そもそも体の一部であるはずなのに、なぜ特別なお手入れがデリケートゾーンには必要なの? 今まで性教育などで教えられることがなかったデリケートゾーンケアの重要性。将来、私たちが健やかに過ごすために、そして次の世代に語り次いでいくためにも。デリケートゾーンケアの基本の“き”を、医師の満行みどり先生と植物療法士の森田敦子さんに伺います。
デリケートゾーンケア【洗う・整える】
「ケアしないといけないと思いながら、できていないので今年こそ始めたい!」(営業・32歳)
「専用ウォッシュなどあるが、そこまでして洗浄が必要なのか知りたい」(広告・27歳)
みどり美容クリニック・広尾院長。女性特有の悩みを丁寧に解決するため、日本初となる美容婦人科クリニックを開院。
植物療法士
森田敦子さん
サンルイ・インターナッショナル代表。パリ13大学で植物薬理学や性科学を学び、日本でのフィトテラピーやデリケートゾーンケアの大切さの普及に尽力。2021年9月にはフェムテック・ウェルネスメディア「WOMB LABO(ウームラボ)」をメインキュレーターとしてスタート。
膣は一生モノ。手をかけたらこたえてくれる
「実は今、閉経を迎えた多くの女性が乾燥による膣委縮や骨盤底筋群の衰えによる尿漏れや子宮脱といった悩みを抱えています。これらはデリケートゾーンのケア不足や、生活の欧米化に伴う骨盤底筋群の筋力低下が原因。でも逆をいえば、きちんとケアしていれば、避けられる問題でもあります。人生100年時代を迎えるとされる現在。未来を快適で健やかに過ごすために、自分の膣と向き合い、ケアしていくことが重要です」(森田さん)
ピルと膣の関係性
「低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが配合されています。このホルモンを外から補うことで、ホルモンをきちんと分泌していると脳に勘違いさせ、排卵をコントロール。女性ホルモンの過剰な変動による生理痛やPMSなどの症状を緩和させます。ただこのエストロゲンは、膣内に潤いを与えたり、膣壁を厚くする作用を持ちます。そのためピルを長期で飲んでいると、実際のエストロゲン分泌は制限しているため、膣内の潤い不足や膣壁も薄くなって性交痛などが起こる可能性も。ピルを飲む・飲まないどちらもメリットデメリットがあるため、ライフスタイルに合った選択を」(満行先生)
35歳は膣の曲がり角!?
「代表的な女性ホルモンであるエストロゲン。このホルモンには、女性特有の丸みを帯びたラインや肌や髪の潤い、自律神経などの女性の体全体の健康を支える役割があります。さらには、膣壁のふっくらとした厚みや潤いにも大きな関係が。このエストロゲンの分泌は20〜22歳のピークを境に、ゆるやかな下り坂になり、35歳でガクンと減少。つまり、肌だけでなく膣の潤いや厚みにとっても“曲がり角”といえるのです」(満行先生)
専用ウォッシュ、どう選ぶ?なぜ必要?
「デリケートゾーンは、pH値が3.8~4.5と低い弱酸性。バリア機能を持っている角層もない、文字どおりとてもデリケートな部分です。普通のボディソープでは刺激が強く、必要な常在菌を奪い、膣乾燥を引き起こす危険も。ただし、pH値の低い弱酸性ソープを使えばいいわけではありません。膣まわりは恥垢という脂性の汚れがたまりやすいため、汚れを落としつつ肌の潤いは守る、専用のウォッシュで洗うことが必要です」(森田さん)
スクワランやセラミドなど保湿成分たっぷりなもちもちの泡。ナチュラルインティメイトウォッシュ 200㎖ ¥2910/レイ
乳酸菌エキス配合で、潤いのあるふっくらした肌へと洗いながらケア。I'm La Floria デリケートボディウォッシュ250㎖ ¥3740/メリア
マイルドな泡立ちながらも、脂性汚れをしっかりオフ。潤いを逃さない環境へ。インティメイト ウォッシュ 120㎖ ¥2750/Waphyto
VIO脱毛、やっぱりすべき?
「排泄する器官であり、汗や皮脂を分泌する汗腺も存在するデリケートゾーン。ムレやかゆみが出やすいのはそのためですが、そこに毛があればさらに皮脂がたまりやすく、雑菌が繁殖。炎症やにおいを引き起こす可能性もあるため、最低限でもIOラインの脱毛をおすすめします。最近ではセルフケアできる美容機器などの選択肢も増えています。脱毛することで清潔になることはもちろん、膣状態や変化を把握しやすくなります」(森田さん)
日本初のお風呂で使える防水仕様なので、プライベートな空間でのケアが可能。医師監修のVIO専用カットフィルターを搭載。レイボーテ ヴィーナス ¥99000/ヤーマン
撮影/久々江満 取材・原文/谷口絵美 ※BAILA2022年4、5月合併号掲載