確固たる個性と審美眼を持つ、大人のおしゃれプロが手に入れた“真の一生もの”とは? 出合ったストーリーやお気に入りのポイント、今も愛用している理由とともに、“マイ・一生名品”を紹介。スタイリスト斉藤くみさんの一生名品は?
1 エルメスのヴィンテージシャツ、手に入れたのはいつ?
「2年くらい前に、ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店で開かれていたヴィンテージアイテムのポップアップイベントで購入。以前にもエルメスのシャツは持っていたのですが、シルエットがタイトで、今の自分には似合わなくなっていたので手放したという経緯があって。そんな中、とてもコンディションの良いシャツが見つかったので、これは!と思って手に入れました」
「少しゆとりのあるシルエットが今の気分に合います」シャツ/エルメス(ヴィンテージ)
2 このシャツを購入した理由とは?
「最初に見つけたとき、とにかくコンディションが良いことに驚きました。エルメスのシンプルな白シャツってなかなか見つからないのに、ましてやこんないい状態のものがあるなんて。そのときの私は、白シャツというアイテムから少し離れ気味で、特に白シャツが欲しくて見に行ったわけでもなかったのですが、これだけは欲しい!と思いました。
そして、エルメスの服ってやっぱり美しいな、と改めて思うきっかけにもなりました。なんといっても生地が素晴らしいんです。きめが細かくて、着込んでいてもきれいな感じ。単に古くなるのではなく、味が出てカジュアルなニュアンスが加わっているところがとても今っぽいな、と思います」
「シルエットや素材はもちろん、本当に細かいところにまでメゾンの美学を感じるつくり。少しだけ開きが広い襟、カフスに入った切れ込み、袖口の細かいタックなど、王道すぎる定番のデザインではなく、シンプルな中にもエッジが効いているんです」シャツ/エルメス(ヴィンテージ)
3 このシャツが“一生名品”になった理由
「白シャツ自体に正装感があるので、こんな風にデニムを合わせてカジュアルに着てもどこか品良くまとまります。上質な糸を織り上げたコットン素材なので、生地が柔らかく肌ざわりがシルキー。袖を通すたびに、買って良かったと思える1着です」シャツ/エルメス(ヴィンテージ) デニム/ReNAVE バッグ/ザ・ロウ 靴/メゾン マルジェラ
「スタイリストとしてたくさんの服を見てきましたが、私自身が着る服という視点で言うと、自分のライフスタイルに合う服って実は数多くはないと思うんです。そんな中でも白シャツというのは私にとって特別なアイテムのひとつ。自分のブランド(ReNAVE)でも必ず作るくらい、私らしいおしゃれには欠かせないもの。だからこそ、このエルメスのような特別な白シャツに出合えたことはとてもうれしかった。ヴィンテージなので、どなたかが着ていたものが縁あって私の元へとやってきたわけですが、これからは私がこのシャツを大切に着ていって、自分らしい味をプラスしていけたらと思っています」
取材・文/発田美穂