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知花くららさんインタビュー!祖父の家を受け継ぐために建築学科に進学【未来へ繋がるあの人の学び①】

学びって実は大人になるほど楽しめるもの。そう教えてくれるのは、一歩先をゆく同年代の女性たち。知花くららさんは祖父の家を譲り受けたことをきっかけに大学の建築学科に進学。好奇心の赴くままに挑戦するというのが知花さんのポリシーだという。

祖父の家を未来に残す目標への一途な思いが40代への投資につながった

祖父の家を未来に残す 目標への一途な思いが 40代への投資につながった

History
2011頃:沖縄・慶良間諸島の祖父の家を譲り受ける
2019:京都芸術大学社会人課程に入学
2021:大学を卒業

知花くららさん

知花くららさん


ちばな くらら●1982年生まれ、沖縄県出身。'06年にミス・ユニバース・ジャパンに選出され、各メディアで活躍。'07年から国連WFP大使。'12年より沖縄・慶留間島で子どもたちのための保養キャンプを主催。'19年に歌集『はじまりは、恋』を刊行。2児の母。

喜びと苦しみが詰まった建築学科卒業までの2年間

「国連WFP(世界食糧計画)の仕事や旅行で訪れた世界の国々。そこでは現地の方が暮らす住宅に招いていただく機会にも恵まれて。中でも印象に残ったのが牛糞や泥を塗り固めて建てるマサイ族の家。彼等は一夫多妻制なのですが、奥さまたちがそれぞれ自分の手で家を建てています。私が招かれたのはまだ若い新妻のお宅だったのですが、何か音がするなと思ったら、第一夫人と第三夫人が屋根の修理を手伝っていたりして。日本で暮らす私にとって、それはとても興味深くどこか不思議な光景でもありました」  

家は住人の生活だけでなく、その国の文化や社会まで映し出す鏡。旅を通じて建築に興味を持つようになった知花さんが、本格的に勉強を開始したのは2年前。「建築を学ぼうと思ったのは、沖縄の慶良間諸島にある祖父の生家を受け継いだことがきっかけです。老朽化が進むその家は建て直す必要があるのですが、国立公園に指定されている島なので景観保全も考えなければいけない。だからこそ、何を残し、何を変えていくのか、自分自身で学びちゃんと考えたくて」  

彼女が学びの場所に選んだのは、東京で生活しながら通信で勉強できる京都芸術大学建築学科の社会人課程。入学したのは第1子を妊娠しているときだった。「仕事がスローダウンするので、ある意味、これはチャンスだなと。ただ、通信だから家でゆるりと学ぶことができるのかなと思いきや、これが想像以上に大変で。教材をもとに自分で学ぶことが基本なのですが、製図や模型作りの実践過程は週末に学校に通いスクーリング。オンラインで提出する課題やレポートも、私はいつもギリギリ。睡眠時間を削り必死に制作した課題に対して、先生から厳しい批評が返ってきては落ち込む、そんな日が続くこともあったりして」  

中でも「いちばん大変だった」と語るのが、第2子の妊娠中に挑んだ卒業制作。「つわりがひどいときには、横になりながら模型を作ったりして。卒業制作の発表後、修正した作品を京都のキャンパスに送るのが最後の課題だったのですが。発送を終えた帰り道に、一人でコッソリ泣きました。安堵と達成感が押し寄せてきて、“あぁ、終わったんだ”って(笑)」

「好奇心の赴くままに学びのドアをたたき続けたい」

「好奇心の赴くままに学びのドアをたたき続けたい」(知花さん)

人生の選択肢を広げてくれる学びは未来の自分への投資

つらく厳しい時間を過ごした卒業までの2年間。それでも学び続けることができたのは、喜びや楽しみもあったから。「私の至福のひとときは模型を作り終えたあとの撮影。スマホのライトを照らし朝日や夕日を再現しながら撮影をするのですが、カメラのレンズを通して見ると、そこで生まれるであろう生活や時間がえてくる。自分の頭の中にあるものが形になる、それは喜びを感じる瞬間でした。心が折れなかったのは、祖父の家を建て直すという明確な目標があったことも大きかったと思います。実は今、その計画も少しずつ動き始めていて。学校で建築関係の知り合いも増え、そんな仲間たちと意見を交わしている最中なんです」  

今までも、建築に限らず短歌や古筆など様々な学びにトライしてきた知花さん。その原動力は“好奇心とノリ”。興味が湧いたら「合わなかったらやめればいい。とりあえず、やってみよう」の精神で飛び込むことを大切にしているそう。

「学びは自分の可能性を広げてくれる。それを実感したのは大学在学中に学んだフランス語でした。留学も経験して身につけたそれは私の世界を広げてくれた……。私にとって学びは“未来の自分への投資”でもあります。特に年齢を重ねるほど“経験ずみ”のことが増えていく、ゆえに自分の可能性が狭まるような感覚に陥ることも。そこで足を止めたら何も変わらないけれど、学び知識を身につけ、できることが増えれば仕事や人生の選択肢が広がるかもしれない。それってすごくワクワクするじゃないですか」

未来はいい意味で不確定。それはミス・ユニバース・ジャパンに選出され、一夜で人生が変わった体験を経て学んだこと。「今の時代、肩書はいくつあってもいいと思います。“これしかできない”より“あれもこれもできる”のほうが未来に夢を描くことができるから。これからも好奇心の赴くまま、私は学びのドアをたたき続けたいと思います」

スクーリング以外は基本自宅学習

スクーリング以外は基本自宅学習。自分のペースで学べるが、課題に追われているときは孤独を感じることもあったそう

卒業式は京都芸術大学の瓜生山キャンパスで

卒業式は京都芸術大学の瓜生山キャンパスで。お気に入りの琉球紅型の訪問着を着て卒業証書を受け取りました

トレンチコート¥88000/ヘンネ カスタマーサポート(HAENGNAE)

取材・原文/石井美輪 ※BAILA2022年2月号掲載

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