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歌舞伎俳優 #中村米吉 のほぼ独り語りスペシャル♡ BAILA独占インタビュー!【歌舞伎沼への誘い♯36 前編】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南する【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い】。 そのスペシャル版として今回、お届けするのは、若手の女方として大注目の中村米吉(よねきち)さんのスペシャルインタビュー。昨年は、歌舞伎座で次々と大きなお役を勤めるなど大活躍でしたが、そんな飛躍の1年を語りつくします!! 愛らしいキャラに毒のあるトークがスパイスされて、バイラ歌舞伎部のまんぼう部長と小僧も爆笑の連続。前編・後編、2回に渡って、お届け~!!

中村米吉インタビュー

↑中村米吉さん。1993年東京都生まれ。父は歌舞伎俳優の中村歌六。屋号は播磨屋。2000年7月歌舞伎座『宇和島騒動』で、五代目中村米吉を襲名して初舞台。2011年から女方を志し、本格的に歌舞伎役者として歩み始める。現在、歌舞伎座で上演中の『鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)』に出演中。

■昨年の南座・花形歌舞伎の成功が今につながっている

部長 米吉さん、この1年間を振り返ると、本当に目覚ましい活躍でしたね。次々と大きなお役を勤めるようになってうれしいです!! この連載でも取り上げましたが、昨年3月の京都・南座での花形公演がひとつのきっかけになっているような気がしますが、今振り返ってどうでしょうか。コロナ禍にもかかわらず、たいへんな盛り上がりでしたよね。

米吉 おかげさまで、お客様にお喜びいただけたのか、チケットの売れ行きも徐々に増えていったそうで、千穐楽は満員になったんですよ。本当に有難かったです。そのおかげか、この3月も花形歌舞伎が開催できることになり、次につながったのかなと思うと、何よりうれしいですね。3月の南座は、以前から花形公演をやっていて、僕も2015年3月に、初めて松也兄さん以下の若手で南座を開けさせていただいたことがありました。ただ、その後5年間、3月南座の花形歌舞伎はなかったんです。

だから、昨年6年ぶりに花形公演が復活したときは、すごくうれしかった反面、とても恐ろしかったです。大丈夫なんだろうかと。しかも今回はコロナ禍で、役者の人数が2015年のときの半分くらいになってる。第一報が出た段階で、中村壱太郎さん、尾上右近くん、中村橋之助くん、そして僕。「たったの4人かい!!」って(笑)。お客様に足を運んでいただけるのか、本当に心配でした。でも、ふたを開けてみたら、お客様からの温かい反応が待っていて、ほっとしましたですね。

 

昨年はAプロ、Bプロと配役を変えてやりましたでしょう。立役のお二人(尾上右近・中村橋之助)は、役に対するアプローチが違っていたように思えますし、

女方の壱太郎の兄さんと僕もタイプが全然違うので、Aプロも観たら、Bプロも観たくなるようにできていたのかもしれません。しかも奇数日と偶数日で演目の解説者を変えたりして、商売としてうまいこといったというか…(笑)。コロナ禍の状況下であれだけの方が足を運んでくださって、今年につなげることができたのは何よりだと思っています。

京都南座での花形歌舞伎で静御前を勤める中村米吉

↑令和3年3月南座『義経千本桜 川連法眼館』で静御前を勤める米吉さん。かわいい! 美しい!! 実は狐の化身である佐藤忠信を勤めた橋之助さんとともに、可憐に舞う姿が素敵でした~♪

部長 4人のインスタライブも話題になりましたね。終演後に、日替わりで二人ずつ登場して、舞台についてトークを繰り広げるというスタイルは、とっても新鮮でした。とくに米吉さんのキレッキレなトーク力が光りました!! みなみーな(南座のキャラクター)とのからみも最高で、米吉さんがインスタの王に見えました(笑)。

米吉 みなみーなとは大親友なので(笑)。あのインスタライブは、壱太郎のお兄さんの発案です。兄さんは、上方の役者さんということもあり、関西の芝居をもっと盛り上げたいということで、どうやったらお客様が喜んでくれるかな、盛り上げられるかなっていうところまで考えてらしたんですね。

僕はそれまでインスタグラムをやってませんでしたけれど、公演の前の月に壱太郎のお兄さんから、「修ちゃん(本名・修平)はインスタとかやらないの?」と唐突に聞かれて…(笑)。よくよく聞けば、南座公演にSNSを活用したい、と。そこからインスタを始めました。

今の時代にあった宣伝スタイルが功を奏したようで、インスタライブの視聴者もどんどん増えていって。南座のスタッフの方々もSNSを使った宣伝に非常に柔軟に対応してくださったので、それも有難かったです。

歌舞伎俳優中村米吉のインタビュー写真

↑しゃべり出したら止まらない!! 「立て板に水」という言葉がビッタリの米吉さん。美しい顔と美しい言葉使いで、たまに繰り出す毒がたまりましぇ~ん!! トークショーも人気で、3月5日には、公演先の京都でも開催予定。

■将来、彼らと舞台に立ててるのかという恐れと不安

部長 そうすると3月の南座を終えて、米吉さん自身、手ごたえみたいなものもかなり感じていたということでしょうか。

米吉 うーん………どうでしょう。南座の千穐楽では、お客様のご声援にお応えする形でカーテンコールをさせていただきました。でもね、立って拍手をしてくださっているお客様の顔を見るにつけ、「『あ~、良かった!』で終わっちゃいけない」って思いました。そっちの気持ちのほうが強かった。

あのお客様からの熱いご声援は右近くんが泣きながら、しゃかりきに狐忠信をやった、あの人の熱い芝居がお客様を立たせたと思うんですよ。それは凄いものだったし、同じ舞台で肌身に感じました。

つまり、義経として出演していたとはいえ、僕が立たせたわけじゃない。だから、その熱狂に心から感謝はするけれど、この盛り上がりに、浮かれちゃいけないなって思いました。

僕だって、一観客として心から立って拍手をしたいと思ったのは、白鸚のおじさまの『ラ・マンチャの男』を観たときくらい。ということは、僕自身、一役者として、あの素晴らしさには及ばなくとも、それくらいの感動をもってお客様に立っていただかないといけないんじゃないのかなって。

小僧 すごい、めちゃくちゃ冷静ですね。

歌舞伎俳優中村米吉の源義経

↑令和3年3月南座『義経千本桜 川連法眼館』で源義経を勤める米吉さん。美しい女方もいいけれど、凛々しい立役もいいっ。もっと観てみたいですっ。

米吉 冷めているんですよ。冷たいの(笑)。だから、あの月を経て、自分の中で何かが大きく変わったということはないんですけれど、あの4人でやれたのは、正直、とても良かったと思っています。

橋之助くんとは初めて一緒にできて、彼のことを知ることもできたし、右近くんは、同じ歳でずっと観てきて、とんでもない人だなと思っていましたけれど、あらためて凄さを実感できた。一歩先を行く壱太郎兄さんの芝居だけではなく、興行全体を見ながらのリーダーシップは本当に素晴らしいなと感じました。

で、そんな3人を間近でみるにつれ、強く思ったのは、じゃあ、今後、橋之助くんが歌舞伎座で『四の切』をやれるようになったときに、僕が「静御前」をやれるのかなということです。右近くんが『四の切』を歌舞伎座で初めて出すというときに、「米吉さんの義経でいきましょう」って、なれるのかどうか。壱太郎の兄さんとダブルキャストで何かやる、ってなれるのかーーっていうことをすごく考えるようになりました。技術的な面も含めて、いわゆる役者としての看板的な意味においてもです。

1月の歌舞伎座でやった『岩戸の景清』も若手でやりましたけれど、今はまだギリギリ、「若手」がいっしょくたになって、ある種、団子になってると思うんです。でも、徐々にそうではなくなっていくということに気づかなきゃいけないんですよね。

20年、30年と経ったときに、自分が皆さんの相手役をできるのかどうか。それは恐れでもあるし、不安でもありますけれど、そうならなくちゃいけないという、ひとつのスイッチに、あの公演がなったと思います。

歌舞伎俳優中村米吉の写真

↑所属している事務所の先輩で、元宝塚の紫吹淳さんから、男らしい立ち姿の心得をレクチャーされたそう。そのせいか、かわいさプラス、男っぽさも加わって、小僧も思わずキュン。

■ 世阿弥の「時分の花と誠の花」という言葉の意味とは

部長 米吉さんは、自分のことを「冷めている」と言ってましたけれど、壱太郎さんも右近さんも橋之助さんもどっちかというと、熱さが前面に出てるタイプですよね(笑)。

米吉 すごいですよ。壱太郎兄さんと右近くんなんて、目の奥が燃えちゃってるんですから(笑)。でも、僕はそこにのっかれないんです。突っ走る橋之助くんを見ても「もう、わかったから!!」って感じで(笑)。精神が老いてるのかなー? 大人びてるとか、そんな良いものじゃなくて…。ダメですよね(苦笑)。

小僧 「のっかれない」理由はなんですか?

米吉 それは結局、「自分はのるに値しない」って感じているところがあるからですかね。ほかの3人を見ているとすごいなって思うから、自分が同じレベルでのっかるなよって思ってるところがあります。 本当にああいうふうに情熱をさらけ出せたらいいなと思いますよ、それは。でも、そんな技術が伴うからできるんです。

(波乃)久里子のおばに言わせたら、「頑張っていいのは、運動会だけ!」「まずいのが頑張ったら、一番タチが悪い!」って(笑)。すごいこと言うでしょ? でも、どこか芯をついてらっしゃる。だから僕みたいなのが空回りしたらいけないなと思って気をつけてはいるんです。

小僧 それまた自分に厳しいですね。でも、裏を返せば、クールに見えて、じつは米吉さんも内側には情熱を秘めているということですよね。

米吉 あたりまえじゃないですか。だって! あなた! 僕たちはまだ情熱でしか戦いようがないじゃないですか。例えば静御前ひとつとっても、玉三郎のおじさまはじめ、名だたる先輩方がおやりになることのあるお役ですよ。そりゃ、そっちがいいに決まってますもの。

歌舞伎俳優中村米吉とみなみーなの写真

↑令和3年3月南座では、出演俳優4人が日替わりで歌舞伎の楽しみ方を語る「歌舞伎の魅力」という演目に出演。ここでも米吉さんは、キレッキレのトーク力を発揮して、客席を魅了。南座のキャラクター・みなみーなとの相性も抜群。さすが大親友♪

米吉 世阿弥の言葉に、「時分の花と誠の花」という言葉がありますけれど、「時分の花」というのは、ときが咲かす花。「若くてきれいが結構ですね」って。 一方、「誠の花」っていうのは、その先の芸で見せる花なわけです。

でも、僕たちは、まだまだ誠の花まで全然いってないわけで、じゃあ、そのとき何ができるのかと言ったら、やっぱり情熱しかないと思うんです。「一生懸命やります、それでカンベンしてください」ってことです。 結局は、今自分ができることを精一杯やるということに尽きます。

もっと言えば、自分が伝えたいようにお客様に伝わっているかは、実際のところ、わからない。そこを目指して、一生やり続けて「ああ、できなかったな」って言って、死んでいくものかもしれない。

(中村)吉右衛門のおじさまだって、「初代は、初代は…」とおっしゃっていらした。あれほどの方ですら、そうなんです。きっと初代吉右衛門は、「九代目團十郎は…」とおっしゃっていらしたんじゃないのかな。そういうことなんだと思います。

部長 お話を聞いていると、やっぱり3月南座で、精神的に大きく変わられたんだなと思いました。

米吉 (坂東)玉三郎のおじさまに初めてお役を習ったことも大きかったと思います。技術的なことはもちろん、気持ちの部分でもたくさんの学びがありました。「若手若手って、もう若手じゃない」って。そうなんですよね。もう来年、30歳なんですから。あぁ! こんな30歳嫌だなぁ(笑)。

「京都でやったから、何だじゃない。京都でやって、歌舞伎座でさせたいなって思わせないといけないんだから」と玉三郎のおじさまにも言われました。本当にその通りですよね。

そのときに教えていただいたことは本当に大きかったですし、それを踏まえて今の自分に何ができてるかはまだわからないですけれど、とにかくこれを次につなげていかなければならないなと今は思っています。

(後編に続く)

歌舞伎俳優中村米吉さんの撮り下ろし写真

↑気品と憂いにあふれた横顔は、どこか玉三郎さんに通じるところが。それにしても歌舞伎俳優さんたちって、どうしてみんなこんな美肌で、睫毛が長いのかしら……と部長もキュン。米吉さんのお話は次回に続きます。お愉しみに~!!

歌舞伎俳優 #中村米吉 のほぼ独り語りスペシャル♡ BAILA独占インタビュー!【歌舞伎沼への誘い♯36 前編】_8

■二月大歌舞伎

日程/2022年2月1日(火)~25日(金)

【休演】8日(火)、17日(木)

劇場/東京都 歌舞伎座


第三部 午後6時15分~


一、鬼次拍子舞(おにじひょうしまい)

山樵実は長田太郎:中村芝翫

白拍子実は松の前:中村雀右衛門

二、

河竹黙阿弥 作

鼠小紋春着雛形

鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)

稲葉幸蔵:尾上菊之助
刀屋新助:坂東巳之助

芸者お元:坂東新悟

杉田娘おみつ:中村米吉

蜆売り三吉:尾上丑之助

石垣伴作:中村吉之丞

左膳弟子左内:橘太郎

養母お熊:市村橘三郎

与之助:坂東亀蔵

早瀬弥十郎:坂東彦三郎

本庄曾平次:河原崎権十郎

大黒屋抱え松山:中村雀右衛門

辻番与惣兵衛:中村歌六

※最新情報は公式サイトにてご確認ください。

◆公演詳細

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/743#cast


◆公演チケット情報

https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

写真/露木聡子  

取材・構成/バイラ歌舞伎部  

まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 

ばったり小僧……歌舞伎歴2年。やる気はあるが知識は乏しい新入部員。若いイケメン俳優だけでなく、オーバー40歳の熟年俳優も大好き。

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