私たちの生活と切っても切り離せない“疲労”を芯から癒すには? PC作業やスマホの見過ぎで、気づかぬうちに酷使している「目」。「眼精疲労」って実は体や精神にも影響を及ぼすって知ってた? 眼に負担がかかるNG行為を専門医が解説。
内科医、皮膚科医、眼科医
日比野佐和子先生
医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック広尾・統括院長。『たった10秒の「眼トレ」』(SBクリエイティブ)など数々の著書を出版。アイケアのほか、アンチエイジング医療の第一人者としても活躍。
【眼】
PCやスマホの長時間操作が当たり前の日常で、知らずしらずのうちに酷使される眼。ほうっておくとその不調は全身に広がり、気づかないうちに病気を発症することもあるので要注意!
“眼精疲労”とは眼だけの問題にあらず。体や精神にも現れる!
眼精疲労の症状は、視界のかすみや眼の奥の痛み以外に、体の様々な部位にも現れるそう。「見えにくいことによって不自然な姿勢をとったり、集中力を高めようと長時間緊張状態が続くことで精神的なストレスを感じたり、頭痛を引き起こしたり。眼のケアをすることで一見関連のなさそうな体の不調も改善した、という話も多いんですよ」(日比野佐和子先生)
単なる疲れじゃない?病気や疾患が隠れていることも
眼からの異常信号が疲れとして出てくる場合も。「充血や痛み、視界のぼやけ、光に過敏になるなどの症状には、眼の病気が潜んでいることもあります。休んでも回復しないなら、ドライアイや白内障、屈折異常(乱視)、眼瞼下垂などの可能性が。また、副鼻腔炎や歯周病、更年期などから眼精疲労が起こることもあるので気になる人は一度受診を」(日比野佐和子先生)
VDT症候群はまさに生活習慣病!日々の工夫で脱却を
最近話題のVDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)は、現代人の生活とは切っても切れない関係。「モニターを使った作業を長時間続けることで眼や体に影響が現れることを指します。1時間モニター作業をしたら15分休憩する、画面は目線よりも少し低い程度の高さにするなど、できるだけ眼にかかる負担を軽減する環境づくりが大切です」(日比野佐和子先生)
マイボーム腺をゆるめて乾燥に負けない潤いのある眼を育てる
働く女性に多いドライアイをケアすることも大切。「まばたきの回数が減ったり、エアコンの風を長時間受けることがドライアイの要因。まぶたの中のマイボーム腺という目の潤いに関わる皮脂腺は、メイクや汚れが詰まると皮脂の分泌ができなくなります。丁寧なクレンジングはもちろん、ホットタオルなどで温めることで皮脂の分泌がスムーズに」(日比野佐和子先生)
実はブルーライトは眼に悪影響はない!? バイオレットライトに注目
何かと悪者にされがちなブルーライトは眼への悪影響はないことが最新の研究からわかっている。「ただ交感神経が優位になって脳が覚醒してしまうので、寝る直前のスマホ操作は体内時計の乱れの原因に。最近では、太陽光に含まれるバイオレットライトが近視を防ぐといわれ、屋外での活動量が多い子どもは近視になりにくいというエビデンスも」(日比野佐和子先生)
撮影/ケビン・チャン スタイリスト/タカシバユミ ※BAILA2022年3月号掲載