気になるデリケートゾーンの話し、貧血や便秘、耳鳴りなど、病院に行くほどでもなさそうな病気未満の小さな悩みに婦人科医の先生に回答してもらいました。
回答してくださったのは
イーク表参道 婦人科医 高尾美穂先生
東京慈恵会医科大学大学院修了。女性それぞれのライフステージに合った治療法を提案、よりよく年を重ねていけるようさまざまな角度からサポートしている。
はるねクリニック銀座 婦人科医 上田弥生先生
大阪市立大学医学部医学科卒業。デリケートゾーンのアンチエイジング治療、漢方治療、アロマセラピーやハーブにも精通している。
1.おりものについて
Q おりものの量が多いんですけど…
A 生理周期でもにおい、量、形状が変わるもの。心配しすぎなくて大丈夫ですよ
「おりものは出るのが正常です。"量が多い"くらいなら気にしなくていいことがほとんど。また、おりものの量や、ドロッとしているかサラッとしているかなどは、生理周期や腟の状態で変わるものなんです。かゆみやにおいが気になる場合は受診をおすすめします」(高尾先生)
Q 性交後のおりものの異常は、病気のサイン?
A 菌の交換によるものなので、2〜3日で治るなら問題なし
不安にならなくても大丈夫。「性交渉は、ばい菌がやってくる機会ととらえて。菌や性交渉時にできた傷によって腟の状態が変化すると、おりものも変化します。ばい菌がいる状態も自然ともとに戻る場合が多く、2 〜3 日で気にならなくなるようならば大丈夫。1 週間くらい異常が続く場合や、かゆみなどで眠れない場合は病院へ」(高尾先生)
2.耳鳴りや貧血などについて
Q 立ちくらみやめまいは貧血のせいでしょうか?
A 鉄欠乏性貧血のほか自律神経失調症などの可能性もあります
「医学的な貧血は、ヘモグロビンの不足を指します。自律神経失調症や起立性低血圧もクラッとするのですが、これを“貧血”と呼んでいる方も多いですね。しかし、これは立ち上がったときなどに、血圧を上げられないと起きる現象です。特に朝起きる“クラッ”は、体がきちんと起きていないせいであることが多いので、朝食をきちんととり、朝少し体を動かしてみてください」(高尾先生)
Q 耳鳴りに悩まされています
A 鉄欠乏性貧血でも耳鳴りが起きることが
「耳の専門家ではないので詳細はわかりませんが、内耳の障害の可能性もあるので、耳鼻科を受診してみて。また、鉄欠乏性貧血で耳鳴りがすることもあります。鉄欠乏はさまざまな体調不良を起こすので、隠れ貧血の原因にもなるフェリチン(貯蔵鉄量)を測る検査をしてみてください。ちなみに検査会社のフェリチンの基準値はかなり低く設定されていますが、理想は80以上です」(上田先生)
鉄分とともに、ビタミンCやタンパク質をとるのが正しい対処法。吸収のよいヘム鉄と鉄配合の乳酸菌を組み合わせた医療機関専売のサプリメント。一日3粒が目安。Fe9ヘム&ビオ60カプセル¥5000/MSS 高吸収率が魅力のリキッドタイプのサプリメント。リポ-カプセルビタミンC30包入り¥7200/スピック
Q 気圧の変化と体調って本当に関係あるんですか?
A はっきりとは解明されていませんが、研究が進められている段階です
気圧のせいで体調が……と感じるけど、本当に関係が?「メカニズムははっきりしませんが、東洋医学的には、関係があるとされています。西洋医学的にはまだ証明はされていない段階だと思いますが、“天気痛”の研究も進められているよう。マウスの実験ですが、中耳が敏感に気圧の変化を感じ取り、変化する部分があるという発見も」(上田先生)
3.尿もれや便秘について
Q 尿もれが気になる場合はどうしたら?
A 骨盤底筋を鍛えると3カ月で7割程度の人が症状が低減しますよ
「腹圧がかかったときの尿もれ、腹圧性尿失禁は骨盤底筋体操を3カ月以上続けると7割程度の方は症状が軽減するといわれています。骨盤底筋体操は筋トレと同じなので、すぐには改善しませんし、やめると症状が出てくるので、継続が必要」(上田先生)
Q 頻尿で、かなり困ってます
A 膀胱炎でなければ、水の飲みすぎという可能性も
長時間の会議や映画館で、地味に困るのが頻尿。「膀胱炎の可能性があるのでまず確認。膀胱炎でなければ、よくある原因は水の飲みすぎ。毎回の排尿でしっかりと尿が出て残尿感がないのなら、水を飲みすぎていないか確認して。毎回の排尿量は多くない頻尿の場合、尿意があってから排尿を我慢する訓練をして膀胱容量を増やす方法も」(上田先生)
Q 慢性的な便秘に悩まされています
A 便意を催したらすぐ排泄するクセをつけましょう
「食物繊維を含む食事をよくかんで食べ、水分を充分とって、運動すること。また、普段から便意を催したら我慢せずすぐに排泄する習慣をつけると便秘になりにくくなります。センナ(センノシド)など刺激性の便秘薬は使いすぎないほうがよいので、どうしてもつらいときだけにしましょう。だんだん効かなくなってきて量が増えてくることがあります」(上田先生)
4.おすすめの栄養素やサプリについて
A エクオールやナツメがおすすめ
「さまざまな心身の変化への対策として、大豆由来の成分・エクオールをサプリで補う方もいます。30代ならば持っておいてもいいサプリメントのひとつかなと思います。個人的には最近、おやつとしてナツメを食べています。漢方製剤にも入っているフルーツで、"一日3個食べれば年をとらない"と中国で言い伝えられています」(上田先生)
大豆を独自の乳酸菌で発酵させてつくったエクオール含有食品。女性の健康と美容をサポートする成分・エクオールをサプリメントで直接補給。エクエル112粒¥4000・エクオールのほか、コラーゲンやカルシウムなどを配合。エクエルジュレ100g¥250/大塚製薬
5.デリケートゾーンなど女性器系について
Q 女性器も老化するんですか?
A シワ、たるみなどの変化はあります。排尿や性交渉の妨げになるようなら受診を
「年齢とともに見た目の変化はあるのが普通です。顔や体のように、シワ、たるみ、色素沈着、脱毛などが起きます。顔のようにケアされていないので、より顕著に出る人もいますね。腫瘍ができたり、子宮脱がある場合、小陰唇が癒合してしまい排尿や性交渉に支障が出てきた場合などは受診してください」(上田先生)
Q 性交時や性交後、腟や子宮が痛い気がする
A 主にすり傷だと思われます。2〜3日で引く痛みなら心配ありません
「性交はあちこちをさわられてこすられるもの。その後の外陰部の痛みは、ほとんどがすり傷が原因です。一時的に腫れていても2〜3日で引くことが多いので気にしなくて大丈夫ですよ。気にしすぎずに、まずは様子を見てみてくださいね」(高尾先生)
Q デリケートゾーンのにおいが気になります
A においはあって当たり前。セルフケアから始めてみては
「においはあって当たり前で、ゼロにはできませんが、日中のケアとして、デリケートゾーン用ワイプでふいてもいいかもしれません。ゴシゴシ洗いすぎて皮膚が荒れ、においのもとになることもありますので、やさしく洗って、保湿までするとばっちり。下着の素材はコットン、木綿、シルクがおすすめです」(上田先生)
(左から)弱酸性成分で肌を潤し、色素沈着や黒ずみもケア。ラ ファム デリケートクリーム110g¥4800/モディッシュ ココナッツ由来成分でマイルドに洗い上げる。ピュビケア オーガニック フェミニン シフォン ソープ ローズ&イランイラン 220ml¥2100/たかくら新産業 フィトテラピー処方で肌にやさしいデリケートゾーン用洗浄シート。使用後はトイレに流せる。アンティーム ハイジーンシート 12枚入り¥1500/サンルイ・インターナッショナル
Q 入浴後、腟からお湯が出てくることに困ってます
A 異常なことではないけれど、気になるのであれば腟トレがおすすめ
湯船につかるときは、姿勢をまっすぐにして、腰を下ろすようにすれば腟にお湯が入りにくいです。気になるのであれば、丸めたタオルを股に挟み、当たるところをきゅっと引き締める腟トレをしてみてください。一度腟に清潔にした指を入れて締めてみて、それと同じ感覚で腟を締めると正しくトレーニングできますよ」(上田先生)
(左)座った状態で指を入れ、腟の締め方を確認。
(右)丸めたタオルを股に挟み5秒間、腟を締めて離す。10〜20回を一日3回。
イラスト/mio.matsumoto 取材・原文/東 美希 構成/菅井麻衣子〈BAILA〉 ※BAILA2020年2月号掲載