読書の秋。「本は読みたいけど、時間がない!」人へ
こんにちは、スーパーバイラーズの岡田りさです。
今回はちょっと趣味全開で(笑)、大好きな本について書きたいと思います。月に5〜6冊ほど本を読むのですが、「面白そう!」と思って買った長編小説が、忙しいときにはなかなか開けないことも。
そこで今回は、私が実際に読んで90分以内で読み終えた小説の中から、大人の女性におすすめしたい4冊を選びました。恋愛にどっぷり浸かる小説から、少し立ち止まって考えたくなる文学作品まで。
通勤時間や休日のカフェ、寝る前など、ちょっとしたスキマ時間の読書にもおすすめです。
※読了時間は私の場合です。読むスピードによって個人差があります。

CONTENTS
1. 『愛がなんだ』角田光代|人に執着したことがある人へ

212ページ/本体価格680円/読了時間:1時間28分
あらすじ
OLのテルコは、マモちゃんに恋をしている。彼から電話があれば仕事中でも長話し、誘われれば仕事を放り出してでも会いに行く。生活のすべてがマモちゃん最優先。
けれど肝心のマモちゃんは、テルコのことを恋愛対象として見ていない。それでもテルコの片思いは止まるどころか、どんどんエスカレートしていきます。
「なぜこんなに雑に扱われても、好きでいられるんだろう」
好きになるということは、時に自分を差し出すことなのかもしれない。読みながらずっと考えていたのは、「なぜこんなに雑に扱われても執着できるんだろう」ということでした。むしろ、大事にされていないからこそ、自分の愛の重さで埋め合わせようとしているんじゃないか。
そう思うとテルコの姿は決して他人事ではなくて、誰もが一度は経験するかもしれない「対等じゃない関係」の究極形を見せられているような気がしました。経験がある人ほど、古傷を突かれるような痛みを感じるかも。
あなたは、テルコに感情移入しますか?呆れますか?それとも…?
読み始めたら止まらない。気づけば1時間28分で一気読みしていました。
こんな気分の時におすすめ
・対等じゃない関係のリアルさを味わいたい
・好きすぎて自分を見失った記憶がある
・自分の過去と向き合う時間が欲しい
・綺麗事のない恋愛小説を読みたい
・直木賞作家の筆力を味わいたい
2. 『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』尾形真理子|恋とファッションに悩む夜に

228ページ/本体価格580円/読了時間:58分
あらすじ
それぞれ恋愛に悩みを抱えた女性たちが訪れるのは、路地裏にあるセレクトショップ「Closet」。不思議な魅力を持つオーナーと一緒に「自分を変える一着」を探すうちに、彼女たちは自分自身の本当の気持ちと向き合っていきます。
恋愛とファッションが交差する、5つの物語を収めた短編集です。
読んだあと、無性に服を選びに行きたくなる
物語の世界にどっぷり没入する小説も好きですが、こんなふうに軽い気持ちで手に取れる読み物も大好き。文章に可愛らしさとリズムがあって、とにかく読みやすい。私は58分で読み終えてしまいました。
そして好きだったのが、人間関係を無理やりわかりやすい結論に着地させないところ。恋愛って、必ずしも「付き合いました」「別れました」で気持ちまで完結するわけではないですよね。
この本では、結末そのものよりも、主人公たちの心が少しずつ移り変わっていくことが「結末」として描かれているように感じました。主人公の心情の一片に自分を重ねて切なくなったり、嬉しくなったり。そして読み終わるころには、なぜか新しい服を選びに行きたくなったり。
短い言葉で人の心をつかむ、コピーライター・尾形真理子さんならではの魅力を感じる一冊でした。
こんな気分の時におすすめ
・難しいことを考えず、軽やかな読書がしたい
・恋愛にちょっと疲れた
・最近なんとなく自分に自信が持てない
・秋服を買いに行きたい
・リズムのいい文章で気分転換したい
3. 『乳と卵』川上未映子|正直読みにくい。でも、その読みにくさが良い

133ページ/本体価格600円/読了時間:1時間12分
あらすじ
大阪から東京へやってきた巻子と、その娘・緑子。巻子は豊胸手術を受けることを考え、自分の胸について延々と思いを巡らせています。
一方、思春期を迎えた緑子は母親と口をきかず、自分の身体が変化していくことや「女になること」への戸惑いをノートに書き続ける。物語と緑子の手記が交互に書き連ねられる小説です。
母娘と、ふたりを迎える巻子の妹を通して、女性の身体や母娘の関係が描かれていきます。
頭を空っぽにしたいとき、あえて他人の言葉でいっぱいにする
正直、かなり読みにくいです。句読点の少ない文章が延々と続いて、頭の中に言葉を次々と詰め込まれていくような感覚。でも、その「読みにくさ」が私は結構好きでした。
きれいに整理された文章を読んでいるというより、人の脳内をそのまま覗いているみたい。頭を空っぽにしたいときに、あえて他人の言葉で頭の中をいっぱいにする。そんな読み方ができる本だと思います。
一番印象に残ったのは、緑子と母・巻子の関係。母親のことって、ある時期、猛烈に嫌悪することがあると思うんです。緑子にとってそれは、巻子を「母」ではなく「ひとりの女」として見たときなのかな、と。
触られたくないし、話したくもない。でも、たったひとりの母だから身体は心配だし、なぜそんなことをするのか、何を考えているのかは知りたい。でもやっぱり、話したくない。そんな思春期特有の、母親への愛情と嫌悪が同時に存在する感じがとてもリアルでした。
そして終盤、それまで自分の内側に閉じ込めていたものを、ようやく外に出せたように感じる瞬間があります。何もかも解決したわけではない。でも少なくとも、それまでとは少し違うところへ進めた。私には、そんな「一応のハッピーエンド」に見えました。
こんな気分の時におすすめ
・頭の中を他人の言葉でいっぱいにしたい
・誰かの脳内にどっぷり入り込みたい
・「女であること」を少し面倒に感じる
・矛盾した感情に触れたい
・自分の身体について考えたい
4. 『薬指の標本』小川洋子|静かな文学に浸りたい夜に

180ページ/本体価格520円/読了時間:1時間9分
あらすじ
働いていた工場で薬指の先を失った「わたし」は、ある出来事をきっかけに町を離れ、「標本室」で働き始めます。そこに人々が持ち込むのは、植物や物のような一般的な標本とは限りません。それぞれの人が「標本にしたい」と願うものを受け取り、標本技術士の弟子丸氏が標本にしていく。
静かで不思議な標本室で働くうち、「わたし」と弟子丸氏の関係も少しずつ変化していきます。
支配や消失を描いているのに、不思議と心が静かになる
静かで、美しくて、とても読みやすい文章。この小説では時折、ドキッとするような出来事が起こるのですが、それさえも風のようにすっと通り過ぎていくように感じました。
支配や消失といった決して穏やかではないものが描かれているのに、読んでいる私はなぜか静かな気持ちになっていく。説明しすぎない文章と、すっと頭に入ってくる比喩表現も魅力的でした。
そして何より好きだったのが、空間の描き方。標本室や併録の六角形の小部屋などは、読んでいるうちに「この場所、実際にどこかに存在するんじゃないか」と思えてくるほど、その世界に引き込まれます。
静かな文章に身を任せていると、ときどきゾクッとする。刺激の強い物語ではなく、心を静かにして文学作品を読みたいときに、また手に取りたくなる一冊です。
こんな気分の時に読みたい
・はっきりした結末より、余韻を求めている
・静かな文章で気持ちを整えたい
・少ないページ数で、濃密な世界に出会いたい
・言葉選びの美しさにじっくり浸りたい
・静けさの中の不穏にゾクっとしたい
忙しくても「90分」あれば、小説を1冊読める

今回紹介した4冊は、すべて私が実際に90分以内で読み終えた作品です。最短は『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』の58分。いちばん時間がかかった『愛がなんだ』でも1時間28分でした。
「読書したい」と思うと、つい休日に何時間も確保しなければ……と思ってしまいますが、意外とそんなことはないのかもしれません。
電車に乗っている時間。休日にカフェで過ごす時間。寝る前についスマホを見てしまう時間。そんなスキマ時間でも、物語の世界にはちゃんと入り込める。
今回の4冊は読みやすさも、読後感も、描かれているものも全然違います。
恋愛にどっぷり浸かりたいなら『愛がなんだ』。
恋とファッションを軽やかに楽しみたいなら『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』。
少し癖のある文章に頭まで浸かりたいなら『乳と卵』。
静かで美しい文学を味わいたいなら『薬指の標本』。
気になる一冊があったら、この秋の90分を読書に使ってみてはいかがでしょうか。最後まで読んでいただき、ありがとうございました♡




















































