30代の婦人科系悩み&疑問に、人気婦人科医がお答え! 「30代になってから明らかに生理の血の量が減ってきた。ピルを飲んでいるわけではないのに、減るなんて……。量が多くて重かった時よりは楽だけど、もしかしたら更年期障害かも?と不安です」など、30代ならではの経血の量に関するお悩みに、専門医が回答してくれました!
生理の血の量、正常・異常はどう判断する?
30代女性のお悩み&疑問
・「生理の血の量が多くてすごく困ってます。多い日の夜(しかも長めで1〜4日目)は大きな夜用ナプキンを使っても溢れてしまって……。下着やパジャマ、布団を汚してしまうことも」
・「30代になってから明らかに血の量が減ってきた。ピルを飲んでいるわけではないのに、減るなんて……。量が多くて重かったときよりは楽だけど、もしかしたら更年期障害かも?と不安です」
・「先月は軽くてちょっとしか出ないで終わったのに、今月は重くて漏れた……といった具合に、量もまちまち。ホルモンバランスがおかしいのかも?と心配」
30代の読者に多かったのが、月経の経血量に不安を抱える人。専門医にお話を伺いました!
医師がお答え! 経血量のあれこれ
東峯ラウンジクリニック(旧・いけした女性クリニック銀座)院長。ストレスや加齢などによって起きる女性の心身トラブルに向き合い、幅広い年代の女性たちの相談に乗る。
経血はどこから来る?
月経の経血量は毎回決まった量が出るわけではなく、ホルモンの状態や子宮の収縮・拡張のリズムによって血液量が決まります。
子宮の収縮・拡張とは、陣痛と同じ生理現象。収縮で血管が閉じ、もとに戻って血管が拡張して、経血量が増えていきます。
子宮内の粘膜(こちらも経血のもととなるもの)の厚さはホルモンの状態、例えば排卵があったとかないとかで変わりますので、トータルで経血量が量が減ったり増えたりするのです。
月経が始まったときの運動量=子宮の収縮の度合いにより、経血量は変わる
経血量は、月経が始まった時間帯や、月経中に動く体の可動域によってもだいぶ違ってきます。
夜中に月経が始まると、横漏れがあったりするけれど、起きているときに比べると活動量が少ないため、収縮が起こりにくく、経血量もあまり多くないのです。
寝ている状態、座っていた状態から立ち上がるときには、腹圧で多く出る場合が多いです。
通勤や会社で働いている時間帯など、活動的なときに月経が始まると、収縮・拡張のリズムも多くなるため、経血量も多くなります。
意外? 経血量は多いより「少ないほうが心配!」派が多い
経血量の悩みは、「量が少ないから月経が止まるのでは?」という不安を抱いて受診される方が多いです。
重い月経はつらいものですが、「月経=ある程度痛みがあり量もある」ほうがどこか安心なのでしょうか。痛みがなくて量が少ないほうが心配になる人が多い印象です。
経血量が減った原因=生理痛用の薬、というケースも!
経血量が少ない原因としては、運動量以外にも、無排卵、卵巣機能が弱っている、ホルモンのバランスが乱れているなど、さまざまな要因が考えられます。
30代の女性だと、「仕事で甘えは許されない」という責任感から、月経痛が酷くても鎮痛剤を飲んでやり過ごす人が多いように思います。
この鎮痛剤、陣痛や月経などで痛みなどを引き起こすプロスタグランジンという物質の分泌を抑える作用があり、子宮の収縮を減らします。
痛みを止めたくて鎮痛剤を飲んだことで、経血量も減ることがあるのです。月経が1日くらい早く終わることもありますね。鎮痛剤を頻繁に飲んでいるせいで、気付いたら経血量も減っていた、というケースも実は多いです。
また、低用量ピルを飲む習慣がある人は、経血量が減っていきます。低用量ピルを処方した患者さんが「痛みがなくて量も少なくて、生理じゃないみたい!」と不安になって相談に来ることも多いのですが、本来減るものですので安心してください。
経血量は個人差があるもの。多い、少ないの原因もさまざまなので、出血の傾向は毎回メモしておくと、振り返る際に参考になりますよ。
月経が始まった時間帯や、経血量、行動のアクティブさ、飲んだ薬などをメモしておくと、自分の体のリズムをつかみやすくなりそうですね!
取材・文/櫻木えみ 企画/斉藤壮一郎〈BAILA〉