30代・40代の生理のお悩みや疑問に、人気産婦人科専門医がお答え!今回は、「生理前の眠気問題」について聞きました。
生理前の眠気が恐ろしいレベル……。私、大丈夫でしょうか!?
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30代&40代女性の、眠気に関する「リアルな生理悩み&疑問」!
・「生理前の眠気が年々ひどく。昼間の仕事のパフォーマンスが残念なことになっています。集中しようにも、眠気が襲ってきて……。生理が来ると、眠気が消えて起きていられるように。時期的には生理前限定なので、PMSのせいかな?と思うのですが、PMS対策のサプリを飲んでも、眠気は飛ばず。仕事中はひたすらコーヒーやカフェイン入り栄養ドリンクを飲んでいます」
・「ここ2年ほど、生理の3日前くらいから眠くて眠くてたまらない状態が続いています。生理1〜2日目まで眠気を引きずり、休みの日は寝て過ごしています。その後はシャキッとして、深夜3時すぎまでパソコン仕事をしたりバリバリ働けるのですが……」
医師がお答え!
医学博士。産婦人科専門医。婦人科診察を通し、女性の健康を幅広くサポート。働く女性のための産業医として企業を支える傍ら、内閣府男女共同参画局、人事局等で教育講演を担当。また、婦人科スポーツドクターとして日本スポーツ協会ではスポーツドクターの養成に携わる一方、骨盤底筋トレーニングヨガ、アスリートヨガをはじめ、ヨガ指導者を育成するセッションも積極的に行っている。
生理前に眠くなるのは、妊娠を維持するために体温が上がるから
「生理前は、プロゲステロンという女性ホルモンが分泌される時期。プロゲステロンは、排卵後=『妊娠しているかもしれない時期』に分泌されるホルモンで、その役割は妊娠の維持。妊娠を継続させたいという願いのために、体温を0.3〜0.6度上げるんです。
排卵後〜生理前の“高温期”と呼ばれる時期は、私たちにとっては熱が出ているという感覚はまったくないのですが、ベースの体温が普段よりも少し高めという状態。夜眠る時も、体温はそこまで下がらないとされています。
ただ、私たちは普段体温が下がることによって眠気が強くなる。高い体温がしっかり下がればぐっすり眠れるのだけれど、ベースの体温が高めで、さほど下がらない生理前の時期は、ぐっすり眠れていない可能性が高いです」
生理前に溜まりに溜まった睡眠負債で、昼間も眠気が
「『睡眠負債』という言葉を聞いたことがありませんか? 6時間半眠りたい人が6時間しか眠れていないというのは、30分時間が短いだけなのでそれほど問題なく感じますよね。でも、この状態が1週間続くと、足りない睡眠時間が負債のようにどんどん積み重なってしまう……という意味です。
生理前の眠気も同じメカニズム。14日間の高温期の中で、生理前らしい状態になる期間はだいたい7日間前後だと思うのですが、この時期にあまり眠れていないと感じる時間が積み重なることで、昼間も強い眠気を感じる人がいます。
『生理中も眠い状態が続いている』という質問者さんもいますが、生理中はもうホルモン的には眠い状態が解除されている時期。その前の睡眠負債が残っているから眠気が続いているんでしょうね。
生理前の強い眠気は、仕事やライフスタイル的にもともと寝不足が続きやすく、睡眠負債を抱えているような女性が特に感じやすいようです。解決方法はやっぱり睡眠時間の確保。あえて意識して、夜早く寝るようにするくらいしか対策はないんです。
BAILA世代の方だと、起きている時間が長ければたくさん仕事ができる!と頑張る方が多いですけど、世の中で言われているプレゼンティズムは低下している状態。デスクに座ってはいるけれども能率は落ちているケースも多いです。時には思い切って早く寝てみるのも大切ですよ」
生理前の期間は睡眠不足に陥らないよう、生活を整えるのが理想ですね!
取材・文/櫻木えみ