなどの働きやすさを重視する人も増えてきましたが、やっぱり転職のいちばんの理由が年収、というのは普遍的だと思います」(中村さん)、「今は、転職する側に有利な市場ですので、収入でも働き方でも、理想を掲げみては。私なんてと尻込みをせず、自分にとってベストの条件をとりにいきましょう」(川嶋さん)

転職で求めるものは 具体的にすべき

「転職で求めるものは具体的にすべき」(川嶋さん)
「年収の場合は手取りでどれぐらい欲しいのか、リモート勤務希望ならば、週に何回までの出社はOKなのか。理想的な条件を、できる限り具体的に挙げてみましょう」

2.生き方に合わせて仕事を選んだ4人のリアル転職記

01/フルリモート重視転職 石田結花さん(33歳・外資系メーカー)

最初の転職では葛藤も。でも新しい環境に飛び込み、視野が開けました!

石田結花さん (33歳・外資系メーカー)

安定していた1社目。妊娠・出産を経て、最初の転職を考えるように

今年の夏から外資系のペット用品メーカーで働く石田さん。専門はマーケティング、今回は2回目の転職になる。リモート勤務が、今希望する働き方だったとか。「夫とともに7歳と2歳の子どもを育てながら仕事をしていますが、出社が多いと、できることに限界が。自分の可能性が狭められてしまうのはよくないと思い、前職の外資系飲料メーカーから転職しました」

そもそも最初の転職は29歳。これもきっかけは「育児とキャリアの両立」。

「新卒後に就職した会社は、大手の日系企業でした。終身雇用を前提にした家族的な雰囲気がありましたね。私はマーケティングの部署に配属。ここで教わった基礎的な知識と経験は、今も糧になっています。ただ、妊娠、出産、夫の海外勤務の帯同などのライフイベントが重なり、復職後、今後のキャリアを描きづらいと思うように。また、会社では、ひとつの商材を長く担当することを期待されていましたが、私は、様々な商材を担当し、マーケターのスキルをもっと伸ばしたいという意欲が芽生えて」

30歳を前に転職活動を開始。マッチング系や、外資系に強い転職エージェントを利用し、5社ほど受けた。

「面接を重ね、転職の雰囲気に触れるのは大事だと思います。私は、成果を重視する企業を希望していたので、面接の場で自分の力を客観的かつ前向きに伝える力が必要だと、痛感しました」

気づいたことはメモを取り、すぐ行動に落とし込めるようにしていたとか。そして1カ月後には希望の会社へ。

2社目の外資系飲料メーカーは転職者が多く、ここでもまた、働き方への意識が大きく変化!

「新卒で入った会社に退職を切り出すときは『何の落ち度もない結婚相手に、私のわがままで離婚を切り出す』ような後ろめたさが(笑)。でも2社目は転職が当たりまえの社風で『〇〇さん、今はあの会社にいるよ~』と、みんな明るく話していて。転職に対する心のハードルが、『離婚』から『引っ越し』くらいに、一気に下がりました(笑)。仕事ではやりたいことをプレゼンし、通れば挑戦ができる環境だったので、約3年の在職中に、充分なスキルアップができたと思います」

こうして最初の転職は大成功。しかしまた新たな課題にぶつかることに。

「子どもが二人になり、わが家は両親が遠方におり夫もフル通勤のため、仕事と家庭のバランス調整が難しくて。コロナ禍の収束に伴い、週の半分は出社するフルタイム勤務が基本になったのも、今の私には厳しいかなと……。そんな折に、前から興味があった企業で、マーケティング職の募集があるのを知りました」

タイミングが合い、3社目へ。現職は各自の裁量のもと、リモートワークメインで働ける。地方に住みながら働く人もいるとか。そしてこの先も、柔軟な働き方をしたいと考えている。

「今後も、家庭状況や自分の目標に合わせて、外資・日系を問わず柔軟に働く環境を選べるように、経験・スキルを積んでいきたいと思っています」

【転職経験2回】転職ヒストリー


22歳 2012年➡日系企業のメーカーへ入社

就職活動時に第一志望だった会社へ。マーケティングの部署へ配属され、市場調査の基礎知識や消費者との向き合い方などをみっちり学ぶ
プライベートでは24歳で結婚。第1子の出産、夫の海外勤務帯同があり、育休を含め、約2年半休職。28歳で復職

29歳 2019年➡外資系飲料メーカーへ転職
前職の居心地はよかったものの、マーケターとしての今後を考え転職。年功序列より成果重視型の外資系企業へ。転職して1年半後、第2子を出産
初めての転職活動。マッチングサイトやエージェントを使い分けた。同時に自分が転職に求めることも、再度確認

33歳 2023年➡外資系ペット用品メーカーへ転職
子どもたちの様々な平日のタスクに対応しながらもキャリアアップするためには、「リモートワークがメインであることが必要」との思いで’23年夏に現職へ
転職者が多かった外資系飲料メーカー。「自分の状況に合わせて、働き方も、会社も変えていい」と柔軟になれた

石田さんのジョブチェンジの大きな原動力は、マーケティング職の経験値を高めていくことと、子育てとの両立。日系企業と外資系企業、それぞれのよさや働き方を経験したおかげで、視野も広がった。今後は、ライフステージや自身の目標によって、働く環境を考えつつ、定年まで働くことをイメージしている。

私、転職でこう変わりました!

仕事に求めることが明確になり、 周りにも伝えられるようになった!

仕事に求めることが明確になり、周りにも伝えられるようになった!
「私の場合は2社とも外資系企業の転職だったこともあり、“やりたいこと”や“できること”をどう会社に伝えるかを考え、いい意味で周りに自己主張ができるように。転職後の働き方もクリアになりました。1社目にいた頃に比べると、だいぶたくましくなりましたね(笑)」

02/スキルで年収積み上げ転職 佐藤ののさん(33歳・IT)

転職後も改善したい点は会社に相談。口に出さないと伝わらないことを実感!

佐藤ののさん (33歳・IT)

1社目は手取り10万円台! やりがいはあるが賃金に限界を感じ、年収UP転職を開始

短大卒業後に入社したブライダル関係の会社。人を幸せにする仕事にやりがいを感じ、先輩や上司に恵まれつつも、収入面では不安があった佐藤さん。

「残業代なしで、手取り月収が約19万円。学生時代の貯金を切りくずして生きていました。もっと月収をアップさせたかったし、仕事で30歳以降のプランが描けないことから、入社3年目で転職を決めました」

ただし日本国内での収入アップ転職は四大卒以上が圧倒的に有利と知る。

「親が中国人で私も少し中国語を話せたこともあり、ひとまず中国の大学へ留学。言語や文学、文化を徹底的に学びました。その後、現地就職に特化したエージェントやサイトで仕事を探しました」

日本語と中国語に堪能、という強みを生かし2社目は日系企業の上海法人へ。「現地の工場へのインフラ整備の営業が中心でした。初めてtoBの仕事を経験できたのと、大きなチームの中に入って仕事を進める面白さを味わいました。現地採用なので報酬は中国の元だったのですが、家賃補助も支給されました」

ただし28~29歳ぐらいまでに自分の働き方を確立したかったため、人材紹介会社のインテリジェンスへと転職。

「労務コンサルチームに入ったことで、企業が求める人材が理解できるように。伸びしろがある業界も見えてきて、その中のひとつ、デジタルマーケティングに携わりたいと思ったところ、仕事を通じて現職の社長との出会いがありました」

3回目の転職。自分の“コスパ”を紙に書いてプレゼン!

「まずは社長にメールで直談判して最初の面接にエントリー。その際に、希望の年収とともに、“私を雇うとこれだけコスパがいいですよ!”という金額を一覧にして、提出したんです」

さらに面接やSPIなどを経て入社。ただしそこから先も、収入アップへの長い道のりが。

「手取り金額は32万円ほどありましたが、現地採用なので、福利厚生はなし。駐在の同期は家賃補助があると知り、これは自分で待遇を上げていかねばと。でも私はコスパのよさが売りだったので、一年は我慢して(笑)。『業務と収入のバランスをとりたい』と相談しました。すると翌月から家賃補助が出るように。弊社の社長のポリシーが、“地位は待つものではなく奪いにいくもの”なのですが、まさにその言葉どおりに結果を出しながら、駐在、本社採用へと雇用を変えてもらいました」

’21年からは東京本社に勤務中。今は越境ECなど新規ビジネス開発部署の副部長に。収入は1社目のブライダル会社勤務時代に比べると3倍以上に!

「今の上司に『実績をつくり、役員クラスの年収を目指します』と宣言。1社目では給与に満足できなかったからこそ、仕事に見合った報酬を得るのは大事だと思いますね。働く上で意識しているのは、スキルのかけ算。語学、営業、労務、デジタルマーケティング。どの分野も専門職の方がいますが、私はかけ合わせスキルを持つことで、“佐藤がいれば何とかなる”と、思ってもらえる人材を目指しています」

【転職経験3回】転職ヒストリー


20歳 ブライダル会社へ入社

短大を卒業後、学生時代にバイト経験のあったブライダルの世界へ。やりがいはあるも、収入面で不安が


23歳 中国の大学に進学
転職の可能性を広げるために留学。中国語と中国文化をみっちり学ぶ

25歳 2015年➡NTTコミュニケーションズ上海法人に転職
大学を卒業後、自らエージェントなどを駆使して就活。IT業界に魅力を感じ、大手通信会社の現地法人へ
上海での現地採用だったため、報酬は中国の元。家賃補助も出たため、ブライダル会社時代から年収はややUP!

26歳 2016年➡インテリジェンス(人材紹介会社)の上海法人に転職
前職は、自分が抱いていたイメージと少し違ったため、人材紹介会社へ転職。労務、現地の社内研修をはじめとする人事の仕事へ携わる
働きつつ、伸びしろのある業界、自分に向く仕事をリサーチ。収入は横ばいでも、現職の社長との出会いにつながった

27歳 2018年➡㈱NOVARCAに転職
デジタルマーケティングを主力としたベンチャー企業に転職。現地採用→駐在採用→日本本社勤務と条件を変えて、収入は1社目の3倍に!

賃金が安く、将来の自分が想像できない職種に限界を感じたのが、佐藤さんの最初の転職のきっかけ。稼ぐ力をつけようと、語学留学を経て、転職先で様々なスキルを習得。そして、キャリアも年収も大幅アップ。

私、転職でこう変わりました!

「自己営業能力」が高まった!

「自己営業能力」が高まった!
「1社目にいた頃は自分の工夫がお客さまに伝わらないとすねていたんです。でも先輩に『伝えていないのは、何もやってないのと同じ』とプレゼンの重要さを諭されて。複数回の転職、現職のクライアントとのつきあいを通じ、自己営業能力はさらに高まっていったと思います」

03/デュアルライフ転職 窪田美波さん(37歳・IT)

転職活動を通じて、キャリアを高めたい自分がいることに気づきました

窪田美波さん (37歳・IT)

子どもの教育に理想的な学校を発見。移住を決意し、長く在籍した会社を離れることに

30代後半で初転職に成功した窪田さん。きっかけは「家族で山梨に住みつつ、都内の会社で働きたい」と思ったこと。

「娘の小学校入学のタイミングで、豊かな自然と自由な学びの環境がある学校を山梨県で偶然見つけたんです。そこで会社の上司にリモートワークができないか相談したところ、フルリモートを認める人事制度はなく、移住後もここで働き続けることは難しいんだなと思いました。14年も働いてきた会社だったので、事業にも会社にも愛着があって。色々悩みましたが、移住のためには転職するしかないな、と」

活動期間は3カ月ほど。年齢については、特に不安は感じなかったとか。

「育児や目の前の仕事に追われていて、世の中のことを知らなかったんです(笑)。ただ実際に転職活動を進めるなかで、自分が求める業務内容と、企業側が求めることにズレがあるなと感じました」

マーケティング実務に関わりたかった窪田さんだが、「勤務年数やこれまでの経歴を考えるとマネージャーになってほしい」と言われることが多かったとか。

「『子育て中の方に向いている仕事ですよ』というお話も多くいただきましたね。今の状況を考慮していただけてありがたかったですし、第1子の育休中にアクセサリー販売の副業も始めていたので、仕事のやりがいや収入はそちらで追求すればいいか、とも考えていたときに、登録していたエージェントのひとつ、withworkさんから紹介されたのが、現職のベンチャー企業でした」

思いもよらなかった会社との出会いで「自分はキャリアを積みたかったんだ」と実感!

リモートワークを推進する会社で、出社は月に数回。オフィスもシェアオフィス。フラットな社風に魅力を感じたとか。「親の仕事の都合で、高校時代にフィンランドに住んでいました。多感な頃に北欧の社会に触れたことで、男女ともにのびのびと働き、楽しく暮らす価値観を大切に生活してきました。現職の会社の代表は、日本の働き方や生き方の変革の必要性を強く感じており、私も共感できました。その上で新規事業に携わってほしいと言われ……。『移住するからとキャリアをあきらめなくてもいいんだ!』『まだ仕事でワクワクしたり、挑戦できる!』と思えたんですよね」

現在は、朝の5~7時の2時間と、子どもたちが学校や保育園へ行っている9~16時前までが、仕事の時間。

「昼間に用事があれば離席し、後からその分の仕事を進めておけば問題なし。それぞれの事情に合わせて働ける環境に助けられています。都内の家は、夫と私が東京へ出社する際の拠点として、そのままキープ。子どもの成長に合わせて、東京へ戻ることも視野に入れています。試行錯誤の2拠点生活ですが、山梨が素敵すぎて、移住先でも家を買いたいと思うようになってきました(笑)。朝、目が覚めて窓を開けると、澄んだ空気が部屋いっぱいに流れ込んでくるんです。この気持ちよさは東京では味わえなかったこと。移住を決めてよかったし、今の働き方で、日々が充実しています」

【転職経験1回】転職ヒストリー


22歳 大学を卒業後、福利厚生サービスの会社へ入社
企業のよりよい福利厚生実現のためのマーケティングや営業・企画を担当。シンガポールやタイへ海外赴任も

プライベートでは20代後半に結婚。第1子の育休中にオンラインのアクセサリーショップ「Miina.gems」を開始

37歳 2023年➡リモートワークを推奨するベンチャー企業㈱HQに転職
’23年5月から現職。企業のリモートワークをサポート、「自分らしい生き方を支える」という理念に共感。新規事業にも参加中
毎週木曜日が「出社推奨日」。都内にあるシェアオフィスに出勤する日もあるが、出社しなくてもOK。ほかの日は山梨県でリモートワーク

新卒の就活のときから「よりよい働き方」に興味があったため、1社目は福利厚生を推進する会社に入社。その後、結婚、二人の出産などプライベートの変化を経験し、昨年秋に都心からの移住を決意。それに伴い30代後半で初転職を経験。現在はフルリモート、東京の本社には月1程度出社するスタイルで勤務をしている。

私、転職でこう変わりました!

仕事で「ワクワクしたい!」と 思えるようになった!

仕事で「ワクワクしたい!」と思えるようになった!
「移住を決めた時点では、勤め人としてのキャリアやスキルアップは、少し後回しにしていた部分もあったのですが……。焦らずに転職活動を続けるなかで、世の中には今の私の暮らしにマッチしながらも、ワクワクした気持ちで働ける仕事もあると知り、視野が一気に広がりました」

04/ライフスタイル重視転職 長 佳織さん(34歳・エンジニア)

「時短勤務が私のフルパフォーマンス」。そう伝えることでキャリアアップ!

長 佳織さん (34歳・エンジニア)

二人の息子を育てるワーママとしての再出発。1回目の転職の、原動力のひとつに

新卒でエンジニアとして就職したのち、2回の転職を経験している長さん。数々の採用面接の経験を通じて、「自分の状況や働き方は、隠さずに伝えたほうがいい」と実感しているのだとか。

「私の場合、最初の転職は、離婚と二人の息子を抱えての再スタートでした。時短勤務を希望していましたが、その条件だけで書類選考を落ちたり、『フルタイムで働けないか』と言われたこともありました。そんななかでも『離婚します』『ワーママとして時短でやっていきたいです』と伝え続けたことで、私の働き方に理解を示してくれた会社がありました」

最初の転職では、女性初のエンジニアとして会社に入ることに。

「新卒で入った会社で、すでに経験を5年以上積んでいたので、エンジニアとしては中堅どころ。新しいことに挑戦したい、という気持ちも転職の理由でした。2社目は、未経験からエンジニアへの転職もサポートするサービスもやっている会社で、エンジニア以外にも、面接、スカウトなどの業務にも関わりました。そこで知ったのが、求職者の家族構成や個人的なライフプランは、採用側からは、踏み込んで聞けないという現実。だからこそ、面接で、求職者側から自己発信する大切さを感じましたね」

自分が幸せな働き方を考えた末に、面接でしっかりアピール!

そして現在の会社へ、2回目の転職。これは自分のタイムパフォーマンスをより強化して働きたかったから。

「子育てし、仕事も充実させ、私自身もハッピーな働き方を考えた結果、無理してフルタイム勤務しても行き詰まるだけだなと。そこでたどり着いたのが“フルリモートで時短勤務”。副業で大人女子の学校『ライフデザイン講座』の講師業も始めていたので、副業OKの会社で働けたらなと。2回目の転職活動では『フルリモートで時短が、私の力を最大限に発揮できる働き方です!』と伝えました」

こうした工夫を重ねて、今は自分らしいライフスタイルを貫けている。

「フルリモート、フルフレックス制で、標準的な勤務時間は9〜18時頃ですが、私は子どもたちのお世話があるので朝は早めに仕事を開始し、16時頃には終了。同僚たちは、10時には仕事を始めて、用事で中抜けをする人も多い。全員が柔軟性のある働き方をしているから“ワーママだけ特別”みたいな感覚がないのが、精神的にも楽です」

収入面でも融通が利いたとか。

「前職よりも基本年収をかなり上げてもらえました。ただし今の会社は、フルタイム勤務ができる人を探していたので、私が働けない分は時短控除で差し引かれるかたちに。トータルだと同じか、少し増えたぐらい。でも『厚生年金が高くて悲しいです』など、人事に相談に乗ってもらえますし、お金の話も言いやすい環境です。エンジニア業界の中でも私のような働き方はまだ少ないものの、多様化のひとつとして受け止められているし、ワークライフバランスを重視する人も増えてきました。いい流れだなと思います」

【転職経験2回】転職ヒストリー


22歳 (株)CARTA HOLDINGSにエンジニアとして入社
大学を卒業後、新卒エンジニアでキャリアをスタート。この1社目で基礎的なスキルを身につけた

28歳 2018年➡株式会社divに一人目の女性エンジニアとして転職
離婚と同時にキャリアアップのために初の転職。女性が少ない業界で、エンジニアのキャリアをさらに積みながら人事の仕事も経験
結婚し、25歳で長男、28歳で次男を出産。第1子の育休からの復職が26歳。そこから現在まで時短勤務のスタイルに

33歳 2022年➡Classi株式会社に時短勤務社員として転職
フルリモート、フルフレックスを前提とした現職へ。プロジェクトに入ってエンジニアの仕事をこなしながら、若手社員の育成や教育も行っている
「自分にとって最も効率がいい働き方ができる」「副業もできる」などを視野に入れて、2回目の転職

会社は変わっても、エンジニア職を貫いているのが、長さんの転職スタイル。「最初の転職の際は、ほかの業種からも内定をいただいて。憧れていた仕事だったので迷いましたが、ワーママとして時間の融通が利きやすいのはエンジニアだと思いました」。その後、自身の働き方の核となる、今の就業形態にたどり着く。

私、転職でこう変わりました!

可処分時間を 意識するようになった!

可処分時間を意識するようになった!
「28歳から、二人の息子たちをほぼワンオペで育てているので、私にとって可処分時間の多い働き方をすることが最優先事項なんです。転職を重ねて、自分にも周りにも優しく、なおかつ余裕があるワークスタイルを意識した結果、今の働き方につながっていきました」

3.【令和の転職トレンド8選】転職のプロが解説します!

【TREND1】転職業界は、数年前から売り手市場。今後も転職しやすい環境は続く

転職業界は、 数年前から売り手市場。 今後も転職しやすい環境は続く

アベノミクスから続く女性の雇用拡大路線、世界経済の成長と慢性的な人材不足を受けて、労働市場は活況。
「コロナ禍が深刻だった2020年からの約2年間は、採用の制限を余儀なくされた業種もありますが、基本的にはジョブチェンジしたい方の売り手市場が続いています。特に女性は管理職の希望者や経験者が必要とされており、追い風と言えますね」(川嶋さん)。

この状況は今後も続くとか。「誰もが転職にチャレンジできる時代になりました」。

【TREND2】出戻り歓迎! アルムナイ制度が拡大

人事分野における「アルムナイ」とは、「退職者」を意味する。いわゆる“出戻り”転職を歓迎する制度で、昨今のトレンド。
「リクルートでも『アルミー』というアルムナイのサービスを提供しており、最近では日本郵政様にも導入いただきました」(中村さん)。

アルムナイ制度は、企業側と雇用される側、両方にとってメリットがあるのだそう。
「企業はすでに人となりがわかっていますし、出戻るほうもまったく未知の職場ではないので、相互に安心感があります」(中村さん)。

【TREND3】特化型の転職エージェントが増加

「希望する職種や会社が決まっていたり、専門のスキルがある人は特化型のエージェントに登録して転職先を探したほうが、待遇や収入面でもメリットが大きいと思います」(川嶋さん)。

専門分野がはっきりしていない、転職で新たな能力を磨いてみたいという人は、総合型サイトがおすすめとか。「総合型サイトの場合は、スキル以外にも仕事との向き合い方なども含めて、求職者の強みを判断してもらえます。『こういう職種はどうですか?』と、思わぬ仕事の方向性を提案してもらえるメリットも」(中村さん)。

外資系・グローバル企業の転職が専門。サポートも手厚い!

『ISS Consulting』

『ISS Consulting』
グローバル企業のハイクラス転職にしぼり、支援してきた実績は25年以上。求職者と企業の間に専任のコンサルタントが入り、企業側と直接話し合うことで、中・長期目線で働ける転職活動をサポート。求人情報の量も多く、「外資の企業で働きたい」「グローバルな環境で活躍したい」と思った際、利用しておきたいエージェント。

共働き&子育て世代に特化した、ハイクラス転職サービス

『withwork』

『withwork』
子育て中でもキャリアを積みたい人などのために、「仕事とプライベートの両立」を重視した転職支援を行っている。家庭を持ちながら新規事業に参加したい、リモートワークを活用して柔軟に働きたいなど、多様な要望に対応。コンサルタントとはLINEでのやり取りができるなど、使い勝手のよさも魅力のひとつ。

【TREND4】転職サイトは多様化。エージェント仲介型やスカウト型も

転職といえば、転職サイトに無料登録し、そこからサイトを運営する会社の担当者に転職先を提案されるイメージが強いものの、今は色々なスタイルが登場中!

「様々な転職エージェントを仲介してくれるサイト、企業側から直接スカウトが届くところ、その複合型など、ひとくくりにできないほど多様な転職サイトがあります。『何をどうやって利用したらいいのかわからない』という方は、総合型のサイトがおすすめ。サイトのコラム内で転職までの流れや、職務経歴書の書き方などを丁寧に紹介しているところも多く、就業までの基本的な流れを把握することができます」(中村さん)。

従来型
現在の一例

【TREND5】転職の「35歳限界説」は過去のもの! 年齢より「その人重視」に

かつては「30代半ばが限界」といわれていた転職。「今はまったくそんなことはありません」と中村さん。

「終身雇用が厳しい時代だからこそ、優秀な人材には年齢を問わずに来てもらいたいのが企業側の本音です。重視されるのも、人柄や、関わってきた仕事の内容。転職回数が多いことも、マイナスではなくなってきました。企業側が求めることに対し、どれだけのパフォーマンスを発揮できるのかを評価する流れのなかで、30代は転職のメイン層になっています」(中村さん)。

【TREND6】注目の転職ワードは「ポータブルスキル」

注目の転職ワードは 「ポータブルスキル」

資格や経歴などわかりやすいもの以外で、その人の実力をはかる言葉として使われるのが「ポータブルスキル」。近年の転職では重要な要素に!

「上司や部下とのコミュニケーション能力や、社内調整を進めていける人間力などを指す言葉です。組織で働く上ではかなり大事な能力なので、企業側も採用の際に重視しています。転職=今までの成果が重要なのでは!?と思う方も多いですが、自身のポータブルスキルを客観視すると、意外な武器や強みがあるはずです」(中村さん)。

【TREND7】出社回帰?フルリモートOK?企業の姿勢は今、変革期

出社回帰? フルリモートOK? 企業の姿勢は 今、変革期

コロナ禍を機に本格的に導入されたリモートワーク。「今、女性の転職希望者のなかで、最も希望が多い働き方です」(川嶋さん)。一方で、企業側は対応を調整中だとも。「こうした転職者の希望にこたえたほうが人材を確保しやすい、社屋の家賃や光熱費を抑えられるなどのメリットと、出社して対面で仕事を進めることの効率性を天秤にかけて、どうするか検討を重ねている企業が多い印象ですね。まさに働き方の変革期の真っただ中なのが、今といえます」(中村さん)

COLUMN
フレックス、在宅、時短…。柔軟な働き方に企業側も対応中!
リクナビNEXT上で測定した「働き方に関する『こだわり条件』が含まれる求人原稿の推移」によると、フレックス、在宅などの勤務形態を盛り込んだ求人情報は2021年から右肩上がりに急増中。「副業に関しては堂々とOKとうたっている企業はまだ少ないですが、申請すればよい、そもそも禁止していないなど、社風によっても差があるので、個別に確認してみる価値はあります」(中村さん)

【TREND8】増えてます。リファラル採用

社員の知り合い(元上司や元同僚など)から人材を確保する「リファラル採用」に力を入れる企業が増加中。「特にエンジニアなど専門職の方は、リファラル採用が増加傾向にあります。企業側も人手を確保するのに必死ななかで、知り合いを介して紹介される人材だと身元がしっかりしていますし、転職をする側も新しい環境になじみやすい、事前に職場の情報を得やすいなど利点が。最近はリファラル採用に特化したサービスも登場しています」(中村さん)

撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/今関梨華〈P-cott〉 イラスト/そばまる 取材・原文/石井絵里 【2023年6月15日~6月20日、BAILAメルマガ会員にアンケート。30〜42歳の273人が回答】 ※BAILA2023年10月号掲載

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